↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

37/195

嬉し涙

 機が熟したので、俺は父ちゃんに言う。


「とー、たん。そえ」


 俺はそう言うと、ギガコウモリの魔石が入っている引き出しを指さした。

 父ちゃんが不思議そうに俺を見る。


「トルムルは、これで何をするんだい?」


 さっきまで読んでいた本の、超音波破壊剣《ソニックウエーブディストラクションソード》の箇所を指さして言う。


「こえー」


 父ちゃんがそれを見ると、突然仰け反った。


「ト、トルムルは。も、もしかして……?

 で、伝説の超音波破壊剣《ソニックウエーブディストラクションソード》を創ろうとしているのかい?」


「とー」


「し、信じられない!


 ……、そうか。

 万年眠亀《テンサウザンドスリーピングタートル》の甲羅《こうら》を破壊したトルムルならできるかもしれない。


 それを売るのかい?」


 アトラ姉ちゃんも会話を聞いている。

 今こそ言うべきだと俺は判断した。


「アー、ねーたん、のー」


 アトラ姉ちゃんは、息をしていないのかと思うほど固まってしまった。

 そして、瞬きを高速で繰り返した。


 アトラ姉ちゃんは少し落ち着くと言い始めた。


「わ、私が……。

 その伝説の超音波破壊剣《ソニックウエーブディストラクションソード》を持つのかい?

 でも、腕が……」


 俺は、アトラ姉ちゃんがケガをしている方の腕を指さして言う。


「ブー」


 そして、万年眠亀《テンサウザンドスリーピングタートル》にトドメを刺した腕を指さした。


「バブゥー」


「トルムルは、ケガをしていない方の腕で、この伝説の魔剣を持てと言うんだね」


「とう」


 アトラ姉ちゃんは、しばらく考えた。



 そして、真剣な眼差しで俺をみて言う。


「まさか……、こんな展開になるとは夢にも思わなかった。

 けれど、努力すればできるよな!」


「バブゥー」


 そう言って俺は、再び手を上げた。

 アトラ姉ちゃんの目が輝き始める


「そうか、そうだよな!

 腕は二本あるんだから、もう一本の腕で剣を持てばいいんだよ。


 どうして今まで気が付かなかったんだろう?

 トルムル、宜しく頼む」


 アトラ姉ちゃんはそう言うと頭を下げた。

 姉ちゃん……。


 俺に頭を下げなくてもいいのに……。



 父ちゃんからギガコウモリの魔石を受け取る。

 今回は大事なスキル付与。


 アトラ姉ちゃんの将来がかかっている。


 俺はオシャブリを吸って精神を統一する


 父ちゃんとアトラ姉ちゃんが真剣に見ている。


 手の中でイメージを開始した。


 万年眠亀《テンサウザンドスリーピングタートル》の甲羅《こうら》を破壊した最大超音波魔法《アルテメイトスーパーソニックウエーブ》を思い出す。




 イメージが完了したので、魔石に付与する。


 シューーーー。


 静かな音と共に、スキルが魔石に入っていく音が聞こえた。

 すぐに検査の魔法を使う。


 大丈夫だ!

 安定して魔石の中に、最大超音波魔法《アルテメイトスーパーソニックウエーブ》が入っている。


 すぐに父ちゃんに渡した。


 父ちゃんは慎重に検査をしている。

 少し手が震えているのがわかる。


 これほど緊張している父ちゃんを始めて見た。

 伝説の魔剣が復活する瞬間だからか……。


「大丈夫だ!

 安定して最大超音波魔法《アルテメイトスーパーソニックウエーブ》が魔石の中に入っている。


 成功だトルムル!」


 やったね、俺!

 アトラ姉ちゃんに笑顔が戻った。


 本物の笑顔だ!


「今でも信じられない。

 ま、まさか、私が伝説の魔剣を持つことになるとは!


 ありがとうトルムル。本当にありがとう」


 アトラ姉ちゃんの目から、涙が溢れ落ちている。

 嬉し涙だ!


 あれ?

 姉ちゃんがよく見えない……?


 気が付いたら、俺も涙を流していた。




「ただいま〜。


 ……?

 ど、どうしたの、み、みんな?


 涙を流して……。

 だ、誰かが亡くなったの?」


 父ちゃんも涙を流している。

 母ちゃんの葬式以来だ。


「トルムルが成功したんだ。

 エイル。これを見てごらん」


 そう言うとギガコウモリの魔石を見せた。


「それはギガコウモリの魔石。

 成功したって……?


 ま、まさか……?」


「伝説の超音波破壊剣《ソニックウエーブディストラクションソード》に組み込む魔石のスキル付与に、トルムルが成功したんだよ。

 これをアトラが持つことになって、みんなで喜んでいる所だったんだよ」


 エイル姉ちゃんは驚いて俺を見る。


「本当に?

 伝説の超音波破壊剣《ソニックウエーブディストラクションソード》をアトラ姉さんが持つ……?


 凄いことだわ、これは!

 この剣はすでに伝説になっていて、誰も復活できないと教科書に書かれてあった。


 それが復活するなんて信じられない!」


 アトラ姉ちゃんがエイル姉ちゃんに言う。


「エイル、悪いんだけれど。同級生だったアングルボーサにことづけを頼む。

 明日の授業が終わって会いたいと」


 えーと、確かその名前は……?

 あ!


 妖麗な女性の魔法剣士、アングルボーサ教授だ!


 そうか。

 同じ魔法剣士で同級生。


 しかも、学園の教授だ。

 アトラ姉ちゃんと同級生だったとは知らなかったよ。


 アングルボーサ教授に相談するんだね。

 間違いなくこれでアトラ姉ちゃんが復活する。


 やった〜〜〜〜!!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。