出会い
えと、なんか構成ができたもので。^^;
続きが書きたくてつい更新しました。
楽しんでくれてる人いるのかなぁ?^^ノ
第3話『出会い』
チュンチュン、チュンチュン
鳥の囀り声を耳元で感じながら、神耶は眠そうに目を開ける。
目の前には数羽の小鳥の姿。
周囲は緑に囲まれ、至る所から小鳥の鳴き声が聞こえる。
木の根元には色とりどりの花々が咲き乱れ、草地の葉は青々と生い茂っている。
その傍には小川が流れ、そこには多くの魚が清流に身を任せている。
季節はもうすぐ冬にさしかかろうと言うのに、肌寒さをまったく感じさせない。
「って、ちょっと待て!?」
と、やっと意識がハッキリとしてきたのか、取り乱し始める。
「ドコだよここ!?
Where am I?だよ!?
ってか何!?
俺死んだんじゃないの!?」
と、周囲に誰もいない事を良いことに一気に自身の思いを吐き出す。
確かに、トラックに撥ねられ死を覚悟した直後である。
その直後、この光景を見ることになったら誰でも取り乱すとは思うが。
「何なんだ・・・?
俺、さっき確かに交差点でトラックにひかれたはずだろ・・・?
しかもドコだよここ、完全に森の中じゃないか!?」
ブツブツブツ・・・
そう言うと神耶は独り言を始め、自身の現状把握に全力を注ぎ始める。
神耶の思考はとどまる事を知らず、その後30分ほど思考に没頭するのだった。
・
・
・
・
・
・
≪神耶の脳内思考≫
とりあえずあの時の状況を思い出すとしよう。
何事も状況把握が大切だと思う。
キキーッ!
突っ込んできたトラックのブレーキ音。
それが俺のこの地球という生の世界で聞く最後の音である。
あまりにも素っ気なく、あまりにも呆気ない終焉。
17歳というあまりにも若すぎ、そして無意味な終わりである。
そう、死を間近に控えた俺は自覚、認識していた。
しかし、当の俺はさほど嘆くということをしようとは思わなかった。
葉と鈴を助けられたという達成感からか、自分が死ぬと知っても然程も恐怖は浮かんでこない。
その瞬間の俺を見た者はいなかったが、その表情は安堵の色に染まっていたという。
あの時の状況にナレーションを付けるとなるとこんなところだろうか。
まったく、これはいったいどういうことだよ・・・。
どう見てもここは交差点じゃないし、その前に俺が生きているだって?
あの速度のトラックに撥ねられたんだ、生きているとは到底思えない。
だとするとここは天国、なのか?
地獄ってことは・・・、無いな、あの光景が地獄にあるとは思えない。
だが天国に行く前に、閻魔様の篩い分けがされるんじゃなかったっけ?
・
・
・
・
・
・
そして30分後。
結局、ほとんど何も答えを導くことが出来ぬまま時間だけが過ぎたのだった。
「ふ〜、ダメだ、まったく纏まらない。
一番可能性が高いのは天国って可能性だということぐらいか。」
と、現状一番可能性の高そうなものを上げてみる。
「ゲームとかでは衝撃を受けて異世界に、って言うのが妥当なんだけど・・・。
流石にそんな都合のいい話無いよな、どう考えても可能性はとても低いな。
The possibility is very low .だ。」
見知らぬ地に来ても、神耶の英語は健在である。
そうこうしているうちに、ある程度の余裕が出てきたのだろうか。
「ここにずっといても仕方が無い。
とりあえずこの川を沿って下ってみるとしよう。
ゲームとかでも川に沿って歩くのはセオリーだし、町があるかもしれない。」
と、若干の趣味から得た知識を活用しながらそう結論づけた神耶だった。
そして、そばにあった手ごろな長さの気の棒を拾い上げる。
「無いよりはあったほうがいいだろ。
流石に虎とかが出てくるとは思わないけど、何が出てくるかわからないしね。」
と一言呟いた後、神耶はトコトコと下流へ歩き始めるのだった。
数時間後、この選択が神耶をある1つの出会いに導くことなるのである。
だがこのときの神耶に、それを知る術はないのであった。
・
・
・
・
・
・
そうして歩き始めて2時間後。
「疲れたー!」
そう突然叫ぶ神耶。
そして、そばにある木に寄りかかりながら大きな溜息をつくのだった。
「何で何も無いのさ!?」
そうなのである。
当初予測していた町の姿は未だ見えず。
それどころか村でさえ発見することが出来ないのだった。
当初、真上から燦々と照りつけていた太陽は西に傾き始め、神耶の傍に小さな影を作り始める。
この気候を考えると春から夏にかけてであると予測しても問題ないだろう。
尤も、この世界に四季というものが存在するのであれば、であるが。
流石に風邪を引くことは無いだろうが、出来るだけちゃんとした休憩を取りたいとも思う。
そんな時である。
「キャーーーーッ!」
女性の悲鳴が森に響き渡ったのは。
そのの悲鳴は命の危険を訴えるように鋭く、切羽詰る状況が感じられた。
「な、なんだなんだっ!?
what!?だよっ!?」
半ばうとうとと眠りかけていた神耶はその悲鳴に飛び起きる。
そして、抱え込むようにして持っていた気の棒を握り直し、
「女性の悲鳴・・・、助けに行かないと!」
実はこの神耶という少年、弱いもの虐めは許せない性質なのであった。
女性や子供、お年寄りなどに危害を加えようとするものは例外なく止めに入るほどである。
そして今回も例外ではない。
というより、神耶にとって例外など無いのであった。
異常な状況下であるにもかかわらずほぼ反射の勢いで走り出す。
今まで慣れない足場に苦労していたとは思えない速度で、悲鳴の聞こえたほうへと駆けていく神耶。
そうして走って1分ほど、目の前に小さく開けた草地が見えてくる。
その場には数人の男性の姿。
そしてその足元には女性の姿が見える。
その場には押されて転倒したのだろうか、足を押さえながら泣きそうになりながらも男達を睨む女性の姿があった。
腰までとどくかという髪の色は輝くような金色。
男達を睨む双眸は透き通るような青。
小さな顔に大きな眼を備え、どのパーツも完璧すぎるほど整っているのだった。
流石の神耶も、
(これは・・・、鈴と葉に匹敵する容姿をしているじゃないか)
と、感嘆の声を(心の中で)あげるのだった。
そして神耶はその速度を落とすことなく、女性と男達の間に走りこむ。
「ちょっと、ごめんね。」
そう女性に一言。
走り込むなり、神耶は女性を抱きとめ男達と距離をとる。
突然抱き上げられた女性は、何が起こったのかわからないような眼で神耶を見上げる。
そして神耶のその美貌(男に使う言葉なのか?)に見とれ、頬を赤く染めるのだった。
えと、次の更新は土曜か日曜になります〜。
・・・たぶん^^;