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五節

仁義必果会所属──新劇レッド。

アビリティ名:エイトリ&ブロック


武具を作る事に特化した生産系アビリティ。このRFO内で唯一、二つの固有名詞を持つ。

彼が作る武具は圧倒的な性能を持ち、世界中のプレイヤーから制作依頼が絶えないという。

そんな彼を、人はこう呼ぶ。


ーー【マスターオブスミス】と。



*****



とんでも無い武器を貰ってしまったようだ。マジで、後から請求書とか送られて来ないよな……。


「ミラ、本当にこの装備をもらって大丈夫かな?」


「再度アーカイブから経緯を確認します。

 ──解析完了しました。

 当該装備は、クランメンバーによる任意の譲渡です。対価要求、回収リスク、悪意的意図は……」


「あ、分かった。もう大丈夫」


手紙には”もう使わないもの”などと書かれていたが、そんなことはないだろう。

もし戦う事が無かったとしても、プレイヤー相手に売れば、それなりの儲けになるはずだ。


「今度会ったら、お礼を忘れないようにしよう……」


万が一、金を請求されたら敵わんからな。

クラメンについて考えていると、ミラが声をかけてきた。


「オーナー・チリアクタ。

 貴方のステータスを配信アーカイブから確認しました。

 ステータスに異常を検知しています。

 シャドウドラゴンの加護が発動していないようです」


俺にとっては今更だ。

しかし、彼女にも説明しておく必要があるか。何度も同じ質問をされても面倒だしな。


「えっと……。あのクソドラゴン、懐いてないじゃん?」


「はい」


「だから、信頼度(・・・)が足りてないんじゃないかな」


「なるほど」


ドラゴン系アビリティでは、ドラゴンとの絆が数値化される。

アビリティのレベルが上がっても、これが低ければ十分な性能を発揮できない。


「とは言っても、俺のアビリティじゃ信頼度は確認できないから、憶測だけどな」


「ではシャドウドラゴンをこの場に呼び出して……」


「嫌だ」


当分あのトカゲは見たくない。

なんでアイツだけ言う事を聞かないんだろうか。まあ、十中八九アビリティのレベルが低かったせいだ。

あれをテイムした際、アビリティレベルが上昇した。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【アビリティ名:テイムLV2】

観測者:■■■■■

支配可能階層:S New!!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー


この支配可能階層、というのが原因で間違いないだろう。

今のLVでドラゴンをテイムすれば、ゴブリンと同じように忠誠心を得られるだろうが……。

しばらくドラゴンをテイムする気にはならない。


「とりあえず、ミラの試運転がてらモンスターを捕まえていこう」


「承知しました」



*****



この日の狩りは順調。

ミラの動きはまだぎこちないが、タンク役を任せるには十分だった。

レベル差のお陰でそう見えているだけかもしれない。

まあミラにジョブを与え、戦闘に慣れていけば問題ないだろう。


何度目かの戦闘を終え、そんな事を考えていた。

おもむろにステータスを呼び出す。


――――――――――――――――――

【アビリティ名:テイムLV2】

テイム上限:10


館に記録された存在数:10

ゴブリンナイトLV38

シャドウドラゴンLV──

トレントLV27

アルラウネLV25

スカーベアLV25

トレントLV24

トレントLV24

トレントLV23

アルラウネLV24

トレントLV23

――――――――――――――――――


すると、コメントが騒ぎ出した。


『トレント好きすぎるだろww』

『ゴブリンの次はトレントか』

『トレントテイマー』


「いや、皆さん見てましたよね。

 この辺トレントしか出てこないじゃないですか」


そんな風に駄弁っていると、茂みからモンスターが飛び出してきた。


【アルラウネLV26】


「きぃええ!」


大きな花から女性の上半身を生やした異形の怪物。ここらでは少し珍しいモンスターだ。

リスナーの言う通りテイム枠がトレントに占領されているし、解雇ついでに戦わせてみよう。


「出てこい、トレント!」


館への入り口を作る。

光とともにトレントがーー


シュ。


トレントの横を掠めるようにして、光の中から影が飛び出す。

それは勢いそのままに俺へと向かい……。


ガブリと俺に嚙みついた。


「何なんだお前!」


そう叫ばずにはいられなかった。

頭にまとわり着くそれを引きはがし、地面へ投げつける。

地面に降り立ったそれが露になる。


ーーシャドウドラゴンだ。


どうやらトレントのために作った入り口から、勝手に出て来たらしい。


「シャー!!」


敵意丸出し。

反抗心を隠そうともしない。

お前、横にいるアルラウネを見てみろ。状況を飲み込めずに目を丸くしているぞ。


「ミラ! この馬鹿ドラゴンを頼む!

 俺はアルラウネを処理する!」


指示を出して走りだす。

アルラウネの横に再度入り口を作り出し、トレントを呼び出した。


「ファッサ!」


アルラウネが正気を取り戻す。

トレントともみ合い出した。

トレントは防御力こそ高いが、他の能力はいまひとつ。

決定打になりそうな攻撃は出てこない。


俺は印のスキルを発動させた。


【忍法:火遁が発動しました】


トレントもろとも焼き尽くす。

火にくべられた花が燃え上がる。


【トレントの魂が消失しました】


魔法耐性が低いトレントが、先に炭になった。

瞬間、アルラウネのテイム表示が切り替わる。


「テイム発動!!」


【アルラウネをテイムしました】

【経験値1130を獲得しました】

【チリアクタがLV40になりました】

【ドロップアイテム:化け花の花弁×2】


リザルト画面に胸を撫でおろす。

一先ず安全を作ることができたが、シャドウドラゴンはどうなった。

首を振って周囲を確認する。


すると、甲冑を着込んだミラの姿が視界に入った。

彼女は地面に腰を下ろし、マスクを上げて素顔を出している。

……何をしてんだ?


彼女に向きなおし、注視する。

その手の中で、シャドウドラゴンが心地よさそうに頭を撫でられていた。


【視聴者144】

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