邪神ちゃーん出ておいで〜、でーないとめだまを……クククク
朝である。
そこら中にSAN値が低下しすぎて俺にのされた奴らが積み重なっているが全くもって清々しい朝である。
日課の素振りと魔力操作、魔法操作をしていると俺のだったテントから顔を真っ赤にした山田が出て来た。
「・・・お早うございます。」
すごくしおらしい、どうやら昨日のがこたえたようだ。白目をむいて転がっている女性を見てなぜかビクついている。
しかし精神に淀はなく、どうやら特典の制御も一緒にカラダに教え込まれたようだ。軽く魔力で形作った短剣を飛ばすと一瞬で抜刀し切り裂いた。
「お、元気になったな。お早う。」
「・・・昨日のやつ・・・あんなの聞いてないんですけどお!」
まぁ切れるよな、うん、俺も目が覚めたら同性に性的な快楽を与えられてたら気絶して多分そのままショック死すると思う。
「ふむ・・・じゃあ、俺のが良かったか?」
「勿論!」
んん゛、ダメだ、まだ精神汚染が残っているようだ。
「んまぁ理由があるんだよ、あいつはああ見えて超一流どころか魔法使いの誰もが憧れる称号の一つマーリンを受け継いだ魔法つかいだ普通の精神汚染ならチョット痛みとハーブの匂いに耐えればすぐ直してくれる。」
「じゃあ!「だがそれは『軽度』の場合だ。知ってるか?昨日のアレ、まともにやればうん全万枚か金貨が飛ぶような超高級魔法触媒と聖水の風呂、すぎれた魔力操作と巨大かつ複雑な魔法陣の形成が必要な超超高等な治療なんだぜ?」・・・え?」
俺が言っていることが分からなかったようだ。いや、理解が追いついていないのだろう。
何せ彼女は昨日まで『夕暮れ時』に差し掛かっていたのだから。
聖の朝と魔の夜、その間の存在であり最も危険なものが潜むマジックアワー、『夕暮れ時』とはまさしく怪異の時間なのだ。
それ故人間が踏み入れれば簡単に戻ってこれなくなる時間帯、彼女は異世界人であるというアドバンテージを食いつぶして余りあるほどの精神汚染を身に秘めていた。思えば彼女はどうにも俺と相性が良すぎたのだ。怪異に会い、怪異の知識を見ることで取り込み、狂気とともに剣鬼に堕ちる。
さしずめ誘蛾灯に群がる蛾のように、『怪異』として彼女は俺のそばを漂っていたのだ。詳しく調べて見るまで俺もマーリンも彼女ら勇者に掛かっていた特典を媒介にした創造神の加護とかいう厄ネタの裏にあった認識阻害と認識阻害矯正に気が付かなかった。
ま、勇者につぶされてあの叩けば叩くほど埃の出る神聖王国には本当に優秀な召喚士がいたのだろう彼女ら勇者に影響力と正しい認識を持たせないようにこんな小細工をしていたようだ。
それによって歪んだ視界で歪んだものを見ていたためにマトモに見えたし、その身に孕むほとんど怪異に、人ならざるものに堕ちそうな身体に気が付かなかったのだ。
俺は掻い摘んで説明しながら念のためマーリンと共同制作した聖水の蒸気と精神安定作用のあるハーブを調合した香を発生させる筒状の聖書の一節がびっしりと描かれた聖布に包まれた発煙筒の様な魔道具を地面に刺し瞑想しておく。
沈黙を破ったのは予想外に勇者たちだった。山田も何か言いかけた様だがとりあえず口に朝飯である鹿肉ステーキを捻じ込み暖かいスープを取りに行く。
「・・・小夜さんの気持ちがチョットわかったかもしれないなぁ。」
「私の気持ちがなんですか?れず山さん?」
「ほえっひゅ!?」
どうやら小夜が来た様だ。今回は穏便だったな・・・ていうかあいつは何を目指してるんだろう。俺とか言われたら止めるけど。
しばらく何か話して様だが何があったのかつぎのしゅんかん、二人の声が揃った。
「「違う!」」
なんていうか女子と女子が密着しているのはよくあるが、昨日のこともあってそんな感じに見えたらしいマーリンがさりげなく彼女らの前にユリィ(^。^)と悪戯書きをしたらしい、マーリンを軽くとっちめるとなぜかこっちを見始めた。
・・・見ていないぞ、二人がすごい普通の女子っぽい空間を作りながら俺に向かって鋭い眼光を投げかけているなんて、気の所為だ。うん、ほら、最近アーサーちゃんのこともあって過敏になっているだけだって、そもそも中身はおじさ・・・そうだった、外もはそれなりにいいんだっタァ〜!
