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文太と真堂丸   作者: だかずお
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流れひとつに



鬼ヶ島での休息の日々は続いている


鬼神の部下であった鬼達は、大帝国との連絡を慎重にとりあっていた。


何故なら鬼神がもしいなくなったことがばれれば、すぐにでも大帝国の連中はこの地にやってくるだろう、それにうまくやり取りすればこちらにとって何か優位な立場にたてるやもしれない。


鬼達は全力で文太達の力になることを、心に決めていた。


我々を救ってくれ、人との繋がりをつくってくれた恩人達はいまや仲間同然であった。



キィン キン 早朝から森の中、刀の交わる音


それは、道来と菊一の命をかけた修行


「残り2日、そんなんで俺に勝てるか?このままじゃ、この先仲間の力になれんぞ」


「俺を殺すつもりで来い道来」


「斬らなきゃ、斬られると思え、俺は一山の様に甘くないぞ、やらなきゃ、やられる戦と同じだ」



キィン



道来の首元ギリギリ刀がかする


菊一の言葉に嘘はなかった、今のもかわせなきゃ自分は先ほど死んでいた。


ハアハア 強い、さすが一山さんのかつての仲間


年をとり、全盛期を過ぎてもこんなに強いとは


道来は微笑む


ありがたい、己もまだまだ強くなれる


道来はその時、はっきりと己の道が続いてる事を確信した、俺はまだ成長出来るのだ。


菊一は見事に道来の心の中を表情から読み取っている。


ふっ、良い目をしてやがる


俺を超えていけ、 道来


死ぬんじゃねえぞ


キィン キィン キン キンッ


木の陰から太一は必死に道来を見つめていた。

手のひらには汗がたまり、足は震える、道来さん頑張れ。


木の上、ガルゥラは全てを見ていた。


「ふんっ」


文太、一之助、しんべえはののや、青鬼と島の人間達と島の復興に全力で力を注いでいる


「なんだか、人の為になることも悪くねぇな」しんべえは額の汗を拭った。


「これからが、島の人間にとっては、頑張り時でごんす、今あっし達に出来ることを手伝わせてもらうでごんすよ」


僕は真堂丸が闘うことになるこれからの戦に不安もあったが、僕には真堂丸を信じることしか出来ない。

心配するなら信頼しよう。

心の中強く決心した。


僕は真堂丸を信じている



その頃


真堂丸は石の上に座り 目をつむっていた


心の中に浮かぶのは


骸、一斎の姿


俺が戦った中で間違いなく一番強い奴らだろう


死など常に見つめてきた


命を賭けた刀でのやりとりの隣り合わせにあるのは常に死


今まで死などは恐れていない


自分が負けるはずがないとおごっていたか?


真堂丸は笑った


面白い、俺自身なぜ心がこんなに高揚している?


自分を超えてるだろう者達と死を賭けたやりとりが楽しみなのか?


自分の想像を超える刀の使い手に出会えた事が嬉しいのか?


