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第六夜
ウサギの血を抜く様をエリナはじっと見つめている。
視線を感じながら、作業を続ける。
「手間をかけるのじゃな。」
「美味いものを食べたいからな。」
詰所の中には血の匂いが満ちている。
「一羽だけだからな。シチューに入れる。」
「火で炙っただけで良いぞ。」
「量が少なすぎる。」
エリナは窓から外を見ている。
ストーブの上の鍋が湯気を立て始める。
血の匂いを掻き消す様に、香草の香りが立ち上る。
野菜と肉に火が通ったのを確認し、少量のウイスキーを垂らす。
血の鉄臭さが、ゆっくりと薄れていく。
「あったかいうちに食え。」
俺が差し出したスープをエリナは受け取る。
エリナはスープをじっと見つめる。
「永遠に生きたいと思ったことはあるか?」
俺はエリナの言葉に怪訝な顔をする。
「死にたくないと思うことはあるが…。」
エリナは口元を歪める。
「冗談だ。」
エリナは、スープの香りを深く吸い込む。
言葉少なく、夜は更けていく。
耳が痛いほどの沈黙。
薄らと東の空が赤くなってきた頃。
交代の兵士が、詰所のドアをノックする音。
俺は我に帰る。
決まりきった報告。
今夜も異常はない。




