第15章 暴かれた闇、つながる光
■ 中原の罠 × 凪のトリガー
アークシステムズの会議室。
凪はノートPCに向かいながら、キーボードを高速で叩いていた。
「……これで中原さんの仕掛けたバックドアに、
僕のトリガーを連動させました。
徳山が同じ操作をすれば――自動的に全部『記録』されます」
「逃げ道はない、ということだな」
柊が腕を組む。
「はい。環さんも、美乃さんのためにも……
ここで終わらせないと」
環は凪の横顔を見つめ、小さく頷いた。
「大丈夫。私もいますから」
凪は照れたように笑った。
「環さんのその言葉……ほんっとに心強いです」
◇◇◇
■ 罠にかかる徳山
その日の夕方。
徳山は会議室にこもり、怒りと焦りで顔を赤くしていた。
「中原のやつ……!全部俺に責任を押し付けやがって!」
徳山はサーバーにアクセスし、
いつもの“改ざん”を行おうとした――その瞬間。
ピッ――!
警告音。
画面には赤字で「操作ログ記録中」の表示。
「……は? なんだこれは……!」
さらに、裏金処理、横領データ、改ざん履歴――
全ての操作が瞬時に自動バックアップされていく。
「そんな……こんな仕掛け……誰が……!」
そこに、静かに扉が開いた。
◇◇◇
■ 終演
長岡部長、中根麻由美、深見、若月、片倉。
そして――
柊、凪、環が立っていた。
「徳山さん。記録はすべて見ました」
長岡部長の声は冷静だった。
「き、貴様ら……罠を張ったな……!」
「罠じゃない」
柊が一歩進み出る。
「あなたが自分で踏んだだけです」
徳山は机を叩きながら叫ぶ。
「俺がどれだけ会社に尽くしてきたと思ってるんだ!
部下を使うことの何が悪い!
美乃が優秀すぎるのが悪いんだ……!」
「悪いのはあなたです」
環が静かに言う。
「美乃さんは誰のせいでもなく……あなたの悪意で傷つけられたんです」
凪も続いた。
「徳山さん……
もう、逃げないほうがいいですよ」
末松に続き、坂井も謹慎。
頼みの綱の中原はすでに捕縛済み。
徳山の目には、次々と追い詰められていく現実が映っていく。
「ば、ばかばかしい……俺は……俺は……!」
警備員が入り、徳山は取り押さえられた。
その最後の瞬間、徳山は叫んだ。
「俺は悪くない!俺は……!」
その声は虚しく、誰の心にも届かなかった。
◇◇◇
■ ニュースと、美乃の帰還
数日後。
徳山の横領、裏金、私的流用、情報改ざん――
すべてが公となり、ニュースを騒がせた。
「豪邸は差し押さえ」「部下を使った不正工作」
画面には“巨大な闇が崩れ落ちる”瞬間が映っていた。
「……終わったんですね」
環がぽつりとつぶやく。
「ああ。ようやくな」
柊が頷く。
「美乃さん、戻ってこれますね……!」
凪が涙ぐみながら微笑む。
◇◇◇
■ 帰ってきた光
アストリア社・1階ロビー。
美乃が静かに歩いてくる姿が見える。
その姿を見つけた部下たちは、次々に駆け寄った。
「美乃課長……!」
「信じてました……!」
「お帰りなさい……!」
泣きながら抱きつく人、
手を取り震える人、
ただ頭を下げる人。
美乃は一人ひとりに笑顔で応えた。
環はその光景を胸に刻む。
ぽかぽかが溢れ、涙がにじむ。
「美乃さんは……本当に、愛されてるんですね……」
凪は目をこすりながら言う。
「そりゃそうですよ……
あんなに優しくて、強い人なんですから……」
柊は静かにその様子を見守る。
環の肩に手を置き、そっと言った。
「凪、環……お前たちが守ったんだ」
環は涙を拭き、微笑む。
「うん……よかった……本当によかった……」




