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俺の天職はダンジョン管理人らしい  作者: 白井木蓮
第十一章 マナの守り人

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第三百四十八話 パラディン隊設立告知

「パラディン隊設立!?」


「大樹のダンジョンとマルセールの共同出資だって!?」


「王国騎士とはどう違うんだ?」


「王国騎士は国全体を……いや、王都しか守ってないですね」


「じゃあマルセールを中心に守る騎士ってことか!」


「パラディンって名前がカッコいい!」


「来月に採用試験だってよ!」


 ふふっ、朝早くから盛り上がってるようだな。

 みんなの目につくように宿屋ロビー、ダンジョン酒場、バイキング会場に複数枚ずつビラが貼ってある。


「チュリ(みんながパラディンになりたいって言ったらどうするんですか?)」


「上限の人数は決まってるから大丈夫だよ。でもEランク全員に抜けられたら困るからそのときは面接で落とす」


「チュリ(酷い……なにか理由を考えておいたほうがいいですよ。じゃあ私たちは行ってきますね)」


「あぁ。今日も強くなってきてくれ」


「チュリ(はい。ボネもちゃんと修行するんですよ?)」


「ミャ~(は~い)」


「チュリ(嘘っぽい返事ですね……)」


 ピピはシルバ、メタリン、ウェルダンと共に転移魔法陣部屋から転移していった。


「おはようなのです~」


「おはよう。今日の朝食はウチで食べたほうがいいぞ」


「なんでなのです? ……あ、パラディンの件なのです?」


「あぁ。ちょっとした騒ぎになってる」


「朝から色々聞かれるのは面倒なのです……厨房エリア行ってくるのです」


 既に管理人室前には何人かがやってきた。

 きっと俺に話を聞きに来たんだろう。

 真っ先に来たのはいつも通りティアリスさんだったけどな。

 誰も出てこないことを知るとすぐに戻っていったが。

 俺がなにも話す気はないというスタンスをわかってくれたんだと思う。

 でもさすがに七時過ぎに来るのはやめてほしい。


 そしてユウナが朝食を食べ終わるのを待ち、受付を開始する。


「おはようございます」


「おはようございます! 今日もよろしくお願いします!」


「今日の十二時半頃、みなさんに重要なお知らせの放送が入りますので、どこかでゆっくりお聞きくださいね」


「重要なお知らせですか!? わかりました!」


 元気がいいな。

 その元気のまま行けばもっと収入も増えそうなのに、なぜそうはならないんだろうか。

 もしかしたら通い組が少ないというより宿屋組の収入が多すぎるのが問題なのかもしれない。


「「おはようございます」」


「あっ! マルコ君にアンドレア君! おはようなのです!」


「うん、おはよう。ユウナは今日も元気だね」


「いつも元気なのです!」


 この二人か。

 宿屋組とか通い組とか関係なく、一番意外な結果になってる二人なんだよなぁ。


 屍村付近で戦ってるところを見たときにはもっとやれそうな雰囲気だったのに。

 二人とも元々テンションが低いのか、あまり闘争心を表に出さないし。


「行ってらっしゃいなのです!」


 自分たちの実力に自信が持てないのかもしれない。

 自分たちは地下三階で手こずってるのに、地下四階には百五十人以上もいるわけだからな。

 二人パーティだから地下三階で苦戦するというのもあるだろうけど。


 そもそもずっと二人でやってきてるんだよな。

 屍村の人たちと仲が悪いわけではないはずなのに、ここでもパーティを組もうとしないし。


 ……なにかきっかけが必要か。




 そして受付は順調に進み、小屋での新規への説明も終了した。


「ユウナ、一人での魔法の修行もいいが、たまには助っ人に行ってきたらどうだ?」


「え、でも今日こそシャルルちゃん帰ってくるかもしれないのです……」


「もし帰ってきても俺からちゃんと説明するからさ。マルコさんとアンドレアさんのところに行ってみてほしいんだ」


「え? あの二人なのです? なにか言われたのです?」


「いや、なにも言われてないし、むしろ拒否される可能性もある。でもなにか悩んでる様子だしさ、さりげなく近付いてみてくれ」


「むむ、それを聞いたらユウシャ村の仲間として放っておけないのです! 偶然を装って合流してみるのです!」


「頼んだぞ。回復魔法と補助魔法多めで、攻撃魔法は少なめでな」


「了解なのです! 準備して行ってくるのです!」


 ユウナは楽しそうに小屋から出ていった。


 シャルルが帰ってくるまでダンジョンには入らないって決めてたみたいだけど、そんなのシャルルだって望んでないだろうしな。


