初めての……
伝説の魔剣、超音波破壊剣が復活した。
アトラ姉ちゃんは、その日から本物の笑顔が戻った。
翌日から毎日学園に行っている。
妖麗なアングルボーサ教授に訓練してもらうためだ。
同級生で親友。しかも同じ魔法剣士。
これ以上の訓練相手はいないよね。
エイル姉ちゃんが学園から帰って来るのが毎日遅くなった。
アトラ姉ちゃんの訓練を、エイル姉ちゃんも一緒に受けている。
それと、ヒミン王女も加わって4人で秘密の猛特訓をしていると聞いた。
ヒミン王女の許可を受けて、アングルボーサ教授には伝説の魔剣のことを言ったそうだ。
ヒミン王女もビックリをしたみたいだ。
『さすがはトルムル様です』と言ったみたい。
俺が伝説の魔剣を創ったので、アングルボーサ教授はもっと驚いたみたいだった。
免疫がなかったのか、驚き方が凄かったらしい。
一度は見てみたいよな。
でも、邪魔になりそうだし……。
その前に、俺はやらなければならない事が沢山ある。
もちろん、大賢者の本を読まなければいけない。
商品の開発もしなければ。
今度は、ツルの様にドラゴンを飛ばす工夫をしている。
折り紙でドラゴンを折る。
でも、これがなかなか上手くいかない。
折り紙の状態で、ある程度ドラゴンに似せたいからだ。
妥協して父ちゃんに見せると、渋い顔をされた。
商売に関しては、父ちゃんは妥協を許さない。
父ちゃんを納得させない限りは商品化できないのだ!
ウール王女は、相変わらず一日中何十回も俺を呼ぶ。
それはそれで嬉しいのだけれど、時間が……。
筋トレもしないといけない。
お昼寝もしないと、乳歯に良くない。
それに、ウール王女のように歩きたい。
伝い歩きで、今も一人で歩く訓練をしている。
アトラ姉ちゃんが頑張っているんだから、俺もと思う。
でも……、頑張るレベルが違うけれど。
でも仕方ないよな、俺赤ちゃんだし。
イッタァーー。
また転げてしまった。これで何回めだろうか?
痛みがあるのは、防御魔法を取り除いてある。
なぜなら、痛みがないと進歩が遅いからだ!
緊張しないと、いつまでたっても歩けない。
しかし、擦り傷も増えてきたし、これでやめようか……?
でも……。
アトラ姉ちゃんが、今でも死にものぐるいで頑張っている。
俺がアトラ姉ちゃんに、そうするように進めた。
進めた本人が、擦り傷を作っただけでやめるわけにはいかないよな。
よし! 今度こそ歩くぞ!
気合いを入れるためにオシャブリを吸う。
まずは、捕まえている手を離す。
いいぞ俺。何もなしで立っている。
次が根性のいる所。
一歩前足を出す。
で、できた!
マ、マジ!
やっと一歩、歩けたよ俺!
嬉しい。
よし、もう一歩だ。
イッタァーー。
またまた転けてしまった。
やめたいけれど、今日は歩ける気がする。
一歩、確実に歩けたんだから。
よし!
もう一回オシャブリを吸う俺。
気合いを入れて再び立つ。
いいぞ。立てた。
一歩踏み出す。
いいぞ、できたぞ。
もう一歩踏み出す。
いいぞ俺。できたぞ。
これで二歩できた。
もう一歩踏み出す。
いいぞ、できた〜。
凄いよ俺! 三歩も歩いている。
4歩目はどうだ。
イッタァーー。
倒れている俺を、父ちゃんが俺を抱っこしてくれた。
父ちゃんが近くにいるのに気が付かなかった。
それだけ集中していたということかな。
「トルムルが歩いたよ!
三歩だけだけれど、歩けるようになった」
そう言うと父ちゃんは俺に高い高いをしてくれる。
何度も何度もしてくれる。
最初は嬉しくて、笑いながら手足をバタバタさせていた。
けれど、だんだんと気持ちが悪くなって……。
父ちゃんは降ろしてくれて、もう一回歩くようにと言う。
あれ?
少し頭が回る?
酔ってはいないので、これは高い高いのやり過ぎか……?
父ちゃんが、前で俺があるき出すのを見ている。
オシャブリを吸って、頭が回るのを抑える。
少し収まってきた。
父ちゃんが少し離れた場所で膝をついて待っている。
俺は再び立った。
そして、一歩目。
成功だ!
二歩目。
いいぞ俺!
三歩目。
歩けるよ俺!
4歩目。
やった〜〜。さらに歩けた。
5歩目。
だ、だめだ〜〜、バランスが〜〜!
父ちゃんがとっさに俺を受け止めてくれた。
あ、ありがとう父ちゃん。また痛い思いするところだったよ。
「トルムルは4歩も歩けたよ」
「「ただいま〜〜」」
エイル姉ちゃんとアトラ姉ちゃんが学園から帰って来た。
二人とも、にこやかな笑顔だ。
「お帰りエイルにアトラ。
今日は、素晴らしい事があったんだ」
「え、何?
どうしたのお父さん」
エイル姉ちゃんが言う。
「トルムルが、少しだけ歩けたんだ!」
アトラ姉ちゃんとエイル姉ちゃんがさらに笑顔になった。
「よかったわねトルムル」
そう言うとエイル姉ちゃんも高い高いを何回もしてくれる。
う、……。
気持ちが悪くなってきた。
乗り物酔いの気分。
や、ヤバイ。
今、エイル姉ちゃんはその柔らかな胸で俺を抱いているところだ。
ここで吐いたら……。
と、止まれ!
と、止まれ〜〜。俺の吐き気〜〜!
ごめん、エイル姉ちゃん。
もうだめ。
ドピューーーーーー。
「あ〜〜〜〜!!
トルムルが、私の胸の中に……、は、吐いた〜〜!」
ご、ごめんね、エイル姉ちゃん。
こんなことになるなんて……。




