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夜の来訪者。  作者: now here man
第一章 夜の来訪者

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6/11

第六夜

ウサギの血を抜く様をエリナはじっと見つめている。

視線を感じながら、作業を続ける。


「手間をかけるのじゃな。」

「美味いものを食べたいからな。」


詰所の中には血の匂いが満ちている。


「一羽だけだからな。シチューに入れる。」

「火で炙っただけで良いぞ。」

「量が少なすぎる。」


エリナは窓から外を見ている。

ストーブの上の鍋が湯気を立て始める。


血の匂いを掻き消す様に、香草の香りが立ち上る。

野菜と肉に火が通ったのを確認し、少量のウイスキーを垂らす。


血の鉄臭さが、ゆっくりと薄れていく。


「あったかいうちに食え。」

俺が差し出したスープをエリナは受け取る。

エリナはスープをじっと見つめる。


「永遠に生きたいと思ったことはあるか?」

俺はエリナの言葉に怪訝な顔をする。


「死にたくないと思うことはあるが…。」

エリナは口元を歪める。

「冗談だ。」

エリナは、スープの香りを深く吸い込む。


言葉少なく、夜は更けていく。

耳が痛いほどの沈黙。


薄らと東の空が赤くなってきた頃。

交代の兵士が、詰所のドアをノックする音。


俺は我に帰る。

決まりきった報告。

今夜も異常はない。

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