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宿屋のメリー告白大作戦  作者: ミツキ
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メリーと見守る人

どうも、おはようございます。

メリーは今、村はずれにある共同墓地に来ております。

澄み渡った空、爽やかな風、朽ちかけた墓石。

のどかな風景は朝の散歩に最適ですね。



昨夜は、遅くまで家族みんなでお話しをしていたので、少々寝不足。

でも、話せてよかったです。


お父さんは途中からずっと難しい顔のままでしたが、弟君達リクエストの晩御飯を作る頃には

いつものお父さんでした。


お母さんからは、「お客様に怪我を負わせてしまっていたのに、黙っていたのはいけないことよね?」としっかり怒られました。


弟君たちは、

「お疲れ様でした。今日はよく寝て、明日からまた面白いことになってね」

と謎の励ましを受けました。



そして本日は、昨日はお休みだった宿屋の工事が再開されました。

今日からは内装で三日間。お天気が続くようなので、一週間後には宿屋の営業を始められそうです。


今朝はその報告をするべく、村長さん宅をお尋ねしました。


「あら、じゃぁ酒場も来週?よかったわね。お預かりしているシーツ類は内装が終わった頃に息子たちに届けさせるわね。足りない物があれば、明日ウォルトが西の町へ行くと言っていたから、今日のうちに注文しなさい」


村長の奥様、ハンナさんは、お嫁入りするまでは集会所で先生をなさっておいででした。

とても厳しいけれど、一人一人をちゃんと見ていてくださる素敵な女性。


そうだ。村長さんの体調もお伺いしようと思っていたんだ。


「ごめんなさいね、メリー。また改めてウィービー家に謝罪に伺うわ」


いえいえそんな。とんでもないっ。


「レイラから聞いてるから。王都での事は、両親を心配させてしまうから言わない方がいいって言い出したのはうちの人でしょう?」


納得したのは、私ですから。


「…そう。ねぇメリー、あなたに手紙が沢山届いてたわよ。宿宛とメリー宛は別の袋でまとめているから」


ありがとうございます。

村長さんにも、よろしくお伝え下さい。


・

・

・

・

さて。よっこいしょ。


共同墓地の皆さぁん!お元気ですかぁ~!


……。


……。


特に、幼かった私を脅して遊んでいた方々は、当然お元気ですよね?


お返事が無いようですが、勝手に続けますよ~。

え~私のいつも持ち歩いている鞄から取り出したこの袋。何が入ってたっけなぁ。

あ。キュービズの花の種だぁ。沢山ある!多年草で、花が可愛らしい上に、葉っぱは傷薬の元になるのですよ。


共同墓地の前にある草っ原に蒔いたら、綺麗だろうなぁ。季節ごとに花の色が変わって、楽しい景色になるだろうなぁ。


…。


…。


でもここに蒔いても、誰も花を見てくれないだろうから、もったいないか。

うん。せっかくの貴重な種だし。売ろう。


「…幽霊を相手に、いい根性だねメリー」


まぁ、墓の影から誰かと思ったら、

前村長のブルーノさんじゃないですか。おはようございます?今日もひらひらですね。


「棒読みはともかく、墓地で武器を構えるのはやめなさい」


嫌だなぁ。ただの農具ですよ。雑草を刈る鎌ですよ?


「そうだな鎌だね。片手でお手玉のように回して遊んでいようと鎌だね」


えぇ。こちらの墓地が雑草に覆われているのが、偶然目に入っちゃって。

たまたま草鎌を持っていたのでお掃除しようか、今悩み中なんです。


「…いや別にお願いがあるなら聞くから。その『何だよまたお前かよ』って仏頂面やめなさい。…で、誰に会いに来たの?」


…。


「テオなら、とっくに東の果てにある花園へ行ったよ。普通は自分の葬式ぐらい見て行くけどね。…一応、先輩の幽霊達が、伝言はあるか聞いた。メリーは幽霊が見れるから、家族に伝言があればメリーに頼む事もできるかもしれないとね」


…テオ師匠は、断ったのですね。


「『あいつは幽霊も見れるのか!さすが俺の弟子だな!』って大笑いしてたよ」


そっか。…そっかぁ。

師匠らしいなぁ。


「ガキの頃から葬式はつまらんっ!なんて言ってたからね。

人が沢山集まるのに、ご馳走が出ないから退屈なんだってさ」


__俺は人がシクシク泣いてると、尻が痒くなるんだ。

__葬式をサボるのは俺の夢みたいなもんだよ!来てくれる奴らにゃ悪いけどな!


キャリーさんが、ね。

お葬式の時、皆で香炉を持って村中を歩くでしょう?煙が死者の魂を、東の果てにある花園に導きますようにって。

同じ煙なら、豚肉でも焼いた方が勢いがあって喜びそうって言ったら、おカミさん達に怒られたって。

息子さん達にも不謹慎だって。


「キャリーは旦那をよくわかっていたよ」


ふふっ。

そっかぁ。さみしいな。


(メリー!おばぁちゃんならここに!)

(空気を読めカレン!今は出るな!)

(ロバートのひぃ爺ちゃんのワシが慰めたる)

(生前に面識の無い奴は出てくるなよ)

(あんただってギリギリじゃないっ)

(息子のボブが挽いた小麦を食ってメリーは大きくなったんだ。俺の孫同然だろ)


…草葉の陰が騒がしいから、刈っちゃおぅかな。


「鎌を投げないでメリー。落ち着きなさい。僕が東の花園に行ったら、テオにはメリーが墓参りに通ってた事ちゃんと報告するから。あれだろ?今日はあの行商人の事を報告しに来たんだろ?」


…報告するような事なんて無いですもん。


「あれ?都から定期便来てただろ?」


レプス商会のお姉さんから内容が一分わからない手紙なら…そうだ!

ブルーノ村長、生前は薄毛でお悩みでしたよね!?


ちょうどよかった!


そちらの草葉の陰で聞き耳を立てている方々も、薄毛でお悩みの方いらっしゃいましたよね!

幽霊の姿が若作りな方って、生前に頭部が閑散としていた方ですよね!


ちょうどよいです!いやぁ皆さんが没後でよかった!生きている方にはとてもじゃないけど相談できなくて!


「どうだい仲間達。没後初めてメリーに向けてもらった満面の笑みだよ」


ブルーノ村長!聞いて下さいってば、

霞んでないで聞いて下さいってば!


「薄いだろ、僕の存在。生前からなんだぜ…」


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