一体どれほどの技術を持つ


一体どれほど強き信念を持ちここまで歩いて来た





ザッ


真堂丸は立ち上がる





決着をつけよう




これは己との決着でもある


覚悟の決まっている真堂丸の心は頭上に浮かぶ青空のように晴々していた。


目の前に立ち現われる運命に身を委ね、全力で向かっていく、そんな気持ちが全身を包んでいる


挑むのは最強の宿敵達


もう引き返すことは出来ない不気味にほくそ笑む扉が目の前で鋭い牙をとがらせ大きな口を開いている


地獄?絶望?に続く大きな扉に真堂丸は躊躇なく踏み込み進む


覚悟の決まったその男に恐怖はなかった




ザッ ザッ ザッッ




大帝国は度重なる幹部の敗北に動きを見せている、


「忌々しい奴だ、真堂丸」

それは、大帝国の大頭 鬼道


「次々と我が組織の幹部を討ち取るとは、まさかここまでやるとは」


「鬼道様、報告があります」


全身を白で包む姿の男


「秀峰か、なんだ?」


「とんでもない男でした、あなたが目をつけた一斎と言う奴は」


「どうなった?」


「白竜は、何も出来ずに殺されたもよう」


「ほぉ、驚いた 素晴らしい駒を手に入れたようだな、天はこの俺を見捨ててはいなかったようだ」


「そいつに、真堂丸と骸を殺させろ、叶えたならなんでも望みの物をくれてやると」


「はっ、それと鬼道様、あの計画は順調なのでしょうか?」


「ああ、もちろんだ、俺を誰だと思っている?組織の弱体化はあってはならぬ、また再建しようではないか、新たな白い刃の幹部たちは国中から集めて見せよう」


「はっ頼もしいお言葉」


鬼道は国中に広がる自身の人脈を全活用し再び白い刃の幹部達を集めようとしていたのだ。


「今残っている幹部に連絡をとれ、鬼道から報告があるとな」


「はっ」


「それと、雷獣の件はどうなった?」


「間違いなく、奴は裏切り者に違いありません」


「そうか、残念だ。近々見せしめに八つ裂きにしてやろう」


「はいっ」


その女は女狐の首を目の前に飾りながら、それを眺め食事を楽しんでいた。


「ああっ、美味しい、たまらないわ」


食されているのは人間


「女狐の首が私の手元に、鬼神が見たらあたくしを殺しに来るかしら、ふふふっ」


「やっ、やめてくれぇぇっ」机の上に横たわる男は薄れる意識の中、全力で叫ぶ


「あらっ、食材が喋っちゃ駄目よ」


グサッ 「ぎゃあああああっ」


「真堂丸って、言ったっけ?この狐姫の首をとったの」


「はいっ、女郎蜘蛛様」


「鬼道ちゃんに言って、わたくしに狩らせてと」


「はっ、ただちに」


白い刃の一人、龍童子 そいつは白竜の子であった。

残忍な性格は父を超える。


美しい白い肌に白い長髪をなびかせ、男は人間を朝から斬りまくっていた。


「龍童子様、いまだに真堂丸の行方はつかめておりませんが、どうやらここより北の方角に向かったとの情報が」


「報告ご苦労」


部下は真っ二つに斬られていた。


「ああ、父上を殺したい、今なら私に父を斬れるくらいの力はあるのではないか?」


「ああ、なんて退屈なんだろう」


男は目に映る人間をひたすら斬りまくる、部下や知り合いなど関係なしに。


「龍童子様、信じられない報告が」


無表情、無気力な瞳で龍童子は振り向く

「なんだ?」


「父上の白竜様が殺されました」


「なんだと?」


ズバッ


部下の首は落ちた。


「ああ、そっか死んだか、ああそう」


私は動かなくなった者に興味などない、龍童子は何事もなかった様に目の前にあるものを切り刻んでいた。


かつて超えようとした父すらも今やどうでも良かった


「ああ、ああっ」


ゴゴゴゴゴオーッ ヒュゥゥー


滝の上から男は遥か下を覗き込むように眺め ため息をつく


「強いと言われた、白竜があんなもんか、本当に僕を満足させる刀の使い手なんて、この世にいるだろうか?」


「見た中ではあいつが一番強いか」


思い浮かんだのはいつかの道端で会った一人の男の背中


それは、真堂丸の背中だった。


「それでも、僕の相手にはならないだろう」


「ああ、せっかく我大帝国として強き者を待つとまで、秀峰って奴に言われた通り血文字で書いたけど本当にそんなの来るかなぁ?」


「楽しみだなぁ、まっ次出会ったら確実にやりあうけどね、今度は刀を抜くよ、もう待てないから」


「はやく、会いたいなぁ」



ゴゴゴゴゴオーッ


滝は力強く、地に吸い込まれるよう 音を立てて水は落ちている、上流から流れゆく水の着地点は遥か下方

唸るよう流れる勢いある水流は流れ落ちた先に渦と化す


そこに男はいきなり飛び込んだ


「ひやっほー」


男は大きな渦にのまれていった


ゴゴゴゴゴオーッ ゴゴゴゴゴオーッ


数分後何事もなかったように男は川から上がる


「こんなんじゃ、修行になりゃしない、ああはやく強い奴と闘いたい」


手にはひとつの刀傷


一斎は笑った。



ザッ ザッ


「玄さん前から来る野郎生意気に刀なんて、腰にぶら下げて歩いてきやすぜ、やっちゃいましょう」

30人ほどの男たち。


中でも一番強い群れを束ねる男、玄はそいつの姿を一瞬見て震えあがり動けなくなったと言う


「げっ、玄さん?」


「あっあっあっ」


そいつは自分より背丈も低く身体も小さかった


でも何故?


何故?


何故こんなに奴はでかいのだ?


自身より小さい身体のそいつはあまりにも巨大だった


奴は自分の全てを遥か上空の天から見下している様に感じた。


あまりにもでかい存在


全ての者達は知らず知らずに膝まずき、道をあけている


こんなの


こんな奴に


絶対に関わってはいけない


男たちの細胞の全感覚がそう叫んでいる


そ奴の名は骸と呼ばれる者であった。


ゴゴゴゴゴオーッ ゴゴゴゴゴオーッ


各地で流れる勢いのある水流は、長い間、流れ流れてようやく今一本の川に繋がろうとしていた。


その先に待つ行く末はまだ、誰も知らない。


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