再会
ガルゥラが真堂丸としんべえを担ぎ歩いてると、目の前から文太と千助が向かってきた。
「ガルゥラさん」文太が三人の姿を見つけ叫ぶ。
「毒はもう大丈夫だ、後の手当てはお前らがやれ」
「真堂丸、しんべえさん」
「大丈夫だ」と真堂丸
「もう、こんな痛てぇのは、二度と勘弁だからなぁ」しんべえが言った。
文太と千助は微笑み
「二人とも無事で良かった」
すぐにその場を立ち去ろうとするガルゥラ
「ありがとうございます、二人を助けてくれて、良かったら一緒に町にもどりましょう」
「笑わせるな、俺は人間などと行動はともにしない」
ガルゥラらは歩き出した
「おい」
その声は真堂丸
ガルゥラは立ち止まる
「ありがとよ」
「良いか、俺たちは仲間じゃない、大帝国を倒す為に助けただけだ」再び歩き出すガルゥラ
「けっ、素直じゃねえ奴」しんべえが言う。
その時だった「先生~、文太さん 無事でしたか?」一之介の声
二人は振り返り驚いた。
「おまぇら」 「えっ」
「やっと会えたようだな」微笑み、目の前に立っているのは道来
そう、二人の前には道来と太一が立っていた。
「えっ、道来さんに太一さん」
「うおおおー文太の兄貴に真の兄貴~~~」飛び跳ね喜びを表す太一
「まさか、二人が居るなんて夢でも見てるみたいです、信じられない」と文太
「とにかく嬉しいです」
キョロキョロするしんべえ「なんだこいつら知り合いか?」
「話をしていて、まさかと思ったんでごんすが、二人が話してたあの二人とは、まさか、先生と文太さんの事だったとは」一之介も驚いていた。
「道来強くなったようだな」道来の姿を一目見て、真堂丸はなにか変化を感じとっていたようだった。
「ああ、初めて仲間の為に強くなりたいと腕を磨いていた」
久方ぶりの再会
「それから、お前達に色々と話したい事がある、一山先生の死と大帝国で起こった出来事についてだ」
「一山の事は聞いた、大帝国で起こった事?」
「まあ、まずは町に戻り、その傷を一旦手当てをしてからだな」
道来が真堂丸を担ぐ
「お前も今回は随分はでにやられたでごんすね、逃げずに戦ったでごんすね」一之助がしんべえを担いだ。
「けっ」と照れるしんべえ
町に戻り手当てを済ませ、少し休んだ頃には日は暮れ夜になっていた。
宿の中では、千助と凛も合流し集まっている
道来は頃合いを見て話し始めた
「二人と別れた後から話すが、私達は強くなる為に一山先生のもとに向かった。
そこで一緒に過ごし修行してもらっていた。
その後 一山先生と大帝国とが真っ向から対峙する、あの事件が起こった、先生は最初から一人で城に行くつもりだったんだ」
「一山先生の死は国に残っていた最後の希望を失ったと、数多くの人々が嘆く形になった」
「だが一山先生は鬼道に負け、殺されたわけじゃない、決して無駄死にしたわけじゃあない、後で分かることだ」
道来は真堂丸を見つめた
「その様子、一山先生の最後がどうだったのか知っていたらしいな?」
「ああ、知っている」
「最後の様子も知っているらしいな」
道来は次いで文太を見つめた
「お前達・・・・」道来の言葉はここで止まる
ただ、三人には何かが伝わり分かり合っているようなそんな表情だった。
この会話はこの先、語られることはなかった。
何を言おうとしてたのか、何をこの時、三人が思っていたのか、他の者にはいっさい分からぬまま。
それは、いつも道来の側にいた太一でさえ、よく分からないやりとり。