 さて、管理人室に戻る前に木工職人工房へ行くか。


 そしてバックヤードにやってきた。

 住み込みの防具職人が増えたからか、ストアの店番も兼ねてこんな早い時間からもう数人が作業しているようだ。


「「「おはようございます!」」」


「おはようございます。朝早くからご苦労様です」


 まだまだ俺とは距離があるな。

 みんな俺より年上なんだからもっと軽い感じでいいのに。


「ロイス君、おはようございます」


 ストアからホルンが出てきた。


「おはよう。パラディン用の装備は順調か?」


「はい。デザインは完成したので、早速今日から試作に入ります」


「早いな。採用試験までまだ時間あるから急がなくてもいいぞ」


「みんな気合入ってますからすぐにでも作りたいんですよ」


 確かに俺も早く見たい。

 数パターンあるからそれぞれがどんな仕上がりになるか楽しみだな。


 ホルンと別れ、まだできたばかりの木工職人工房に入る。


 ……寝てるのか?


 というかまた泊まってたのか。

 港町……じゃなくて南マルセールから通うのが面倒なのはわかるけどさ。

 せっかくメロディさんやニーニャが待っててくれる家があるのに。


「ジジイ、もう朝ですよ」


「……ほぇ?」


 マヌケな声出すなよ……。


「朝ごはんかの?」


「それは自分でバイキング会場に行ってきてくださいよ。それよりユウトさんはまだ来ませんか?」


「今何時じゃ……まだ八時半か。昨日遅かったから今日は九時くらいじゃないかのう」


「じゃあジジイでいいです。マルコさんとアンドレアさんのことなんですけど」


「ん? ……お~、あやつらか」


 まだボケてはなさそうだな。


「以前に話聞いたとき、あの二人は戦う目的がわからなくなって屍村に来たって言ってましたよね? 今でもそうなんですか?」


「どうじゃろうか。この前の帝国崩壊のときは屍村や住人を守るために戦っておったからのう。なにか気になることがあったのか?」


「なんだか抜け殻のような状態のまま毎日ウチに来ているような気がするもんですから。強さにもお金にも興味がないって感じに見えてしまうんですよ」


「ふむ。……それなら倒すより守るほうが向いてるんじゃないじゃろうか?」


「え? ……つまりパラディン向きってことですか?」


「欲がないってことは自分のためには頑張れんということじゃろうからな。魔王が復活したとわかった今でもそうなんじゃからのう」


 欲がないんならわざわざ採用試験を受けに来たりもしなさそうだけど。

 でもそういう性格の人たちがいるってわかっただけでも勉強になったな。


「ありがとうございます。参考にさせていただきますね」


「へ? どうしたんじゃ? 気味が悪いのう……」


「じゃあ俺はまだ受付の仕事がありますのでこれで。パラディン用の杖の試作もお願いしますよ?」


「うむ……」


 木工職人工房を出て、バックヤードの転移魔法陣から家に戻る。


「あっ!? お兄! 仕事サボってどこに行ってたのよ!?」


「大事な話だよ。そういやララもマルコさんとアンドレアさん知ってるよな?」


「え? うん! いいコンビだよ!」


「コンビか。パラディン隊でも前衛と魔道士を基本パートナーとして組ませようか」


「いいけど、二人で組ませられるほど魔道士はいないんじゃない?」


「そこはあれだよ。魔力持ちなら魔道士に換算してさ」


「魔法杖がある時代に少しくらい魔力あったって意味ないって。魔石は節約しないとダメなんだからね?」


 そんな元も子もないようなこと言うなよ……。

 俺は例え少しだけでも魔力が欲しかったと今でも思ってるのに。

 俺にはマナがあるといっても自分で好きに使えないんじゃ意味ないし。


「それよりついさっきセバスさんから連絡があったよ」


「なんて?」


「ソボク村、ビール村、ボクチク村の村長たちがさ、村にもパラディンを派遣してほしいって言ってるってさ」


「それ絶対にセバスさんが話を持っていっただろ……」


「どっちでもいいんじゃない? どうせ道路の見回りで村まで行くことになってたんだしさ。それに採用人数も増やせるし」


「その分ウチの出費も増えるんだからな? 本当に大丈夫なんだろうな?」


「大丈夫だって。南マルセール駅の24ストアの売り上げも絶好調だし。特にお弁当の売り上げなんて凄いことになってるんだよ?」


「……数字は見たが、実際に現地に行ってみないことにはなぁ~」


「ダメだからね? おとなしくここで画面越しに見てて」


 いつになったら出かけていい許可が下りるのだろうか……。


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