表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぐうたら主の相談所  作者: 日下みる
53/63

~お披露目 1~

最近は真知子も慣れて来た事もあり、習うより慣れろ方針で仕事を任せている。

何だかんだと事前はそわそわと五月蝿いが度胸がある彼女は本番に強い人間だ。

理乃はそわそわと五月蝿くする余裕があると分析している。

真知子に任せた結果、何故か真知子が対応すると時間が掛からない事が判明。

自分はそんなに無駄話が多かっただろうか?

首を傾げる理乃。

理乃が担当していた時よりも余裕が出来、受け入れ人数が増えたスケジュールを調整していた真知子が「理乃といる時の体感時間がおかしいの!」と教えた。

より謎が深まった。

体感時間は同じだろう。

一日二十四時間だ。

「何言ってんだコイツ」という視線を向けたら呆れられた。解せぬ。

おかしな事を言っているのは真知子なのだが。

おかしな事と言えば。

「マチ、今晩付き合え」

「え?いいけど。何処に?理乃から誘うなんて珍しいね。明日は雨?」

「明日は晴れの予定だ。下の茶店。そこで飲み会がある」

確かに一階には古い喫茶店がある。

年代物というか昭和臭というものがする喫茶店。

その店はちょいちょい理乃が息抜きに行く所なので、真知子も入った事がある。

疎らな客と静かなマスター。

理乃が好きそうだと思ったものだ。

ファーストフード店に理乃がいたら違和感しかない。

勝手な思い込みだけど、みんな頷いてくれそうな気がする。

「場所は良いけど。飲み会?二人で?」

「いや。何人だ?まぁ身内だけの緊張する価値もない奴等だから大丈夫だろ」

ウチに入った新人が見たいと五月蝿い奴等が数名居たのだ。

ウチにちょいちょい顔を出す奴等だし、その場でいちいち、ご挨拶に付き合わされるのも面倒。

年に一度か二度あるお茶会に真知子も投入。という事で話が決まった。

真知子に承諾なしの一方的に。


カラカラーン


ドアに着けられたカウベルが鳴る。

今時珍しいが、何となく好きな音だ。

「いらっしゃい。一番乗りだよ」

「だろうな」

何せ、階段を下りるだけだ。

他の面子も仕事や予定があり、その上に車で来るのだから一番早いのは理乃達だろう。

「いつもの」

「了解。君はどうするのかな?」

「えっと、カフェオレでお願いします」

「かしこまりました。お好きな席でお待ちください」

お好きな席で、と言われても、理乃が奥の席に既に座っている。

今日は貸し切りなのか、いつもと席の並びが違う。

カウンターに数席。

窓辺や壁沿いに数席。

中央には六席分が纏められ、料理が並ぶのはあそこだろうな、というのがわかる。

そもそもそこまで大きな店でもない。

ゆっくり出来る様にと客席間は広くとってあり、中央に纏められている今はガランとした雰囲気になっている。

それでも寂しいとか味気ない雰囲気はない。

「理乃理乃!」

「ん?」

「ここでやるの?」

「そう言わなかったか?」

「店長さんも知り合い?」

「気付いてなかったか?」

「普通に仲が良いだけかと…」

明らかに歳上だ。

物腰柔らかそうな穏やかな顔立ち。

接客業を営んでいるだけの事はあり、清潔感もあるし、感じの良い人だ。

滞在時間も長いので、管理人も副業で兼任している。

あ。だから以前呼んだ時も慣れていたのか。

理乃の周りは何故こうも歳上の人が多いのか…。

「まさか、今日集まる人ってみんな歳上の人?!」

「子連れで来なければな」

いつものお茶会には連れて来ないので、今日も連れて来ないとは思うが。

武田弟の子供達が来ると最年少の座はあちらのものだ。

「ま、まぁ、武田先生より凄い人は来ないよね。流石に。うん。大丈夫。頑張れ私」

「何を緊張してんだか。安心しろ。アレが一番ある意味小物で、ある意味普通だ」

それは全然全く何一つ安心出来る材料じゃないんですけど?!

