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OLでしたが、ラスボス女王に転生しました~にわかゲーマーだけど『攻略本』スキルを使って、気ままに異世界満喫します  作者: 遥風 かずら


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第6話:深淵の眠り娘 1


 海竜のお肉を調達後、


「半日ほど待ってくれよ。海竜の尻尾は簡単には焼けねえし、時間がかかって仕方ないのでね。申し訳ないね、陛下」


 焼き上がるのに時間がかかり手間もかかる……ということを言って、カーグは気難しい顔をして厨房らしき部屋にこもってしまった。


 というより、居城でのことを任されているのがカーグだったとは驚きだった。しかも食事の用意まで。


「何でも出来るんだね、カーグって」

「それがアレの役目でございますので」

「いずれ外に出ることになったら、カーグも一緒に動くのかな?」


 チャラいイケメンではあるけれど、誤爆の魔法も簡単に避けていたし、結構強そうな気もする。


「……いえ。わたくしと違い、アレの得意なことは守りであり偵察することが主。積極的に動かすことはありません」


 ヘルヴィは長いことカーグと一緒にいる。それなのに、全てを任せるでもないのはどうしてなのだろうか。


 そんな疑問を浮かべつつ、玉座に座って外の様子を見ていた時のこと。

 見えた風景のほとんどは穏やかなものだったのに、戦いが起きている場所があった。


「何だか村の人間たちが争っているようだけど……」

「魔物でも縄張り争いはありますが、人間は土地の争いがあると聞きます。恐らく水神が眠る沼一帯を巡ってのことでしょう」

「――水神?」


 私の疑問に、


「ええ。唯一棲息がはっきりしている者が眠る場所なのです。人間同士の争いはどうでもいいのですが、ついでに起こすとしましょう」


 ――とヘルヴィが言ったので、理解しないまま転移。

 そして今いるところは、沼を境として隔てている二つの村近く。


 どの世界でも争いがあるとはいえ、間近で戦いを見るのは初めてなので戸惑い。

 降りても問題無いものの、地上に降りることなく上空で静観中。

 

 戦いといっても魔法が飛びかうでもなく、斧や鎌、木の棒、石つぶてといったもので投げ合っているだけ。村の男たちが罵声を罵りながらの戦いに過ぎない。


 しかも沼向こうの相手に届かない武器が、次々と沼に落ちてそのまま沈んでいる。

 争い以前に汚しているんじゃ……。


「かつてイグロニアには、わたくしとカーグの他に役割を持った種族らが住んでおりました」


 そういえば最初の本にそんなことが書かれていたような。私が目覚めたことで全てが目覚める……だった気が。


「ですが、今ではほとんどの配下は眠ったままで棲息不明。しかしアリーア様がこうしてお目覚めになられましたので、何かしらの影響が起きているのでしょう」


 つまり、私の目覚めで配下だった魔物が力の影響を出し始めたと。


「それが水神?」

「彼女は正確には神に属する魔物。水を浄化する守り神として底で眠っているはずなのです」


 水を守る守り神。そうなると水を汚す者は、敵とみなされているはず。それが人間か魔物の仕業かまでは不明だとしても。


 ついつい転生前の感覚で考えてしまうけど、今の私はラスボス女王。争いを目の前で見ていると、敵となるのはどう考えても人間のような気がしてならない。


 そうだとしても、まずはこの争いを収めた方がいいのかどうか。


「沼が随分と濁ってるみたいだけど……」


 村同士の争いはよく聞こえないものの、お互いに何かを主張しているようにも見える。沼のことが関係しているとすれば、この争いは長く続いているものかも。


「水の淀みですね。落ちて行く無意味な武器が年月で積み重ねられ、底に沈んで溜まっているようです」


 注意深く見ると、伐採で森も少なくなってる感じがする。沼周辺の森に影響を及ぼして資源も減っているのかも。そのことで揉めているとしたら……。


 どっちが悪いというわけでも無さそうなのに、空気が汚れてることで争いが起きている。何だか転生前の世界とあまり変わらないなぁ。


「じゃあ、沼底に眠っている水神に悪い影響が出るんじゃ……?」

「それは問題無いかと。ただ、汚した原因が人間にあるとすれば、そろそろ……」

「えっ?」


 人間たちの争いには介入するつもりも無く、ヘルヴィは淡々と光景を眺めていた。しかし、これから何かが起きることが分かっているかのような表情を見せている。


 ゴゴゴゴ……。


 村人同士の争いとは別に、どこからか突き上げるような音が聞こえて来た。

 もしかしてこれは、


「……短気な娘にしては辛抱した方ですね。アリーア様。あの娘が目覚めました」

「娘? ど、どの?」

「沼底で眠っていた娘……"シグリエス"でございます」


 配下である魔物でしかも水神。短気というのは心配だけど、どうなることやら。

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