番外編 制服お披露目!
理乃が晴れて高校に合格した。
進学しないで働く。という理乃を説得したのは歳の離れた友人達だった。
中卒では、碌な仕事は見つからない。
それに、団体生活に未だ馴染めていない理乃には就職は早過ぎる。
周りだけがハラハラしていた中、本人だけは合格に喜ぶ事もなく淡々としていた。
そんな中、いつものお茶会の連絡が届いた。
いつもならば、その時間に恒例場所となっている喫茶店に行けば良いのだが。
結菜から理乃へと一つの連絡が入った。
結菜:折角だから、制服で来て?みんなには内緒よ♫
何故、制服?
集合の時間は、一度家に帰り、着替える余裕はある。
制服のままでいる方が面倒なのだが、結菜が言うならば、と受諾した。
当日。
時間丁度に現れた理乃に対し、結菜は自分の事のように喜んだ。
「似合ってるわよ〜!可愛い可愛い!葛西君もそう思うでしょ?」
「もう高校生か…。歳を取るわけだ」
「…見た目は変わってないんだが。化け物か」
葛西は老けていなかった。
美形は歳を取らないのか。
「理乃も変わってないぞ?」
理乃には未だ成長期が訪れていなかった。
背が少し伸びたくらいで、顔立ちはほぼ変わっていない。
幼少時にはすでに顔立ちがはっきりしていたのだ。
老け顔とも言う。
「…嫌味か」
「そんなつもりはないんだが」
和やかなのか、殺伐しているのか微妙な話題で雑談が続いた。
高校の感想などを結菜に聞かれたりもしたが殆どの答えが「別に」。
長い付き合いの彼等は慣れもあり、それでも雑談は続く。
結菜がいるからこそ、和気あいあいとした雰囲気が保てていると言っても良い。
いつも通りの彼等に喫茶店の店長である立川は笑いながらも、各自お気に入りの飲み物を出し、仕事の合間に雑談に加わる。
そんな平和な空気は一人の男の参入により打ち砕かれた。
「やぁ。お待た…!理乃!制服!?セーラー服??!うわぁぁあああ!!写真撮らせて!!あ。写メも!生だ!生の女子高生!!生足!!理乃、スカート短すぎないかい?これじゃあ痴漢してくれと言っているようなものだよ?リクエストに答えようじゃグハァ!!」
理乃の綺麗な回し蹴りが昌信の顔面に決まった。
「お義兄さん…開口一番それはないわ…」
結菜は白い目で見ている。
葛西は侮蔑した目で見ている。
理乃は、何事もなかったようにお気に入りのカフェオレを飲んでいた。
どうやら存在ごと無視するつもりのようだ。
「男なら誰もが思うよ!?俺は自分に正直なだけだよ?!似合ってるんだから良いじゃないか」
「思っても口に出したらダメです」
「俺は葛西みたいにムッツリじゃないの」
「痴漢と変態よりマシです」
「…両方ともどうかと思うわ…」
それ以降、理乃が制服姿で彼等に会う事はなかった…。




