>単純に『軍隊は人殺しだぁ~』やら『国家の暴力装置』だの、そんな程度の低い次元の話
これはマスコミもよく使う「すり替えの理屈」で
大きな視野で物事を考えているようで
実は矛盾した理屈に思えます。
理を捻じ曲げて屈する
文字通りの理屈ですね。
なぜならこれは
個人レベルではなく国家レベルでなら
正しく感じるけれど
人類全体というもっと大きな視野で考えると
個人レベルで肯定され国家レベルで否定される「平和主義」は
個人レベルと同様に肯定されべきだからです。
どういうことかといえば
単純で原則的な話ほど人類という種の存続に関るものだからです。
殺人や盗みの否定はどんな社会でも社会を造る為に
ルールとして定められています。
これは人類という種の生存戦略である
自然淘汰による
自滅本能の否定や同種の切り捨ての否定
から生まれた自然との協調
という根源的な善から生まれた人類全体の為のルールだからです。
反社会的な集団に属しても
人間社会を形成する最低限のルールは子供の時にしつけられます。
子供が遊びで生き物を殺すように
遊びで自分を殺そうとする快楽殺人者ばかりの社会などあり得ないからです。
けれど個人間では守られるべきとされるこのルールが
国家間では否定されるのは
人類全体の利益より権力者の利益を優先させる国家というシステムを保つためです。
それを次元の低い話と言ってしまうのは
国家こそが最高の社会機構の在り方という
人類の可能性と精神文明の限界を現代に定め
「所詮、人間とはこの程度」と見限ってしまうような
「視野の狭い=次元の低い」話になってしまいます。
現代の国際社会が
殺人を容認した暴力装置の対立を前提に
造られているのは
国家というシステムが人類や民衆の為にあるのではなく
経済システムや権力機構というものの為にあるものになってしまい
自然淘汰システムを模した社会を容認しているからです。
「現代社会が人間性を失っている」と頻くいわれるのは
そういうことです。
つまりこれは
「大きな視野で物事を見るのが次元の高い」
という理由では否定できない問題で
要は
この「平和主義は次元の低い話」という理屈は
「国家による暴力の肯定」などではなく
「妥協による国家による暴力の容認」でしかないという話です。
「いわゆるオトナの理屈」というやつですね。
そう
現代社会を語るとき
たいていこの
「いわゆるオトナの理屈」に行き当たります。
この場合の「いわゆるオトナ」と子供の違いに
建前と本音を使い分けられるかどうか
という見方がありますが
この見方では
大人とは他者を騙す事で成り立つ存在
という事になります。
大人になるほど汚れていくという考え方で
性善説と一緒にされがちですが
「しつけ」ということを考えるなら
根源的な善はそこで与えられたから存在するだけで
もともとは善でも悪でもない「混沌=無垢」でしょう。
何れにしろ「いわゆるオトナの理屈」では
悪徳を容認しなければ生きていけない矛盾が現代社会には
あるということですね。
この矛盾は古来から続く地域社会間の紛争により
生まれたものです。
「しかたないから騙しあい奪い合い殺しあう」という情けない話を
誤魔化し正当化しようとするのが
「いわゆるオトナの理屈」というわけですね。
暴力を使うことを常套手段とする国際社会で
暴力を放棄することは自滅行為です。
それを無条件で一国家のみに求める人間は
人殺しを否定するふりをした
「人殺しの仲間」でしょう。
それもまた「いわゆるオトナの理屈」です。
けれど
世界全体で暴力装置を否定できるのなら
それは「いわゆるオトナの理屈」ではなくなります。
「いわゆるオトナの理屈」を信じ
理想を夢想と呼び
悪徳を現実と呼ぶならば
それは決してたどり着くことのできないものになります。
けれど
現実が悪徳と根源的な善の狭間にあり
人を根源的な善に導くものが理想だと考えるのなら
それは案外すぐそばにあるものなのかもしれません。
問題はそれを望まない「利権に属する人間」が
マスコミや権力機構や思想活動の場に多く存在し
そういった闘争を基盤としたシステムこそが自由で
欲望を貪ることが幸福だという考えで社会を動かしていることなのでしょう。
「清濁併せ呑む」政治家というのは「清と濁」を分けて管理できる政治家で
「清濁区別しない混沌」を利権のために利用する悪党の事ではないのに
「清濁区別しない混沌」を口にする世襲政治屋が大手を振って持論を吹聴できるというのは
そういう事なのでしょう。
以上
「いわゆる国際社会のルール」や
「いわゆるオトナの理屈」は
獣性や自滅本能を制御できないものの誤魔化しで
「理想を騙った理屈を吹聴する」のも
「理想を否定する」のも
同列の話でしかなく次元の高い話などではないという話でした。
SF作品ですし現代の資本主義による
金銭権威型社会の常識にとらわれないほうがいいかと思いますよ




