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白き大英雄と白銀の守護者  作者: 澤中雅
第十六章 いびつな絆を優しい未来に編
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最終決戦

アクセスありがとうございます!



 ミライとの共闘でロロベリアの暴走を食い止めるのに成功。

 その代償としてミライは精霊力の解放を維持できなくなりロロベリアと共に落下していたが、フロッツの手によって二人は無事救出された。


「あの……いったい何が……それにこの人は……?」


 まだ意識が朦朧としているのか、右脇に抱えたロロベリアは左脇でグッタリしているミライを困惑げに見詰めている。

 どうやら自分の身に起きた変化、ミライについて覚えていないらしいが、フロッツとしても何が起きたのか未だ不明。

 また事情を知っているであろうミライも意識を失っていることから、協力を求めた際にロロベリアと引き離さない条件は自分がこうなると予想していたのだろう。

 なら少なくとも当分目を覚ますことはない。色々聞きたいことがあっただけに残念でならないが、どちらにせよ今はそんな余裕も無いわけで。


「その辺については後にして、ロロちゃんは精霊力を解放できるかな」

「? 出来ますけど……」

「ならやってみて」

「…………はい」


 故にフロッツが促せばロロベリアは素直に精霊力を解放。


「…………え?」

「ほんと、どうなってんだろうね」


 自分の異変に気づいたのか目を丸くするロロベリアに対しフロッツは苦笑い。

 というのも精霊力を解放したロロベリアの瞳や髪色はサファイアよりも美しい蒼、つまり水の精霊術士の特徴。強いて今までと違うところは輝きがより鮮やかになっているくらいだ。

 にも関わらずロロベリアが気づいたのは他でもない、精霊力の保有量だ。

 なんせ暴走時はそこにあってない妙な感覚はあった精霊力が、元に戻ってからは本来の解放時以上の精霊力が感じられていた。解放すればより顕著に感じられるだけに本人も驚いたのだろう。


 しかも先ほどまで様々な精霊術を絶え間なく放っていたにも関わらず、()()()()()()()()()()()()


 同時にミライの言っていた指摘を少しだけ理解できた。

 今のロロベリアは解放状態でも意識を保ち、多少鮮やかではあるも髪の長さは変わらない。もしかすると先ほどの暴走は新解放と同じく溢れた精霊力が脳に負荷を与えたことによるものか。

