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このところ、ヴァルクネアさんの様子がおかしい。ほしい物はないかと何度も聞いてくるのだ。そして自分の食べ物を分けてくれる。私もそんなに食べられないのでヴァルクネアさんに自分の料理を差し出すとそれはそれは嬉しそうにするのだ。ヴァルクネアさんはシェアしていろんなものが食べたいタイプなのかもしれない。それから家はどんな家がいいのか聞いてくる。のどかな街で暮らしたいと言うと探しに行こうと言うのだった。あとは一緒に寝たがる。この前一緒に寝てしまったので断りづらく一緒に寝ている。
冒険者になった私とヴァルクネアさんであったがどこの街に行っても浮いていた。ヴァルクネアさんが綺麗すぎるからだと思う。女性冒険者と間違えられてナンパされたのは一度や二度じゃない。
そんな私たちであるが定住する候補の街を見つけた。王都からヴァルクネアさんが飛ぶこと三日の距離にあるシールドの街だ。ぶっちゃけ田舎。でも私の実家も田舎なので安心する。この街の冒険者は初心者に毛が生えた程度のものしかおらず、魔物もそんなに強力なものは出ないそうでよさそうな街だと思った。
「穏やかに暮らせそうですね」
「ふむ、子育てにも向きそうだな」
え、ヴァルクネアさんまだ私のレベル上げをする気なの?
町長さんの家に挨拶に行きこの町に住みたい旨を伝えると借家を紹介してもらえた。一戸建てだ。
ただ私たちには誤算があった。この町は平和すぎて冒険者の仕事がほとんどなかったのである。そんなわけで基本的にはここに住み時折各地にある迷宮に稼ぎに行くことになった。ヴァルクネアさんは町の娘さんたちから熱い視線を向けられていたがどこ吹く風であった。私はグサグサと刺さる視線の痛さに耐えるのに必死だった。
夕飯を食べてソファでくつろいでいるとヴァルクネアさんが爆弾を落とした。
「ウメノ、私の番。どうか私と番ってくれないか」
「いやいや、なに言ってるのヴァルクネアさん。私は人間ですよ」
「なぜ私たちが他の種族の姿をとれると思う?」
「分かりません」
「番の種族に合わせるためだ」
「つまり?」
「人と竜であっても子はなせる」
子作りできると言われましても。
「……ヴァルクネアさんは私のことが好きってこと?」
「もちろんだとも。我が唯一よ」
「すみません、ヴァルクネアさんのことをそういう目で見たことがなかったのですぐには答えられません」
そう告げると美しいヴァイオレットの瞳が悲しげに揺れる。思わずその場凌ぎに私も好きですと言いそうになった。危ない。
「でも、ヴァルクネアさんの今みたいな表情を見たくないと思うくらいにはあなたが好きです」
「今はそれでよい」
そう言って悲しげに微笑むものだから好きだと言ってしまいたくなった。危ない。




