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煌びやかなホールに、これまた煌びやかに着飾った老若男女が集まっていた。
一段、高いところには大国の王と王の実子の第二王女、王弟のうちの一人が座っていた。
この集まりは、王家の王家による王家のための婚活パーティだ。
未婚の王族と年近い者がいる家は婚約者の有無に関わらず出席をしており、何を勘違いしたのか王族の姫を後添えにしようと企む老人まで出席していた。
「皆の者、今宵は余の招待を受けてくれて感謝する。伴侶を持たぬ王族のために貴殿らの力を貸して欲しい。では、乾杯」
王からの開催の声がかかると我先にと王族に声をかけるために押しかけた。
何も王の側に座っている二人だけが王族ではない。
未婚の王族は何十人とおり相手に困るということはなかった。
「ヴィヴィアン、弟よ。今宵のパーティを楽しむといい」
「ありがとうございます。お父様」
「お気遣いいただきありがとうございます。兄上」
王はグラスを持つと、未亡人たちの輪へと向かった。
それを見てヴィヴィアンはため息を吐いた。
「叔父様」
「なんだい?姪よ」
「わたくし、どうしてお父様がお母様と結婚をしたのか不思議ですの」
「それはね、ここより遥か東の国で書かれた古い書物による逆・光源氏計画というものだよ」
大国の王は恐ろしいくらいに熟女趣味だった。
婚約者を選ぶときの絵姿は本人ではなく、本人の母親の絵姿で選んだという逸話が残るくらいだ。
だから今も未亡人となり年を召した女性のもとに恋する少年のように浮足立って向かって行った。
「叔父様」
「なんだい?」
「わたくし、女王になりたくありませんの」
「これまた唐突だね。結婚したくないと言われる方がしっくりくるね」
「継承権はお姉さまに譲って降嫁しようかしら」
婚活パーディで普段は王族に話しかけることすら不敬とされる中、このパーティだけは下の者から話しかけることを推奨されていた。
推奨されてはいるが、簡単に話しかけられるものではない。
椅子に座ったままのヴィヴィアンをダンスに誘うために令息たちが集まっていた。
「それは家臣たちに止められてしまうのではないだろうか」
「そうよね。お姉さまは病弱でいらっしゃるものね」
「うん、産まれてから四十年、社交界にすら出席したことのない彼女では女王は務まらないよ」
王は結婚した王妃が好みに育つまで待つつもりだったが、王位を継げるのは現王の子のみという決まりがあるせいで早急に子を望まれ嫌々作ったのが第一王女だ。