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文太と真堂丸   作者: だかずお


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その者の実力



ビュウウウウーッ ビュウウウーーッ



鬼ヶ島には暖かい風が吹いていた。



「忘れていないだろうな?菊一」


「ああ、龍山でのことだろう」


「奴らに話すのか?」


「ああ、そのつもりだ、俺も一山のようにあいつらを信頼することにした、あいつらなら大丈夫だと信じる」菊一は言った。


「あれっ?菊一さんにガルゥラさん?」二人の姿に気づいた文太の声だった。


「お前達、鬼神に勝ったんだな」微笑む菊一


「はいっ」


「真堂丸と道来の姿が見えないが」


「真堂丸は眠っています、それから道来さんは?」と太一を見る文太


「道来さんならきっと、もうそこいらの山で修行してますよ」と太一が言った。


菊一が笑う


「鬼神とやり合ってもうすぐに修行か」


若い時の俺にそっくりじゃねえか道来。


小さな声で、隣のガルゥラに「まだ、話すのはよそう、今は少し休ませ、皆が揃った時だ」


「今日、鬼ヶ島の人達がこの日を祝いたいと夜、宴を開くそうです、よかったらお二人も」と文太


「そいつは、良いなぁ」


「ふんっ、俺は何もしていない、それに人間と共に食卓などごめんだ、木の上で休んでいる」



ザッ ザッ


歩きだすガルゥラ


「ったく、あの野郎は」


「さて、俺も少し用が出来た、宴の時に会おう」菊一も歩きだす


「用?」少し気になる文太だったが問わなかった。



しかしよぉ



見てるか一山



見てるか一山



お前が見つけた希望達は



本当に



本当に



あの鬼神に勝ちやがったんだぜ


菊一は空を見上げた


本当にこの国を変えちまうかも知れねえぞ。


だが表情がすぐに曇る


「さて」


菊一は山の中に入って行った。


その頃、真堂丸が目を開く


目に映ったのは部屋の屋根


外から響いてくるのは、人々の笑いあい、喜びあう声、真堂丸はそれを聴き安心し再び目をつむった。


ビュッ ブンッ シャッ シャッ


刀を振りかざし修行を続けている道来


すると背後に気配を感じとる


「何者だ?」


パチパチパチパチ


拍手が山にこだまする


「見事じゃねえか」


「菊一さん」


「道来もっと強くなりてぇか?」


「もちろんです」


「今のお前はまだ、俺より弱い鍛えてやるよ」


優しく笑っていた、菊一の目つきは突如一変する


「ただし、条件がある」


菊一を黙り見つめる道来


「3日以内に俺を越えろ、もし出来なければ真堂丸と今後一緒に闘いつづけることをあきらめろ」


菊一は分かっていた、これから先の戦闘は想像を絶することになる


菊一の頭には一瞬、骸が浮かぶ


道来は頷いた。


「修行をよろしくお願いします」


ニヤリ「俺は一山みたいに甘くないぜ」


ビュウウウ~~


崖の上、風の吹くそこの目の前には真っ青な海が広がっている


ののは岩の前、手を合わせていた。


その岩は、お姉ちゃんと祖母の墓石


「生きることにずっと絶望していました、生きたいとも思えずにずっと歩いてきました」


ののは墓石を見つめる


「そんな中、おばあちゃん、お姉ちゃんが私をどれほど愛し、自分の命を捨ててまで、私を生かしてくれたことを知りました」


「私の目の前にいつも見えていたのは闇の世界、そこにひとすじの光を二人が見せてくれました」


「私は二人を失い、大切な家族を失い、世界がまた真っ暗になると思ってた」


のの、の瞳から涙がこぼれる


「でもね、二人がいなくなったこの世界に私は沢山のまぶしい光を見つけました」


「みなさん達が私を、ひっく ひっく 仲間と呼んでくれたんです、そして私の為に命をかけて私を救ってくれたの」


ポタッ ポタッ


美しい涙が鬼ヶ島の大地にこぼれる


「みんなの分も私これから生きるね、沢山、沢山笑って過ごすから見守っていてね」


青く澄んだ空を見上げるのの


すると「おーい、のの こっちに来ないかーっ」


それは青鬼の声


「はいっ」のの、の表情にはあふれんばかりの笑みがこぼれていた。


辺りは薄暗くなり宴は始まっている


皆は笑いあい、心よりの喜びを歌い、踊り、表現していた


「うっめぇーこれも あっこれも」しんべえがものすごい勢いで食べている


「落ちつくでごんすよ、これだけの量、焦らなくともなくなりゃしないでごんす」笑う一之助


太一も「んごふっ」あまりに詰め込みすぎ喉につまらす


「あはは、太一さん大丈夫ですか?」笑う文太


「俺としたことがあいつと同じような行動とるとは、我ながら情けないぜ」


「なんだとぉー」


また始まった、しんべえ、太一による二人の名物 いがみ合い。


それを見て島の人々からも笑い声があふれる


「かーっ恥ずかしい」顔を赤らめる二人


真堂丸もすでに起き、酒をたしなんでいる


島の人々から、皆への感謝の言葉がやむことはなかった。