慌てている真知子を他所に「店長さん」呼びだと誰が誰か分からんな…と考えていた理乃だった。

ポツポツと集まり始め、武田の妻と名乗る結菜(ゆいな)さんという女性が同席した。

結菜さんは優しそうな女性で、真知子はすぐに打ち解けられた。

同性というだけで仲良くなるのは早い。

相手が親しみやすく優しそうな歳上の女性ともなれば尚更。

専業主婦で年頃の子供達に毎日大変だとか。

料理のレシピを聞いたりと話題は尽きない。

来た人達は軽く挨拶しただけで遠くの席へと座っている。

他は男性ばかりなので、真知子としても同性三人の方が気楽だ。

結菜さんと一緒に武田先生も来たのだが、別の席へと座っている。

「まだ始めないの?」

そこそこ人数は集まっているし、冷めても大丈夫な料理も置かれ始めた。

「一番喧しいのがまだだからな」

「先に始めてると五月蝿いのよね。なら早く来れば良いのに」

「俺は忙しいの。が口癖みたいなもんだからな。その割にちょいちょい顔を出して来るが」

24時間365日経営の研究所。

休みがあるわけもなく。

監視しとけと言った理乃としては、そこまでしなくても。とは思うが。

まぁ信頼出来る人間を数名代わりに置いたとしても休みを回すとなれば、負担は全て所長に行くのだろう。

噂をすれば何とやら。

「やあ。待たせたかい?」

「遅い」

「おや。そんなに早く俺と会いたかったの?」

「死ね」

「相変わらずだねぇ。さぁ、始めようか」

一番の年長者が音頭を取る事に異論はない。

そもそも発案者はこの男だ。

被害は最小限にしようと理乃はこれ以上突っ込まない。

アレはただのお決まりの挨拶である。

今回の飲み会のメインは真知子だ。

まぁ、頑張れ。と心の中でエールを送り放置する。

ここの飯はなかなか食べれる。

飲み物といい、理乃好みの店だ。

今日もいつも通り食べて雑談すればいい。

(頑張れ、マチ。俺は知らん。)

オロオロする真知子を微笑ましく見守る結菜。

態度が違うだけで、立派に理乃と同罪だと真知子は思った。

早速近付いて来たのは音頭を取った男性。

歳上なのはわかるが、どれくらいかは分からない。

武田先生よりも若く見えるかな?

でも、何だか雰囲気が武田先生とは段違い。

何か怖い。何か不気味。

その柔らかな物腰が。爽やかな笑顔が。

取って喰われて骨までしゃぶり尽くされて捨てられそう。

真知子は何となくゾッとした。

理乃の知り合いに普通の人はいない。

真知子は改めて実感した。

「やぁ。初めまして。俺は武田昌信。愚弟とはもう会ってるんだったね?よろしくね」

「あ、えと。鈴木真知子です。よろしくお願いします。…って、え?武田?」

「そう。あの似てない馬鹿の兄だよ。ごめんね。馬鹿な弟で。君にも迷惑を掛けただろう?俺が言っておくから、君は安心して理乃を支えてくれると嬉しいな」

馬鹿って二回言ったー!!

大事な事ですか。

後ろで武田先生凹んでますけど。

顔色悪いですけど大丈夫ですか。

「いえ、私は別に…。出来るだけ頑張ります」

「うんうん。無理は禁物だからね。出来る範囲でやればいいさ。適材適所。理乃は苦手な事が多いからね。フォローのしがいがあるだろう?」

この人、言う事が全部怖い…。

良い人なのかもしれないけど、何か怖い。

武田先生の兄って事は歳上?

見えないんですけど。

似てないんですけど。

「いえ、まだまだ勉強中ですし…。理乃の性格は一応慣れているので何とか」

「あぁ。中学からの友人なんだっけ?」

「はい」

「あはは。なら大丈夫だね」

あははははー。

すみません。会話続きません。

助けてヘルプミー。

「・・・昌信、マチが困ってるぞ」

「おや。人見知り屋さんなのかな?」

「自分の灰汁の強さを忘れるな」

理乃、助けてくれるのは嬉しいけど、それ、人の事言えないからね?

頬杖付きながら呆れてるけど。

同類だから。明らかに武田先生より同類だから!!

「えーと。自己紹介していないのは誰かな?立川はしたの?」

立川?誰?

「俺も必要ですか?顔見知りではありますけど」

店長さんでしたか!

お名前知りませんでした!

「どうせならしておけばいいじゃない。減るものでもあるまいし」

「まぁ、そうですね。真知子さん、だっけ。俺は立川(すばる)。この人の後輩って縁でね。どうぞこれからも当店をご贔屓くださると光栄です」

「こちらこそいつもお世話になっております」

武田先生のお兄さんはどれだけ童顔なんですか?

そしてどれだけ顔が広いんですか?

職業柄ですか?

一人職業不明なんですけれど。

普通のサラリーマンじゃないことは確かな気がします。

普通のサラリーマンにこんな人がいたら、乗っ取られそう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