24/78
柏餅
コトコト コトコト
静かに 静かに 煮た小豆
その中には
優しい 優しい 思いやりが
泣くこともできず
ただ立つことしか出来ない家族に
「柏餅作り手伝うか? 明日は端午の節句だから」
と誘う祖父
端午の節句を祝う年齢はとっくに過ぎたのに
よもぎを摘み
重曹を少し入れて煮たよもぎを
水気をきり
擂粉木でする
上新粉によもぎを加え混ぜる
丸く作った団子を広げ
優しさ詰まった小豆を入れる
そして
柏の葉にくるみ 蒸す
言葉数の少ない祖父
小さな頃から 言葉を交わすことが少なかった
子どもの時は 怖いと感じていた
出来上がったよもぎの柏餅を
一口食べると
春の味が口いっぱい広がった
そして
ホッとするような甘さ控えめの小豆
柏餅には 語れることがない
優しい想いが 詰まっていた