この時、実は三人は大帝国と向き合うと言うことの、本当の意味を確認していたのだ。
言葉なくして互いの目を見て分かってしまった。
道来は今二人の反応をしっかりと確認したのだ。
今はまだ他の者には分かることはないやりとり
大帝国と向き合うと言うこと、とはどう言う事なのか………
どう考えているのか、道来は二人の瞳を見て、二人の考えを理解していた。
道来は理解し、暫く目をつむった。
そして、再び話し始める
「それと、こないだ大帝国内部で起こった大きな事件を一つ話させてもらう」
「?」
「骸を知ってるな?」
骸
真堂丸の脳裏にすぐ様、骸の存在が思い浮かんだ
「あいつがどうした?」
「あの野郎、やっぱイカれてるぜ」太一の額から汗が流れた。
「骸が大帝国の幹部、ソウファを叩き斬った」
「えっ?」
「まさかっ」
「それなら、あいつもいまや、真堂丸と同じ様に、大帝国の大一級手配の一人なのか?」
「それじゃあ、多少なりとも俺たちにとっては楽になったんじゃねえか」としんべえ
「いや、むしろその逆でごんす、あの男、完全に先生が標的でごんす、もはや大帝国に用はないと覚悟の上での行動、骸はもう止まらない、先生あいつは本当にやばい、あいつは・・こんな事はいいたくないでごんすが、女狐の遥か上をいく」
「一之介、心配するな、大丈夫だ」
この言葉の奥から響き渡る安心感にも似た絶対感
大丈夫か 目を閉じながらうっすら微笑む道来
あの骸を前にしたって、この言葉を信じられる。
これが真の兄貴だ。
あれだけ骸に絶望的な強さを感じ恐怖していた太一
相手があの骸にもかかわらず、心底この言葉を信じている自分に驚いた。
すげぇ、相手はあの骸なんだ 骸なんだぞ
それでもこの言葉を信頼出来る
やっぱ真の兄貴はすげぇ
すげぇ
いつぞや覗いた骸の瞳にひろがる真っ暗な宇宙
それとは対照の宇宙が真堂丸の中に広がっているようなそんな気がした。
「まぁ、だが斬ったと言うことだけであって、実際は幹部として今もやっているのかは正直分からないのが現状、鬼道もあれ程の男には幹部でいてもらいたいだろうからな」
「それよりも、今はここも蠅王蛇を倒したとなると危険だな、すぐに居場所がわれる」道来が続ける。
「そうですね、みなさん大丈夫ならこれから出発しましょう」文太が言う。
「目的地はあるか?、もしなければ任せてくれないか?」と道来
みんなは言う
「ああ、任せる」
馬車に乗り込んでる最中
凛は少し前の文太達の行動を思い返していた。
「何やってるんだ?」凛は驚いた
文太と真堂丸は、蠅王蛇の墓をつくって、花を添えていた。
「けっ、こいつら阿保なんだよ、女狐の墓だってつくってやがったんだから、俺たちが勝ったのによ」しんべえが言った。
文太は悲しげな表情で空を見上げる
「争いに勝ちも負けもないですよ」誰に言ったわけでもなく独り言のようにつぶやいていた。
文太は心の中 思った。
理由があれど、同じ命同士の殺し合い、この時点でどちらも敗者なのかもしれない。
戦争や争いを正当化出来る理由など、どこにあろうか?
相手は自分の正しいと思うことをやっている、それに対してこちらも正しいと思うことを。
正しい、間違ってる? それはなんだ?
正義と悪とは?一体なんだ?
価値観は個人によって違う
正しい、間違いも時代や人と共に変わりゆく
人々が争いという歯車から本当に抜けるために必要なこととは?
文太は空を見上げ立ちつくしていた。
必ず 見つかるはずだ いや見つけるんだ。
それが本当に勝つと言う事ではないか?
