表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ぐうたら主の相談所  作者: 日下みる
PR
34/63

~勉強編 4~

夜子達が実家に帰って数ヶ月後、理乃の元へ手紙が届いた。

付き合いの長い雪宛に来る方が自然だし、そうでなければ、二人宛に来る筈だ。

けれど、宛名は理乃のみだった。

首を傾げながらも、理乃だけで手紙を読んだ。

後から内容を雪に伝えればいいし、読ませればいい。

そんな思いで手紙を開いた。


”理乃へ

お久しぶりです。元気ですか?

理乃の事だから、きっと元気だよね。

最初にお願いがあります。

いきなりでごめんね。

この手紙は雪には絶対に見せないで欲しいの。

あの子の事だから、また泣いちゃうでしょ?

そしたら、慰める理乃は大変だもんね。

私も、雪みたいに泣いてれば良かったって思います。

雪みたいに理乃に泣きついてれば、慰めて貰えていれば、

あの時、逃げずに耐えられてたのかなって。

何で耐えられなかったんだろうって、今でも後悔しています。

あの時、逃げなきゃ良かったって。

そうしたら、今でも雪と理乃と楽しく過ごせたのにって。

愚痴ばっかりでごめんね。

でも理乃に知って欲しかったの。

理乃にしか言えないから、最後まで読んでくれると嬉しいです。

あの時、逃げてごめんなさい。

私の人生で、雪と花音と理乃の四人でいる時が一番楽しかったよ。

一番嬉しかった。

一番希望があった。

一番、幸せでした。

理乃が来てから、真っ暗な道にお月様が照らしているみたいに明るくなったんだよ。

暗闇の中、右往左往していた私達が行く道を優しく照らしてくれてありがとう。

理乃がいなかったら、もっと早く諦めてたと思います。

もっと雪と一緒に居たかった。

もっと理乃と居たかった。

雪みたいに理乃に甘えたかった。

無理して強がらなきゃ良かったって思います。

理乃も、どうか強がらないで。

辛い時は雪に泣きついてね。

どうか、私の変わりに幸せに生きて下さい。

この手紙が届く頃には私はもういないです。

お月様の理乃の側にいられる名前で良かった。

夜空になって、ずっと二人を見守ってるね。

花音と合流出来たら、楽しいだろうな。

今までありがとう。


P.S 大好きです。


夜子より”


「・・・バカ」

理乃は夜子の勝手な約束は無視して、雪にも手紙を渡した。

直接怒れないのを後悔すれば良いと思いながら。

抗議に来てくれれば、自分は見える。

見えるのに。

夜子は見えなかった。


雪はやはり泣いた。

けれど、理乃に抱き着こうとはしなかった。

自分の身体を自分で抱き締めて耐えていた。

「お前もバカか」

無理やり雪を抱き寄せて抱え込む。

頭を顎で固定してやった。

最初は抵抗したが、途中から縋り付いて大泣きし始めた。

それでいい。

夜子も辛い時は泣けと言っている。

泣けない自分の代わりに雪が泣いてくれればいい。

泣けない事を後悔もしたが、感謝もした。

ここで自分が泣いたら、雪が大変な事になる。

背中や頭を撫でながら、雪が泣き止むまで、ずっと抱き締めていた。

抱き締めながら、窓から見える夜空を見た。

理乃には”空”がわからない。

ただ窓の形をした色が見えるだけ。

”空”が遠いモノだと分からない。

”空”は上にある大きな壁。

「・・・俺が一番、夜空を近いモノだと認識出来るのか・・・」

今後、夜が来る度にすぐそこに夜子が来る。

暗い壁ではなく、夜子が。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