>覚悟
私も拙作でとりあげましたがいいテーマだと思いますよ
いっそのこと少し前に遡って加筆してもいいんじゃないでしょうか。
命を奪う覚悟はよくシリアス系の物語で触れられますが
一度覚悟した後は割り切ってというふうに描かれる主人公が多いですからねぇ
心理学の分野では
フラッシュバックが起こったり
その日の夜に悪夢を見たりという体験談が多く聞かれます。
そういったトラウマを防ぐ
武士道など職業兵士の心構えを作る教育では
命を奪う覚悟と身を捨てる覚悟はセットで語られます。
「武士道とは死ぬことと見つけたり」というやつですね。
自分の命と相手の命を等価として
命を奪う覚悟と命を奪われる覚悟を持つことで
自己の中での命の価値を貶める決意です。
命を救う場合の数の多寡による計算とは別に
常に刹那的に己と仲間の利益を守る為に敵の命を奪うことを肯定する価値観。
この
極めて動物的な行動規範を叩き込まれることで
殺人のトラウマは軽減されますが
行き過ぎると兵士としてしか生きられない人間になります。
騎士道や武士道といった武力を背景とした権力を支えたこの動物的行動規範は現代でも根強く残り
国家も暴力を行使する利権集団も犯罪組織も
社会を維持する法の外で動く集団はこの暴力原理の理屈で動いています。
だから権力を無条件に肯定する人間は
公的立場の表向きでは否定しながら、この理屈こそが正しいのだと語りたがります。
そして、そんな歪んだ理屈に騙された反抗期の子供達は偽悪的になり
イジメや万引きなどといった犯罪に走りがちです。
そういった行為を咎められずに大人になり
犯罪組織に身を投じるものもいます。
そうして彼らは理想などどこにもなく
人とはただの動物だと嘯きながら生きていきます
けれど理想とは人が創ったものではありますが
確かにそこにあります。
かっては神の示す道として宗教などで語られ
現代では人という種を護る規範として
遠くにあって目指すものではなく
身近にあって、私達が心ない者達から護るべきものとして確かに存在します。
命を大切にするというのは
その理想の一つでしょう。
現実的なものなので
命を大切にするという理想は命を奪うことを否定するものではありませんが
ただ肯定するものでもありません
命を奪うに価する理由を利益ではなく命を護るというものにすることで許されるというのが
人間が創りだした命を奪うことへの免罪です。
罪ではあるが人には許される行いであって
罪でないわけではない。
苦しみからそういう「自分を甘やかさない覚悟」に辿り着けず
絶対的正義など存在しない
力こそが正義
強ければ何をしてもいい
などという方向で自分を誤魔化し
歪んでいかずに
○○○には苦しみ続けて欲しいものです。