千助の頭にも、ふとこの時の光景が流れていた。
「みなさん、私達も自分達が出来る事、行動していきます。
大帝国と言う絶望の中に生きてましたが、皆さんを見てたら、希望が湧いてきました、ありがとうございます」千助は頭を下げた。
「必ず、国は良くなる、自分もそれを信じ行動して行く勇気を持ちました」千助の表情はよりたくましく変わった感じがした。
千助は手をだす
「こちらこそ、ありがとうございます」文太も手を出し握手を交わした。
「おめぇ、大丈夫なのかよ?大して強くねえんだから、ここに残ったって良いんじゃねえのか?」凛はしんべえに言った。
しんべえはその言葉が妙に嬉しかった。
立ち止まりそうになったが足を止めることはなかった。
「いや、俺も行くよ」
「そっか」
「俺の初めての友達だからな」
「おいっ、し ん べ え」
「なんだよ?」
「生きろ」
「ああっ、分かってるよ、俺はしぶといからな、おめぇ、もしっかりやれよ」
その言葉に瞳がかすむ。
「じゃあな」
しんべえは振り返らず馬車に乗り込もうとした。
心臓は破裂しそうなほど揺れ動いていて、何より、涙が出そうなほど嬉しかった。
これが凛との最後になるかもと考えると、心より切なかった。
すると凛の大きな声が
「また、必ず 会おう、約束だぞ」
「ああっ」
残りたい気持ちだって浮かんだ。
こいつらと進む道は、この先、命の保証はないだろう、危険で険しい道だ。
だけど深く心から、友と一緒に進む そう決心した、しんべえだった。
「千助さん、凛さん ありがとうございましたー」
馬車の中から叫ぶ、文太達
馬車は進んで行きすぐに見えなくなった。
「いってしまった、良い人達だったな」千助が凛を見る
「ああ、真堂丸なんて言うからとんでもなくおっかねえ奴なのかと思った、いい奴じゃねえか」
「ああ、それと、とんでもなく強かった」
「何だかあの人達見てたら、安心したよ、まだ国も何とかなるんじゃないかって」
「ああ、俺もだ、俺たちも出来る事を行動にうつすぞ」
凛も千助の変化を感じていた。
「おおっ、もちろん」
「それから、凛 俺はしんべえなら喜んで了承するぞ」
「了承って何をだよっ?」
「そっ、その こほんっ 夫にするのを」
ゴツン 「いてっ」
「ばっ、馬鹿言ってんじゃねー、はやく次の場所行くぞ」
千助は優しく微笑む
みなさんどうかご無事で、千助はそう心で祈り頭を下げていた。
高い木の上から見降ろし、馬車を見送っていた者がもう一人、そうガルゥラである
「一山、俺もあいつらに手をかして見ようと思う、しっかり見届けててくれ」
馬車はまだ見ぬ道を進む
「ところで道来さん、僕らはこれから何処に向かうんです?」
「一つは、俺の知り合いの所に行き、しばし休ませてもらう事にする、そこは安全だ」
「その後は、今大帝国は幹部を次々と失いぐらついている、この機を逃す手はない、今つぶさなければならない幹部がいる」
「それって?」
時は遡るほど、数日前の事
大帝国のとある城
「真堂丸の件、聞いたぞ骸、おまえが相手を取り逃がしただと嘘をつけ」
骸が笑う
「瞬殺のソウファ、一度やってみたかったんだよ、と言っても俺らの場合一度以外はないがな」
「貴様」
骸は大帝国の幹部の象徴、全身を覆っていた白い羽織を脱ぎ捨てた。
身体は全身焼け焦げ、まるで真っ黒の灰、片目だけが辛うじて残っており、後は真っ黒に焦げている。
「まるで化け物だな、それがお前の姿か?」
「これでも、れっきとした人間だぜ」
「さて、殺し合おう」骸は笑った
「そいつが、お前の答えか」
「一瞬で決めようぜ、攻防はなしだ」骸が構えた
「良いだろう」
ソウファも構える
ズバッ
くっくっくっく はっはっはっは
確かに良いよ
だが 俺はな
強すぎちまったんだよ
どうしても、負けないんだよ
なぁ
骸は真ん丸く美しい月を見上げ
おめぇは俺に勝てるかい?
真堂丸よぉ
地面にはソウファの首が転がっていた。




