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父娘で冒険しよう  作者: 諏訪丸


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第19話 砦での会議

小さな手の愛撫が心地よかった。

(おれは幸せだ)そうしみじみ感じていた。

(恵美には治癒力がある。それを大人たちに利用されると、この子のためにならない。今は知られないようにしよう)

礼二親子を召喚した王宮側、特に魔導士たちの言動には裏があるように思えた。礼二たちを利用して、

王国の歴史を見ると聖女などと持ち上げられ、崇められた女性は多くいた。でもその人たちは、国の犠牲になることが定められた人でもある。

(恵美にはそんな運命を辿らせたくない)

そんなことを思いながら、付き添いの兵士たちの動きを見ていた。


兵たちは一人が砦へ連絡に走り、他は打ち倒された狼を探り、解体まで始めている。

前回、砦に来た時、兵が狼によって犠牲になった。そのためなのか兵たちは扱いがぞんざいで、処理した狼の死骸を開けた穴に放り投げている。

(死んだ仲間の仇を討つように思っているのだろうか)そんな気がする。


処理を終え、ゼマールが近寄って来た。

「驚きましたね、ほとんどの魔物が一刀両断ですよ。」驚いた表情で語りかけて来る。彼は何度も礼二と手合わせしているから実力はよく分かっている。だが、礼二の魔物退治と同行したことがなく、実際に狼を切り裂く姿を見て、改めて評価し直していた。

「いやぁ、私も夢中で剣を振り回しただけで、どのように戦ったのかおぼえてないんです」苦笑いしながら応える。

「まさか、あれだけの狼に囲まれていたとは思いもしませんでした」彼も魔狼たちが密かにあれほど多く忍び寄っていたとは想定外だったのだ。

「あいつらの攻撃力も馬鹿にできませんが、あんなに隠れるのが上手くては防ぐのは難しいですね」

「本当に厄介な連中です。砦で聞きましたが、ゴブリンなんかもいつのまに姿を消しているようです。ゴブリンも魔狼が怖いんですね」

今回も、先に4匹の魔狼を見せたのも礼二を引き離すためだったように思える。そんな策略を考え出せるような魔物だ。

「全く、油断ならない連中です」

二人は表情を引き締めていた。


その日から数日草原で魔物退治に出かけるが、スライムや角ウサギなど弱小ばかりで、ゴブリンさえも姿を見せなくなる。

魔狼も遠くの吠え声は聞こえるものの近くでは全く見かけることはない。

2,3日間ほぼ手ぶらで砦に帰るしかなかった。

砦の隊長デオゴーンらと今後の方針を話し合うことになった。

「草原には魔狼が跋扈しており、ゴブリンなどはすっかり姿を消したのでしょう。おまけに魔狼までも近寄って来ないのでは、魔物討伐になりませんね。おかげで砦の近くにも魔物が現れないので助かってはいます」デオゴーンは痛しかゆしの表情。

「レイン殿が強過ぎて、狼共が近寄って来なくなったのでしょう」ゼマールは笑みを浮かべて言う。

「それは一理あるな。草原で魔物が見つけにくいとなれば、森に入るしかありませんが、レイン殿の準備はできてますか?」

「今回は馬を連れてきましたので、万一の時は逃げることが出来ます」

「陛下からも、安全が確認されたなら森に入ってよいと言われてます」ゼマールが言う。国王は折角召喚できた礼二たちを魔物によって失う懸念をしていた。しかし、礼二が予想以上強いとしり、懸念が無くなっていた。

「では決まりだな」隊長が短く言う。


森での魔物討伐が決定した。


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