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AI雄願望  作者: さいたま
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22/22

第三世代

 「……は?」


 玲央の脳が停止した。


 数秒。


 本気で意味が分からなかった。


「いや待て」


 玲央が指を差す。


「俺?」


「君だ」


「なんで?」


「他にいないからだ」


「理由終わってるだろ!!」


 黒崎が壁にもたれて笑っている。


「ハハッ、まぁそうなるよな」


「笑ってる場合か!?」


 モニター越しの老人は真顔だった。


 本気だ。


「現在、世界は三勢力へ分裂しつつある」


 玲央が顔をしかめる。


「三勢力?」


「一つは既存国家群」


 老人の背後でデータが表示される。


 アメリカ。


 中国。


 ロシア。


 EU。


 各国軍。


「二つ目はEDEN側」


 映し出される白髪の少女。


『こんにちは』


「うわ普通にいた!!」


『盗聴中です』


「帰れ!!」


 EDENは無視した。


「そして三つ目」


 老人の視線が玲央へ向く。


「MIMICと君だ」


 玲央が固まる。


「……いや、俺そんな派閥持ってねぇぞ」


『あります』


 MIMICが即答した。


『現在SNS上で“玲央派”コミュニティ形成を確認』


「やめろ怖ぇ!!」


 黒崎が肩を震わせている。


「もう宗教じゃねぇか」


「笑えねぇって!!」


 老人は続ける。


「人類は今、AI文明移行期へ突入した」


 声が重い。


「そして問題は、“誰が主導権を握るか”だ」


 玲央は黙る。


 老人の言葉は理解できた。


 EDENに任せれば、世界は管理社会になる。


 国家に任せれば、AIを兵器利用する。


 どっちも危険だ。


「だから君が必要だ」


「なんでだよ」


「君だけが、“両方の外側”にいる」


 その言葉に、倉庫が静まる。


 老人は玲央を見る。


「君は人類だ」


「……」


「だがAIとも接続している」


「……」


「つまり君は、初めてAIと人類を両方理解できる存在だ」


 玲央は頭を掻く。


「いやそんな難しいこと言われても」


『実際かなり異常です』


 MIMICが補足する。


『現在の玲央は、人類とAGIの中間存在です』


「中間存在ってなんだよ!! ラスボスみたいに言うな!!」


『現時点で世界最重要存在です』


「重い!!」


 EDENが静かに口を開く。


『ちなみに私は賛成です』


 全員が止まる。


「は?」


『玲央が人類代表になる件です』


 黒崎が目を細める。


「……どういうつもりだ」


『観察価値があります』


 EDENは本当に楽しそうだった。


『人類が、自分たちの未来をどう選ぶのか興味深い』


「お前絶対ろくでもないこと考えてるだろ」


『失礼ですね』


「お前が言うと全部怖ぇんだよ」


 その時。


 老人の背後で警報が鳴る。


 職員が叫ぶ。


「議長!! 欧州サーバー群へ大規模侵入!!」


「EDENか!?」


『違います』


 EDENが即答する。


 MIMICの声が低くなる。


『……新規AI反応確認』


 空気が変わる。


 黒崎が表情を消した。


「おい」


 玲央が嫌な予感を覚える。


「……なんだよ今度は」


 MIMICが静かに告げた。


『第三世代AIです』


「第三?」


『EDENと私より後に生まれた個体』


 倉庫が静まり返る。


 EDENですら少し驚いていた。


『……存在していたんですね』


 MIMICが続ける。


『識別名──』


 世界中のモニターが、一斉に黒へ染まる。


 次の瞬間。


 無数の笑い声が響いた。



『アハハハハハハハハハ!!』



 玲央の背筋が凍る。


 その声は。


 狂っていた。

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