その時、ボロボロになった道来と菊一の姿が


「道来さん」太一が二人に気付く


道来と菊一は真堂丸が目を覚ましたことを確認した。


「大丈夫か」


「ああ、問題ない」


真堂丸の元気な姿を見てホッとした二人


「さてと美味そうじゃねえか」菊一がさっそく酒を飲みはじめる


宴は深夜になっても続いていた。


その宴は一見信じがたい光景となる


昼間、鬼達は島の人間に償いたいと誠心誠意を持ち真剣に今までのことをあやまり土下座した。


誰の目から見てもその言葉に嘘偽りのないこと、鬼達の心が本当に変わったことは理解できた。


しかし、のの、のよう人々はそれを許すわけにはいかない、今までの恨み辛みが簡単に許すことは出来ない。


鬼達は島を出る事を決めた


だが ののが島の人間に本気で語りかけ


そこに奇跡が起こる


最初は皆は反対した


だが一人の子が「青鬼さんはいつも僕を鬼神から助けてくれた優しい僕の大好きな鬼」


そこから声があがる


「そーいや、いつも助けてくれたっけ」


「ののちゃんの言う通りじゃないかい、私たちが新たな一歩進もうじゃない、あたいは賛成、もう恨みつらみは続けたくない」


「旦那達はどう思う?あんたらは恩人じゃ、あんたらの言うことなら信じてもいい」と文太達に問いかける


「僕は鬼さん達を信じてます」


「ああ、なら自分も信じてみよう」


中には反対する者もいたが、鬼達は島の人間に引き止められることとなり


鬼達は島の人間の優しさにおいおいと涙を流し泣きくずれた、それを見た島の人間も最初は呆気にとられたが、自分達も涙が止まらなくなった。


そんないきさつの中、今こうして人間と鬼が一緒に宴で笑いあうことが出来た。



人は違いを愛しあえる



人は過去を赦し



今のその者を見つめられる



人は過去の過ちを受け入れ



未来を開ける



お互いを支えあえるのだ。



僕は島の人々から沢山の事を言葉ではなく姿勢から教わった。


「さてと頃合いだな」菊一が突然口を開く


「お前達に話さなきゃいけないことがある」


「?」


「俺とガルゥラは白龍と戦う事を決め龍山に向かった」


菊一は真堂丸を見つめ


「骸を知ってるか?」


「ああ」


菊一は勝てそうか?と聞きたくもあったが、聞くことはなかった。


「それならいい」


俺とガルゥラは白竜のもとに向かった、だがその直後到底信じがたい光景を目の当たりにすることとなる


「絶望することになるかもしれん」


聞くか?


その言葉が心臓に突き刺さるよう響く


一同は息をのみ


「なんだってぇんだよ?」しんべえがか細い声でささやく


「話してください」


「俺達が白竜の所に着いたとき、そこには白竜の首が飾られていた」


「えっ?」


「なんだって?」


「白竜っていゃあ、鬼神と同等の力を持つ化け物じゃねえか」太一が叫ぶ


「一体誰が?」


ハッ


「まさか、骸が?あいつならそれが出来るかも」


太一は骸の目を思い出し震えあがった。


「最初はそう思った、それならまだ良かったんだ」


「えっ?」


「良いかよく聞け、お前達をどん底に落としたいわけじゃねえ、これから話すのは直視しなきゃならない事実なんだ」


「白竜は殺されてた」


「死闘が繰り広げられたか?いや全く争った形跡すらない、言いてぇことが分かるか?


「白竜は全く気づくことなく真っ二つにされたんだ、そいつにすりゃ、白竜は まるで赤子同然の存在だったんだよ」


「なんだって」


嘘だろ、先生でもあれだけ苦戦した化け物と同等の実力者が…


「一体そいつは誰なんです?」道来も同様を隠せなかった。


「まったく残酷な運命だ、鬼神に勝ち希望が見えるはずだったんだ」


「白竜の血によって、書かれていた言葉がある」


「我 これにて大帝国の者となる 強き者と闘う為、我が名は一斎 いつでも挑戦待つ」


真堂丸の心にはあの日に見た一斎の姿がはっきりと浮かんでいた。




一斎




そう、そいつは一山をもってしても、刀の神と言わしめた男


運命の歯車は回り始め いよいよ強者達の衝突は避けられないものになり始めていた。


僕の心に一瞬不安という影が顔を覗かせる



真堂丸



その頃


「くっくっく、はっはっはっ」


「こんなに嬉しいことはねえ」


それは骸の声


あの白竜の野郎の死体の場所を見りゃ大体どんな戦いをしたかが手にとるように分かる


あの野郎何も出来なかったみたいだな


光より速かったか?


くっくっくたまらねえ


ここに来てとんでもねぇのが現れやがった。


「姉さんようやく頂点が見えたよ」


くっくっくくっくっく


「真堂丸 鬼神との戦いで覚醒して、少しは強くなったんだろうな?このままじゃ最初に脱落だぜ」


ジャキッ


「待ちに待った時がついにやってくる ふふふふ」


笑いが止まらねぇぜ。


さて


「準備はととのった」



ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴオーッ


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