↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season10 ― 言わなかった後悔、言わなくてよかった光 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season10 ― 言わなかった後悔、言わなくてよかった光 ―
PR
12/24

第6章(後編) カフェテリアの影 ― 狙われた環 ―

■ 連行される坂井(さかい)の背中を見送ったあと…



(しゅう)(たまき)の肩を抱き、

震える手をそっと握った。


(たまき)……大丈夫だからな。

 俺がいる」


(たまき)は小さく息を吸い、

かすかにうなずいた。


「……はい……(しゅう)……」


その時だ。



◇◇◇



■ 「(しゅう)先輩!!(たまき)さん!!」



走ってくる軽い足音。


凪陽翔(なぎはると)だった。


会議室に戻っても(たまき)が来ない。

(しゅう)も戻らない。

胸騒ぎがして

途中ですれ違った社員から騒ぎを聞き、

慌てて駆けつけてきたのだ。


「どうしたんですか!?

 (たまき)さん、大丈夫ですか!?」


息を切らして2人の前に飛び込んでくる。


(しゅう)が短く答える。


坂井(さかい)が……(たまき)に手を出した。

 今、謹慎で連れて行かれたところだ」


(なぎ)の表情が一瞬で変わる。

普段の柔らかい目ではなく、

(なぎ)領域(テリトリー)” に入る前の静かな怒り。


「……は?

 坂井(さかい)が?

 (たまき)さんに……?」


声が低い。

いつもの(なぎ)じゃない。


深見(ふかみ)が説明しようとすると、

(なぎ)は一歩(たまき)の前に来て

真っ直ぐに目を合わせた。


(たまき)さん、痛いところないですか?

 腕……見せてもらってもいいですか?」


(なぎ)は少し恥ずかしそうに、

(しゅう)の胸元に顔を寄せる。


「さ、(さかい)井さんに……ちょっとねじられて……」


(しゅう)(たまき)の腕をそっと見せるように支える。


(なぎ)は優しいけれど真剣な目で確かめ、

深く息を吐いた。


「……よかった。

 折れてはない……でも痕は残りそうですね。

 ちゃんと冷やしましょう」


普段の“仔犬感ゼロ”。


プロのSEでもあり、

仲間を守るために戦う(なぎ)の顔。


「……許せないな。

 こんなの、絶対に」


(たまき)を見て、(しゅう)を見て、

(なぎ)は静かに言う。


(しゅう)先輩。

 (たまき)さんのこと……

 僕も守りますから」


(しゅう)はうなずいた。


「ああ。頼む」


深見(ふかみ)が少し涙ぐみ、

若月(わかつき)片倉(かたくら)もうなずく。


カフェテリアに残った人々も

2人の様子をそっと見守っている。



◇◇◇



■ そして――



(しゅう)(たまき)の背に優しく手を添え、

(なぎ)がその反対側に立つ。


「……(たまき)、帰ろう。

 一度会議室に戻るぞ」


(なぎ)も笑顔を作る。


「帰ったら、(しゅう)先輩のコーヒーより

 僕のほうがおいしいの淹れますからね!」


(たまき)がふっと笑う。


「ふふ……楽しみにしてます」


3人は自然に寄り添い、

まるで“ぽかぽか邸”そのままの

あたたかい小さな隊列をつくって

カフェテリアを後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。