「はぁ。」
「お早うございます。どうしたんですか?」
ああ、魔法少女の優しさがしみる…なんというかどうして皆獣の様な目をしているんだろう。もっとこう・・・ウサギの様な、さ。
「多分無理なんで次詰まってます。」
「アッハイ。」
颯爽と次の人にもスマイルを振りまく彼女はきっとジャンヌより聖女向きだと思「ああ゛?」アハハーセイジョサマステキー。
「一体誰のせいで機嫌が悪いと思ってんのよ!あんなバカみたいな量聖水作らせて!」
「アハハー、ごめんごめん。」
心を読んで来たのは目の下に隈を作ったいつもよりだいぶ疲れた様子のジャンヌ、俺の肩をミシミシという音がするほどつかんでいる。
そう、昨日のユリィ…な儀式のために両者の体を清める聖水と大量の聖水の派生である聖布が必要となり、今日突入する邪神の領域への対応法や魔力操作、自己催眠による精神の超強化などの情報を対価としてジャンヌに依頼したのだ。
というか聖女レベルの力がこもった聖水が必要な、本当にギリギリだったので月か中天に行くギリギリまで俺が彼女を強化して聖水製造装置になっていてもらったからいろいろなポーションも投与したのでおそらく副作用で寝れなかったのだろう。
俺はサッと置いて来てしまった簡易精神浄化装置の2本目に魔力を注ぎ香を焚く。するとジャンヌは一気に力が抜け俺の方へ体重を寄せていたからか俺の方に倒れて来たが、俺は触れる間も無く寝袋を足の方から着せるという暴挙を成功させ休息回復と安眠の魔法陣を貼り付けスープ片手に運んで行く。
「スヤァ(^ω^)」
「うむ、美少女。」
とりあえず適当に彼女の付き人である騎士といつの間にか増えていた女騎士に引き渡しとりあえず起きるまで飯を食ったり結界を書いたりして時間を消費するが、まあ早く終わってしまう。
時間が余ったとなれば昨日の分の睡眠時間を取り戻したいと思うのは自然だろう。
「ただい「ふん!」あべし!?」
自分のテントに入ろうとしたら背後から現れた山田、マーリン、小夜に気絶させられ目を覚ますといつの間にかベッドが増設されていたり、テントが物理的に広がっていたりしたが
突っ込むのは面倒臭いので自分のベッドに腰を掛けた。
「む?」
すると何か違和感が、手を置いたところを探ると三角のぬ「当身!」
「・・・あ、危なかった。」
「アハハー」
なんていうかもうチョット暴力以外に訴えてほしいよ、俺は衝撃と脳震盪で動かなくなった体が次元の裏側に落ちて行くのを感じながらとりあえず寝ることにした。
「は!」
「あら?遅いお目覚めね?」
時刻はそれほど経っていなかったが明らかに変わっていることがある。
「ふむ、これが聖女の太ももか。」
「ええそうよ?というか冷静すぎじゃない?」
装備がいつの間にか外されているのもだがおそらくこの後頭部に当たる柔らかなものがセイジョサマの太ももであるのはまちがないらしい、しかしなぜこんなことに?
「な「ところで、いつどいてくれるのかしら?」・・・え?これは俺へのご褒美的なものでないわけ?」
「知らないわよ、いつの間にかこんな牢屋に居たんだから。」
「ウェイ?」
魔力による広範囲探知をすれば確かにここは牢屋であるが、一体誰がなんのために・・・
「や、ヒミツ、どうやら我が兄様がチョット頭を使ったらしいね。」
「お、ミゼール、ってことは?」
「はい、私も居ますよ、尋問は途中でしたが、彼女らが協力的だったので城の内部構造を把握し終えております。」
そうか、ここは魔王城(仮)か、妙にトゲトゲしていると思ったよ。昨日の検証から恐らく影の国の女王スカアハの加護により影の収納系空間魔法だけは問題なく使えるらしいので一瞬で装備を装着し何故か寝間着のジャンヌに聖布によって作られた白い布地にビッシリと聖句を書き込まれた黒い外套を渡す。
「ふむ、じゃあ実地訓練という事で、邪神の顔でも拝みいくか。」
「・・・なんていうか正気じゃないわね。」
なにおいう!俺の精神力はオリハルコン並みの強度と水銀のような完璧な液体性だぞ、簡単にSANは減らないぜ!
しかしまあそんなことを言っても仕方がないので俺は格好つけてこう言った。
「じゃ、レクチャーを始めよう。」
「はいはい、教官殿?」
さて、とりあえず・・・
「装備効果なしでここらへんを歩き回ろうか?」
そういうと俺はせっかく着た鎧の胴と外套を外し、兜を脱ぐ。ただのパーカーと手足の鎧だけになった俺はためらいなく周辺を見回しとりあえず松明をつける。
そして同じことをしようとしたジャンヌが気絶するのを見届けた。