 しかしミライが乱れた精霊力の流れを正常に戻したことで、精霊力が溢れることなく意識を保てるようになった。髪の長さが同じことや煌めきが帯びないのもその為か。

 まあ所詮は憶測、なぜ急に精霊力を感じられるようになったのか。

 自身の精霊力を流し込むことで、ミライがどのようにして正常な流れにしたのかは謎のまま。

 なんにせよミライが目を覚ませば全てが分かるなら、今はやるべきことを優先するのみ。


「フロッツさん……あの……」

「疑問は後回しってね。それよりも俺たちの目的は?」

「……お姉ちゃんを助けること」

「正解。そんでもって、あれを見てごらん」


「…………へ」


 フロッツに言われるまま下を見たロロベリアはようやく気づいたのか間抜けな声を漏らす。

 地上は激しい戦場跡のように所々が抉れた悲惨な状態。あれだけ精霊術の猛攻を受ければ当然で、それをロロベリア自身によるものとは思いもしないだろう。

 更に中心地は何事もなかったように細長い岩柱が残ったままで。


「どうしてこんな……それにあそこに居るの……お姉ちゃん、ですよね」


 しかも岩柱の上にはラタニが横たわったまま。記憶がなければ困惑もする。

 ラタニの周辺のみ無事なのは、恐らくロロベリアの精霊術を自身の精霊力で防ぎ続けたことで被害を受けなかったのだろう。

 それでもあれだけの猛攻を耐え続ければラタニもただでは済まない。現に感じられる精霊力は弱々しく、風の精霊術による拘束も解けたはずなのに未だ倒れたまま。

 感じられる精霊力が消耗しているのも、黒い精霊力を浄化する白い精霊力を含んだ精霊術を受け続けた結果か。


「この子を頼むぜ」

「お任せ下さい」


 とにかくフロッツは猛攻の跡地付近に降り立ちミライをエニシに預ける。


「お前も気をつけろよ」

「頼んだ……」

「早く済ませましょう」

「だよな」


 続けてダリア、スレイ、カナリアの激励を受けてロロベリアを抱えたまま早々にラタニの元へ飛び立った。


「思うところはあるかもだけど、ラタニ殿の精霊石を浄化するなら今がチャンスなのは分かるよね」

「……はい」


 目的を明確に示せばしっかり切り替えるのがロロベリア。現状に対する疑問は後に回して集中しているのが表情で伝わった。

 故にフロッツもフォローするべく警戒心を強めラタニの傍らに降り立つ。

 いつでもロロベリアを守れるよう精霊力を高め見守る中――


「いきます……っ」


 両手をラタニの胸に当てたロロベリアは目を閉じ精霊力をゆっくりと流し込む。


『ゥ……ァァァァ――――ッ』



 ロロベリアの精霊力を受けて黒い精霊力が拒絶反応を起こしたのかラタニの体が跳ね上がり、悲鳴を上げながらロロベリアの両手首を掴んだ。


「大人しくしてくれよ!」


 即座にフロッツがラタニを押さえつけるも、両手に精霊力を集約させた腕力でも押し戻されるほどに抵抗が強い。

 やはり従来の手順通り、一時的にでもラタニの意識を呼び戻さなければ浄化は難しいのか。


「ち……ロロちゃん、早く!」

「そう言われましても……っ」


『ヴァァァァァァ――――ッ!』


 更に咆哮と共にラタニの精霊力が爆発的に膨れあがり黒焔も復活。


「……っ。離れるぞ!」

「待って――」


『もう無理だ!』


 これ以上の浄化作業は危険と粘るロロベリアの手を強引に取ったフロッツは飛翔術で離脱する間も黒焔は広がるだけ地面を抉り、小規模なクレーターを作り上げてしまった。

 あのまま残っていれば自分たちも黒焔に飲み込まれてただでは済まなかっただろう。故に離脱の判断は正しかったが状況は最悪で。



『ハ……ハ……ッ』



「……随分と弱ってるみたいだけど、まだやれそうか」


 クレーターの中心部に浮かぶラタニの精霊力は弱まっているものの、消耗しているのは自分たちも同じ。


「やるしかないだろう」

「最後の踏ん張りどころ、ですな」


 それでも戦意は失わずフロッツの呼びかけにダリアとエニシはそれぞれの武器を手にして己を奮い立たせる。


「スレイはロロベリアさんとその子を連れて下がってください。隊長の信念を忘れたとは言わせませんよ」


 ただカナリアが説得するよう大技を連発していたスレイの精霊力は限界に近い。


「……カナリアも忘れるな」

「忘れませんよ」


 本人も引き際を誤らず素直にミライを抱きかかえるも、ロロベリアは首を振って拒否。


「私もやれます。……どうしてか分からないけど精霊力は充分ありますから」


 確かに精霊力の保有量でいえばロロベリアは最も戦力になるが、残念ながら経験値が心許ない。加えて急激に増えた精霊力を上手く扱えるか不安もある。


「まあまあ。ここは俺たちに任せておけって」

「ですが……」

「その精霊力がラタニ殿を救う最後の鍵になるってのを忘れずに」

「…………はい」


 ロロベリアも薄々感づいているのか、温存するよう促せば最後は渋々ながらもスレイと共に撤退してくれた。

 お陰で時間稼ぎに集中できるが肝心のアヤトがいつ目を覚ますのか分からないだけに、ここからは命懸けの時間稼ぎになる。



『ァ……アアアアア――――ッ』



「くるぞ――っ」


 それでも弱音を吐くわけにもいかないと、まずは撤退する二人を守るべく放たれた黒弾を迎撃するべくフロッツは精霊術を放つ寸前――


「――()()


 横を駆け抜けた疾風が黒弾を両断。


「なにがどうなってやがるんだ」


 一瞬の出来事に虚を突かれるも、目の前に降り立つその背中に安堵の息が漏れた。


「……ようやくお目覚めのようで」


 肩透かしを食った気分だが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()




暴走状態から戻ったロロに変化が起きていますが今は置いておくとして、浄化のチャンスもラタニの抵抗によって失敗に終わりました。

絶体絶命と思われる中、ついにアヤトが復活。これで再び役者が揃いましたね。

そして紆余曲折のあったラタニ救出作戦は次回で決着となります。



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読んでいただき、ありがとうございました!


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