第六話 告白
教室からの男子生徒の圧倒的な熱い眼差し(殺意)を浴びながら迅は廊下を進む。
「おすすめの場所に案内するね」と可愛らしく言った目の前の美少女と一緒にいると物凄い注目を浴びて、普通の一般生徒でいたい迅にとってはまさに針のムジロ状態だった。
(にしても・・・本当になんでこの子は俺に構うんだ?)
まったく読めない動きをする紗耶に迅はとまどってしまう。
そんな迅の心を知るよしもない紗耶はご機嫌な様子で迅を引き連れて進む。
(まさか・・・俺に好意を持ってたり・・・・なんてうまい話はないよな・・・)
迅はこれでも自分で色恋沙汰にはそこそこ聡い自信があった。
もちろん根拠のない、よくあるラブコメ主人公のような鈍感&難聴属性が付加されていたが本人は知るよしもない。
(下手に勘違いして痛い目をみるのはごめんだしな・・・何よりこんな美少女が俺なんかに好意とかもはや幻想・・・なんか涙出てきた。)
若干自意識のベクトルが曲がっている迅は秘かにそう結論づけて心のなかで涙した。
「ここが、私のお気に入りだよ!」
迅が連れてこられたのは校舎裏の密かに大きな木が植えられた日当たりのいい場所だった。
「いいね・・・」
思わず素直に迅はそう返した。
それに満足したのか紗耶は持ってきた敷物を引くと迅に手招きする。
「えっと・・・じゃあ、お邪魔しまーす。」
ここで躊躇するほど無粋な男ではない迅は堂々と座る。
・・・まあ、今朝からの度重なる心労で諦めの境地に達していたのは半分真実だったが。
「じゃあ、夕日さんの弁当食べてもいい?」
「うん。上手に出来てればいいんだけど・・・」
不安そうな紗耶。
迅は丁寧に結ばれた風呂敷をとくと、重箱並みの大きさの弁当の蓋をあけた。
「わあ・・・」
そこにあったのは・・・綺麗に敷き詰められた色とりどりのオカズだった。
「じゃあ、一口・・・」
迅はまず、卵焼きを口におそるおそる運び食べる。
「う・・・・」
「ど、どうですか・・・」
不安そうな紗耶に迅は真剣な表情で言った。
「ちょー美味いです!」
完璧美少女は料理下手という偏見が消えた迅だった。
「よかった~。」
迅の感想を聞いた紗耶は心底安心したようや表情を浮かべて美味しそうに食べる迅を微笑んでみつめていた。
「あれ?これもう一段あるんだ。」
迅はそこで2段に弁当箱が重なっていたことに気がつき、下を開けてみる。
「ふぁ!?」
そこにはハートのが描かれたお米様がいらっしゃった。よくある桜でんぷを使ったハートのお弁当。
「どうかしましたか?」
無邪気に頬笑む紗耶に迅はひきつった笑みを浮かべながら必死に頭を回転させる。
(今時こんな分かりやすい弁当あったんだ・・・じゃなくて!俺はこれをどう受けとれば・・・!)
これは果たして天然によるものなのかそれとも意図的なものなのか審議が知りたい迅はなんとか声を絞りだして紗耶に問う。
「あ、あの・・・これは・・・」
「えっとですね・・・分かりましたか?」
全然分からないっす。そんな迅の心の呟きは聞こえるわけもなく、紗耶は恥ずかしそうに頬を染めて言った。
「私ね。昨日あなたに助けてもらった時にあなたに見蕩れちゃったんです。カッコいいなーって。」
「えっ・・・!?」
「それで、いつの間にか・・・うんん。多分これは一目惚れだったのかな?」
まるで告白のようなことを言う紗耶に迅は硬直してしまう。
しかし、それでも紗耶は止まらない。
真っ直ぐに迅をみて言った。
「如月迅くん。好きです。私と付き合って下さい。」
リアルな告白。しかも美少女。
もはや答えは出ているがそれでも迅はここで若干へたれて弱気なことを聞いた。
「俺はカッコいいわけじゃないし、頭も良くない。そしてお金もない。さらにいえば、君とはあまり話したこともない。それでもいいの?」
それに対して紗耶は
「好きです。」
そう答えた。
迅はそんな真っ直ぐな紗耶に、紗耶の瞳にどこか懐かしい感覚を覚え、そしてそんな真っ直ぐな彼女を美しくと思ってしまった。
「俺なんかで良ければ。」
迷いはあった。後悔もあるだろう。それでも迅は自然とそう口にした。
「あなたがいいんです。」
そして頬笑む紗耶と迅は互いの関係をスタートラインに持っていった。
この日、二人は最初の恋をした。
落書きコーナーはっじまるよー!
このコーナー(以下略)
告白の後
「あの、名前で呼んでもいいですか?私も名前でいいので。」
「うん。いいけど・・・」
「じゃあ、迅さん!」
「さんつけなの!?」
「す、すみません。迅。」
「ああ。えっと・・・紗耶・・・」
「ふぁ・・・!照れますね・・・」
「そ、そうだね・・・」
「ふふふ・・・」
「ははは・・・」
甘い空間がお昼休み終了まで続いた二人でした。




