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少女型嘘発見器  作者: 阿智工事
【三幕/翌朝/『少女型嘘発見器と罰』】
21/25

(20)私の朝

 朝、白井さんの部屋。

 私は目を覚ました。

「…………」

 ベッドの上で、隣を見ると白井さんがいた。

 白井さんが目を開けた。

「……おはよう」

 白井さんはそう言って、私にキスをした。

 私は顔を真っ赤にして固まった。

 幸せだと思った。

「……もうこんな時間か。早く支度をしなくちゃね」

 白井さんはそう言って、裸のまま布団の中から起き上がった。

 私は布団をかぶったまま、ベッド脇に落ちていた下着と衣服に手を伸ばし、掴み寄せた。

 そうして布団の中で、それらを身につけた。

 なんとなく、恥ずかしかった。

 それから布団を出て、自分のお腹のあたりの感触を確かめているうちに、白井さんはすっかり身なりを整えていた。

 私は白井さんに、

「じゃあ、また後で」

 と言ってから、白井さんの部屋を出た。

 とても、幸せだと思った。


 私は廊下に出て歩き出すと、唐突に足を止めた。

 そして周囲を見回した。

 次に耳をふさぎ、目を瞑り、じっとした。

 まさか、と思った。

 やがて私は顔を真っ青にして、震えながら目を見開いた。

 きょろきょろと周囲を見回す。

 怖かった。

 背後で、ぎぃ、と屋敷のきしむ音がすると、私はびくっと震えて、廊下を駆け出した。


 その日、私は体調が悪いから休むし食事もいらないと、白井さんに伝えた。

 すると白井さんが私の手を握って、私のことをじっと見てきた。そして、

「大丈夫? とりあえず、落ち着くまでゆっくり休みな。なにかあったら言ってね」

 と言った。

 私は顔を真っ青にして、何も言わなかった。

 怖かった。とても、とても怖かった。

 白井さんはそのまま私の前を離れて、仕事に戻っていった。

 私は一人になると、頭から布団をかぶって、口の中で繰り返し呟いた。


「聞こえない……聞こえない、聞こえない、聞こえない、聞こえない…………あの人の心の声が、聞こえない……ッ!」


 私はシーツを噛んで、震えた。

 さっき、白井さんは私に優しい言葉をかけてくれたはずだった。

 でも心の声の聞こえない私は、白井さんの言葉に悪意が潜んでいるような気がして、怖かった。

 怖くて、怖くて、しょうがなかった。

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