7.5章おまけ ヒマリ教授の鉄道講座〜最終回〜
「長かった旅路は終わりをつげ、再び彼らに日常が戻ってきました」
ナレーション風の一文と共に、見慣れたラジオブースのような空間に、ふわりと灯りが点る。
何度目かも数えきれないくらい繰り返されてきた、あの見慣れた光景だった。
「『YouTuberの旅行オタクと方向音痴の魔法少女』の読者のみなさん! ヒマリ教授の鉄道講座のコーナーへようこそ」
いつものように白衣に身を包んだヒマリが、カメラに向かって深々とお辞儀をする。
「ようこそよ~!」
その隣から、うみが元気よく手を振りながら顔を出した。心なしか、いつもより声に少しだけ力がこもっている。
「というわけで、このコーナーの最終回も、わたくし藤宮ヒマリと」
「浅野うみでお届けいたしま~す!」
「最終回」という響きを、二人はどこか噛み締めるように、一瞬だけ目を見合わせた。
「まず、前回の話をもちまして、『youtuberの旅行オタクと方向音痴の魔法少女』は、堂々完結をいたしました」
ヒマリが、台本を持つ手に、少しだけ力を込める。
「ここまで読んでくださった皆様には、感謝しかないわ。本当なら、作者もこの場に出てきてお礼を言ってほしいくらいだもの」
うみが、胸に手を当てながら、しみじみとした口調で呟いた。
「流石にそこまで行くとメタすぎるのではないかと……」
「いいのいいの。このコーナーはメタなくらいがちょうどいいの。それでヒマリ、完結ってことは、私達の話はここからは描かれないの?」
うみが、ふと不安げな顔でヒマリを見上げる。
「私達は別にそれでもよかったのですが、どうやら作者が、この先の展開も用意してくださるとのことで……」
「それ本当!? 私達、今度こそいろんなところに旅行に行けるのね!」
パッと表情を輝かせ、うみがぐいっとカメラに詰め寄った。
「ええ。なぜか本編では、滅茶苦茶強い敵を何体も倒す羽目になったせいで、旅行どころの話ではありませんでしたから」
ヒマリが、どこか遠い目をしながら、静かにそう漏らす。その一言には、これまでの激闘の日々が凝縮されているようだった。
「そうと決まれば作者! 早く続きを用意しなさい!」
うみが腕を組み、カメラの向こうに向かって堂々と要求を突きつける。
「あ、その、アサ……さん。非常に申し上げにくいのですが……」
ヒマリの声が、急に歯切れ悪くなった。台本をめくる手も、心なしかぎこちない。
「……何よ、ヒマリ、その顔は」
うみが、じとっとした目つきでヒマリを見つめる。
「本編で書ききれなかったことを書くための作品の準備は始まっているそうなのですが、先に別の長編を書いてから本格的な作成になるらしくて、どうやら、外伝シリーズの投稿はまだまだ先のことになるそうなんです」
ヒマリは、申し訳なさそうに、そっと目を伏せた。
「……はぁ。まあしょうがないわね。いいわ。完結させてくれたから、その件は見逃してあげる」
うみは、一度大きくため息をつくと、案外あっさりと矛を収めた。
「というわけで、作者さん。続きを待っている読者さんも多いはずですから、早く続きを書いてくださいね」
ヒマリはそしてと続ける。
「改めまして、最後まで作品を読んでいただき、ありがとうございました。気に入っていただけたなら、お気に入り登録したり、感想を書いたりしていただけるととても嬉しいです」
深々と頭を下げるヒマリの隣で、うみも、いつになく神妙な面持ちで頷いた。
「ええ、私もとても嬉しいわ」
「それでは、また会う日まで、私達は失礼させていただきますね」
「みんな~。ばいば~い!」
二人は、いつものように元気いっぱい、カメラへ向かって大きく手を振った。
灯りがゆっくりと落ちていく中、ラジオブースには、二人の笑い声だけが、いつまでも優しく響いていた。
作者からの一言
この作品は、制作時にかなりAIに頼ってしまった部分があるので、そのうち一から自分の手で作品を作り直す……かもしれません。
その時は、もう一度この作品を読んでくれると嬉しいです。




