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12 必殺技の魔法?

12



キシャァァ! キシャァァァ!


「うニャ! ミュミュ!」


虎鉄がエンシャント・グレーター・アラクネを相手に奮闘していた。


敵対心を煽るだけ煽っておいて、避けるだけである。攻撃はしない。


俺も最初の方は攻撃も交ぜていたが今は防御に専念してる。


たまに魔法を撃ってはみたものの基本的にレジストされてしまっていた。


あとは目立たないようにするしかない。


ここに来るまでにレベルは2つ上がってLV27になったが、SP回復速度アップがSP回復速度アップⅡになっただけで新しいスキルは残念なことに覚えなかった。


ちなみにSP回復度は50pt/分とのことだ。


虎鉄も新たなスキルを覚えたが、開錠と盗み聞きのスキルだったので戦闘のは使えない。


ムギホシも一対一でひたすら頑張っている。


彼女はハンドガンではなく、白く光る剣でエンシャント・グレーター・アラクネ【♀】と激しく切り結んでいた。


お互いに援護は頼めないのだ。


魔法をレジストされた魔法使いはまさしく役に立たない人材で……悔しいなぁ。残ったSPが2500とか泣けるよ。



そんな時、なぜかエンシャント・グレーター・アラクネ【♂】は突然距離を取った。


なんだ? 何かやるのか?


「! うあミャミュミュッ!」


【♂】の後ろの方から前方に何かが放たれた。


「しミャったニャ! 糸を出したニャ!」


これまでに出てきたアラクネはその攻撃をしてこなかったので、この蜘蛛モンスターはそんな攻撃はしないんだなと勝手に思い込んでいた。強い相手のなのに油断した!


「……くっついて取れニャいミャ!」


粘糸か! エンシャント・グレーター・アラクネ【♂】が虎鉄を捕えようと近づいてくる。もしかはすぐ殺すつもりなのか。


「虎鉄、今いくぞ!」


俺は急いで虎鉄に向かって走り出す。


「ごめん、今こっちも手が離せない!」


ムギホシもこっちの状況を知っているようだ。こちらを見ずに声をだす。


「達郎、来ちゃ駄目ニャ!」


虎鉄に近づいて粘糸を取ろうとする。


「ダメだ。魔法で燃やすぞ!」


「達郎、もういいニャ。逃げるミュ!」


視界にエンシャント・グレーター・アラクネ【♂】の姿が映った。


ダメなのか――


エンシャント・グレーター・アラクネ【♂】の前足を振りかぶる――


畜生、もっと強い威力を持った魔法があれば――!


その時、突然光の奔流が俺を襲った。


*********************************


七色の光が俺を包んでいた。


「時の進みを遅くしたよ」


ソプラノの声が響く。


「おめでとう! 必殺技を授けよう!」


2カ月ぶりのその声は挨拶もなしにそう宣った。


「その必殺技は嬉しいけど……ひょっとしてこのためにココに来たの?」


「何を言ってるのさ。僕は別の次元に行くって言ったよね。これは残留思念とかの類のものだよ」


「すいません、よくわかんなかったのでもういいです。必殺技の件をお願いします」


わざとらしく「オホン!」と言ってーー


「ある程度死なないようにしたと言ったよね。ちょっとあぶなかったね」


「すみません」


素直に謝った。


「でも、僕もこんな相手が苦戦するなんて思ってもみなかったよ。ちょっと難易度の設定を考えるね」


難易度って今からでも変えられるのか!


「できればウルトラ・スーパー・イージーDXでお願いしたい!」


「それは難しいよ。まあイージー寄りのノーマルで」


ちょっと待て。今までってノーマルじゃなかったのか!


「とりあえず新たな魔法を授けるよ。これで勝てるさ」


「おいおい、ちょっと待てって……」


「10秒後に元に戻るよ。がんばってね。あ、最後にルーンの民に伝えて、それは――」


唐突に視界に表示が現れた。




『[アクティブスキル]

 黒炎龍の魔法 全SP(使用最低SP1000/使用SP量より与ダメージ量増加)』



なんだって? SP1000以上? それ以上使用すればダメージが増えていくって……。


勝てると言った星の子の言葉を信じるよ。


「それは――」のあとも聞こえたよ。だから勝って、ムギホシに星神の言葉を伝えるさ。さあ、来い!


*********************************


「虎鉄、まかせろ!」


俺は杖を構えて――


「たのむぜ黒炎龍さん!」


轟!と空気が唸りを上げた。


ゴワアアアアアア――


漆黒の龍が現れてエンシャント・グレーター・アラクネ【♂】を襲う。


龍が蜘蛛の身体を締め上げた。


そして――


黒い炎とともに漆黒の龍が爆発した!


ゴゴゴゴゴゴゴ……


「何が起こったんニャ。爆発したけどオイラ達にはダメージがないニャ」


虎鉄は何が起こったのかわからないようだ。星の子との会話は俺しかしてないので当然である。


「それは後で。それよりもあいつらをどうにかしないと!」


爆発した後は半径15メートルのクレーターが出来ていた。


中心にエンシャント・グレーター・アラクネ【♂】が半分埋まっている。


どうやら斃せたようだ。ナビも『たおした』とメッセージを出している。


エンシャント・グレーター・アラクネ【♂】の死骸は熱でガラス化しているようだ。


「あとは【♀】だな!」


「でもSPだと最低でも20分待たニャいとだニャ」


お! ナビでステータス見たか。話が早くて助かる。


「オイラもムギホシを手伝うニャ!」


ムギホシはエンシャント・グレーター・アラクネ【♀】の爪で所々傷を負っていた。


しかし、エンシャント・グレーター・アラクネ【♀】の方が足を3本なくしている。


「もう少しだ! SPが1000溜まるまで頼むぞ!」


「よろしくどうぞニャ!」


そう言ってでていく虎鉄。ムギホシには下がるように声を掛けた。


「あとで説明するから合図したら、できるだけ下がって! 最低でも30メートル!」


クレーターは半径15メートルだが、念には念を入れて30メートルだ。


「何したの? それにあの爆発は何?」


「だから説明は後で。爆発に巻き込まれるかもしれないから合図したら下がって。俺と虎鉄のたぶん大丈夫だから……!」


納得はしてないようだが今はそれでいい。


虎鉄はというと足を3本なくして機動力が落ちたエンシャント・グレーター・アラクネ【♀】は戦いやすいみたいだ。


二人はエンシャント・グレーター・アラクネ【♀】を格納庫の壁を追い詰めていく。


「そろそろかニャ?」


「ムギホシ! 逃げて‼」


虎鉄は投石をばら撒きつつムギホシが逃げるのを援護する。


「OKだ! いくぞ、黒炎龍!」


轟、と黒い炎が舞う。


黒炎龍の登場だ。


ゴゴゴゴゴゴゴ……


「やったかな?」


「やったよニャ?」


「あれが出てきたら勝ちよね?」


「「「…………」」」


二人はナビを見てからムギホシに伝えて、最後に喝采を上げた。

※「それは――」近辺ちょっと足しました。


読んでいただきありがとうございます。

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