109話 シャドウ系階層更新
『通知。ダンジョンが25階層まで侵攻されました』
自分の魔力をなんとか魔法にしようと弄っていると、AIから通知がきた。
24階層を攻略しそうなパーティがいたとは把握していなかったので、正直驚いている。
最近魔法の練習ばっかりでダンジョンのことはあまり気にかけてなかったからなぁ……
急いでダンジョンの様子を見てみると、チュートリアルをクリアしたパーティの一つが、25階層の看板の前で立ち止まっていた。
いくらチュートリアルをスキップできるようになったからといって、想定より攻略スピードが速い。これがガチ勢というやつだろうか。
しばらくそのまま様子を見てみると、この階層のモンスターである影アゲハに攻撃していた。この階層では攻撃した時点で先に進めなくなる。
とりあえずしばらくは先に進まれなさそうだな。
今のうちに階層更新をしよう。
26階層はすでに内容を決めてある。
まずいつも通り四角で迷路を作り、岩とか朽ちた柱とか、影になる部分をたくさん作る。
そこに配置するのはススリコというモンスターだ。
5cmくらいの黒くて丸い生き物で、集団でわらわらと動く。普段は影に隠れており、びっくりすると影から出てくるやつだ。
まっ◯ろくろすけを想像してもらうのが1番早いな。
びっくりして影から出てきても基本的には逃げる行動を取るが、命の危機を感じると敵にみんなで飛びつき、生命力を吸い取ろうとしてくる。
影アゲハより少し厄介なモンスターだ。
それを探索者に捕まえてもらおうと思う。
1人につき1匹ススリコを捧げる事で先に進めるような魔法陣を設定した。
捕まえようじゃヒント与えすぎだから、看板には、【闇に潜むモンスターを見つけましょう】と記載した。
26階層はもうこれで良いとして、問題はこの後だ。
すぐに攻略されるかもしれないから一気に30階層まで作ろうと思うんだけど、何も考えてなかった。
影っぽいモンスターにするとして、条件をどうするかなんだよな。
一つはタイムアタックにしようと思ってる。で、30階層はボス部屋にするつもりだから、あと二つ考えなきゃいけない。
うーん……そろそろ謎解きっぽい要素を入れても良いかもしれない。看板のヒントを元に条件を満たすって言うのも謎解きの一種かもしれないけど、そういうのではなく。例えば、魔法陣を正しい順番で踏まないと辿りつかない、みたいな感じ?うん、これでいいや。
あと一つは……一旦いいや。今思いついているのを作っている間になんか思いつくだろ。
27階層はなんとなく円で迷路を作ってみた。
「27階層の入り口から、28階層に続く魔法陣まで最短距離で結ぶとおおよそ何mになる?」
『回答。約700mです』
数字にして聞くと意外と短く感じるな。
まぁ他の階層もこんなもんか。
モンスターを無視して走る事前提で時間制限は5分でいいかな?
配置するモンスターはぶっちゃけなんでも良いけど、ススリコみたいなのじゃなくてちゃんと攻撃してくれるモンスターがいい。
あ、なんか面白い名前のやつ見つけた。
ナイトクラブっていうカニ型モンスター。全身が黒くて、身まで真っ黒なんだって。食べられそうな雰囲気を感じる。
殻が硬くてハサミが鋭いから倒すのはなかなか大変そう。シャドウ系ではなさそうだけど、ぱっと見影っぽいし入れてもいいだろ。
ついでに一定確率で食べれそうな身の部分をドロップするようにしよう。
まぁ、ドロップ品集めようとしたら絶対制限時間内に通り抜けられないけど、ちょうど良いだろ。
ただ、ナイトクラブだけだと物足りないから後1種類配置したい。20階層代はまだ蛇系のモンスター配置してなかったからシャドウスネイクでいいかな。
看板には【闇に潜むモンスターに捕まらないようにしましょう】と書いた。逃げようでも良かったけど逃げようは25階層で使ったからこっちで。
28階層はさっき出した案の通り、魔法陣を踏んで進むタイプの階層にする。なので迷路ではなく4m四方の小部屋をいっぱい作った。
AIに頼んで、順番通りに進まないと出口まで辿り着けない魔法陣を部屋の四隅にそれぞれ配置してもらった。4つのうち正解は一つだけで、二つはどこかの部屋に飛ぶようになっている。間違った魔法陣を踏んだら絶対にゴールに辿り着けない。無闇に進むと一生この階層を彷徨う可能性がある。
だから俺の優しさで部屋に必ず一つは最初に戻れる魔法陣を入れるようにした。適当に踏み続ければ、いつかは入り口に戻れるわけだ。
ただ、正しい魔法陣がどれかどうヒントを与えようかなぁと迷ってる。
シンプルに4択のクイズでいいかな。内容は……
「モンスターに関する4択クイズって作れる?可能なら例題出してみて」
『可能です。一般的なスライムの生息地は?①草原、②水辺、③森、④洞窟』
簡単……でもないな?イメージ的には草原だけど、ダンジョンの環境は洞窟が近いから洞窟でもおかしくないし、別に森にもいそう。
「ちなみに今の問題の回答は?」
『回答。②の水辺です』
そうなんだ。
スライムの見た目ぷるぷるしてて水含んでそうだもんな。これが理由なのか知らないけど。
スライムは本来水辺に生息しているっていうのはモンスター研究してる人たちが喜びそうな情報ではある。
「じゃあ今と同じ感じで全ての部屋に違う内容のモンスターに関する4択問題が書かれた看板設置して。選択肢の看板は魔法陣の上の壁に設置で、正解の選択肢がちゃんと先に進める魔法陣に割り振られるようにしてね」
『承知しました。しばらくお待ちください』
勝手に画面が動いて、勝手に看板が配置されていく。
それをぼーっと眺めていると画面の動きが止まった。
『完了しました。作成内容をご確認ください』
プレビュー上ではいい感じに看板が配置されているように見える。
ゴブリンの平均身長を問う、探索者なら誰でも解けそうな問題もあれば、知らないモンスターの好物とかいう、誰にもわかりそうにない問題もあった。
簡単に解かれてすいすい先に進まれるのは困るし、これくらいの難易度でちょうど良いんじゃないかな。
モンスターはシャドウバッドという闇属性の蝙蝠にした。ひと部屋ごとに20匹くらい配置してる。
空中攻撃してくるので、倒してる最中によろけでもしたらうっかり魔法陣踏んじゃうかもな。それが狙いなんだけど。
看板の内容はどうしよう。
今まで闇に潜むモンスターって使ってきたけど今回先に進むのにモンスター関係ないんだよな。
闇に潜むモンスター……に邪魔されないようにしましょう、でいいや。看板でヒント出さなくても見ればクイズの答えが正解の魔法陣ってわかるし。
正解の道順とクイズの内容はAIに定期的に変えてもらおう。
人類が28階層に足を踏み入れてから1週間ごとに変更って指示を出しておけばいいかな。




