第14章 美乃、再び
■ 強く、優しく帰ってきた人
翌日。
アストリア社人事部との面談のために
美乃がひっそりと出社した。
謹慎中のため、自分の部署には寄れない。
迷いなく向かったのは――
アストリア社内にある
アークシステムズ調査会議室。
扉を開けると、
柊・凪・環が立ち上がった。
「お久しぶり」
美乃が柔らかく微笑む。
「あなたたちに……どうしてもお礼を言いたくて」
環は思わず駆け寄り、
美乃の手を握った。
「美乃さん……!
私たち、美乃さんを信じて調べてます……
もう少しなんです……!」
涙がにじむ。
美乃はそっと環を抱き寄せた。
「環さん……
あなたが泣くことなんてないのよ。
ありがとう。こんなに思ってくれて」
環は胸が温かくなる。
この人は強くて優しい。
誰よりも温かい。
「美乃さん」
柊が向き直る。
「あなたが掴んでいる情報があれば、教えてください」
美乃は少しだけ表情を引き締めた。
「……まだ正式には誰にも言ってない。
けれど、この状況なら話した方がいいと思ったの」
そう言って机に一冊のノートを置いた。
「徳山と末松、そして中原裕也。
この3人が最近、不自然に残業していた時期がある。
サーバーログの“抜け”と一致するの」
凪の目が光る。
「これ……決定的な手がかりになりますよ……!」
柊も静かに頷いた。
「美乃さん。
あなたの勇気が、事件を動かすきっかけになる」
美乃は深く息を吐いた。
「……もう、逃げない。
私も戦うわ。
自分を守るためじゃない。
ちゃんと真実のために」
その言葉はとても強くて、
そしてあたたかかった。




