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EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season10 ― 言わなかった後悔、言わなくてよかった光 ―  作者: 柊梟環
EVOLVE〜エヴォルブ〜 Season10 ― 言わなかった後悔、言わなくてよかった光 ―
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第6章(前編) カフェテリアの影 ― 狙われた環 ―

■ カフェテリア ― 情報収集のはずが…



(たまき)はコーヒーを3つ買い、

深見(ふかみ)若月(わかつき)片倉(かたくら)の会話に自然と耳を傾けていた。


3人とも、美乃(よしの)が疑われていることに強く反対していた。


美乃(よしの)さんが……そんなことするわけないよ!」


末松(すえまつ)さん、最近なんか妙だったんだよな」


徳山(とくやま)の指示で“言われたことだけやれ”って……

 あれ、なんか怪しくない?」


(たまき)は丁寧にメモを取り、

「ありがとうございます…!」と頭を下げた。


その瞬間──


腕を後ろから強く掴まれた。


「……何してるんです?」


坂井(さかい)だった。


顔は笑っているが、目だけが笑っていない。


(たまき)は思わず息を()む。


「つ、つかまないでください……っ」


坂井(さかい)(たまき)の腕をきつくねじり上げる。


「“事務員”が勝手に情報集めとは……

 アークシステムズさんは余計なことをしますね」


周囲の社員がざわめく。


(たまき)の手帳が床に落ちる。

心臓が早鐘のように鳴る。


(こわい……動けない……)


坂井(さかい)はさらに腕の力を強めた。


「黙ってればいいんですよ。

 あなたみたいな人は──」


その瞬間。



◇◇◇



■ 「(たまき)──ッ!!」



(しゅう)が飛び込んできた。


カフェテリアの入り口から、

息を切らして(たまき)を探す(しゅう)の姿。


坂井(さかい)(たまき)を縛り上げているのを見た瞬間、

(しゅう)の顔が変わった。


「……おい」


低く、冷たい声。


(たまき)から手を離せ」


坂井(さかい)は一瞬たじろぐが、

知らぬふりをして(たまき)の体を押さえつけようとした。


「これは業務上の──」


(しゅう)の手が坂井(さかい)の腕をつかんだ。

強い力で、(たまき)を彼の腕から引き離す。


「業務……?

 誰が見てもただの暴力だろうが」


(たまき)を背に庇いながら、

(しゅう)の目は氷のように鋭い。


「次に(たまき)に触れたら……

 俺が相手になる」


坂井(さかい)は言い返そうとした瞬間──



◇◇◇



深見(ふかみ)若月(わかつき)が支援に入り、片倉(かたくら)坂井(さかい)を押さえる



深見(ふかみ)(たまき)に駆け寄る。


(たまき)さん!大丈夫ですか!?」


若月(わかつき)(しゅう)に加勢しようと一歩前に。


そして片倉(かたくら)が背後から坂井(さかい)の腕を押さえ、

動けなくした。


坂井(さかい)さん、それ以上は無理です。

 自分、見てましたから」


坂井(さかい)は顔を真っ赤にして暴れようとするが、

周囲の社員がどんどん集まってくる。



◇◇◇



長岡(ながおか)部長と中根(なかね)麻由美(まゆみ)が到着する



2人が駆けつけ、状況を一目で理解した。


中根(なかね)麻由美(なまゆみ)の厳しい声。


坂井(さかい)さん、あなた……(たまき)さんに何をしていたの!?

 即刻、謹慎処分です。話は別室で聞きます」


長岡(ながおか)部長も冷たい表情で言う。


坂井(さかい)くん。これは看過できん。

 すぐに連れて行きなさい」


坂井(さかい)は顔をひきつらせながら連行されていく。



◇◇◇



■ 離れた場所から“黒幕”の目



少し離れた場所で、その様子を見ていた徳山(とくやま)


歯ぎしりのような表情。

目つきが鋭くなり、口の中で低く呟く。


「……坂井(さかい)のバカめ。

 余計なことをしてくれた……」


(次の手を考えなくては……

 このままでは……)


そう言い残して静かに立ち去る。



◇◇◇



(しゅう)(たまき) ― 握った手の震え



(たまき)は解放された腕を押さえ、

少し震えていた。


(しゅう)が優しく肩に触れる。


(たまき)……大丈夫か」


(たまき)はうなずこうとしたが、

声が震えていた。


「こわかった……

 でも……(しゅう)が来てくれたから……」


(しゅう)(たまき)の手をそっと握りしめた。


「当たり前だ。

 (たまき)は俺が必ず守る。」


(たまき)の肩が小さく震え、

(しゅう)はぎゅっと抱きしめた。


深見(ふかみ)若月(わかつき)がそっと席を外し、

片倉(かたくら)が遠くから見守っている。

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