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第二十二話

お読みいただきありがとうございます!

こちら、もっと読みやすく書き直しています、よろしくお願いします!

 ヒロインであり、至高の聖女と呼ばれる私、カンデラリアは、祝福を与える為にバレアレス王国を訪れる事になるの。


 これはゲーム内と同じ行動であり、この時期の私はバレアレス王国に行って、普段だったらヒロインキャラであるリリアナやマリアネラと合流する事になるのよね。


 もういい加減、ループに飽きて来たので、今回限りでこの世界も終わりにしようと思っているの。


 だから、リリアナは罪を償う為に今頃は牢屋に入っているはずだし、マリアネラは侯国の二人の王子に会うために向かっているはず。


 私は罪を犯したリリアナを思って落ち込んでいるアデルベルト陛下をお慰めしつつ、嫉妬に狂うセレスティーナを断罪するのかな?


 セレスティーナが死ぬのは決まっているんだけど、考えてみたらどうやって殺すのか詳しく話を聞いていなかったかも。


 ゲームに一番詳しいのはマリアネラ王女なのに、彼女はジェウズ侯国に行ってるから尋ねる事が出来ないじゃない!本当に、スマホがない世界って大変よね!


 私たちは絶対的に安全な場所を確保しているから、殺される一択のセレスティーナに同情しないし、殺し方も正直に言ってどうでもいい。


 セレスティーナが殺されて『ざまあ』なんて思ったのは最初のうちだけで、後はただ、惰性で死ぬ姿を眺めているような感じ。どうせ悪霊になったのを、至高の聖女である私が浄化するんでしょう?展開が見えすぎていて、心の底から飽きたっていう感じなのよ。


 マリアネラ王女が言うには、全ての攻略対象者を攻略済みだし、今回は隠れていたストーリーを解放出来るだろうって言うんだけど、ああ、確認不足だったかも。


 まあ、何があってもセレスティーナが死ぬのは決まった事だし、死んだ後はすぐに悪霊化するから聖女の私が側にいなくちゃいけないし。


 マリアネラは侯国でヒロインムーブをかましてフィルベルト王子の心を改心させて、和平へと国を動かしていくって事になるんでしょう?私はどうせ、何処に行ってもチヤホヤされるからいいけど、そのチヤホヤも正直に言って飽きて来たわよね。


「はーーーっ」

「聖女様?どうかされましたか?」

「いいえ、特に何かあったわけでもないのだけれど」


 向かい側の席に座る修道女に笑みを浮かべた。


 車と違って馬車って振動すごくてお尻が物凄く痛くなるのよね。私が乗っている馬車は至高の聖女様専用の王族も乗るような高価なものなんだけど、本当にお尻も痛いし腰も痛い、なんなら背中全体も痛くなっているので、本当に心底うんざりしてしまうのよ。


「早くバレアレスの王都に着かないかしら・・・」


 馬車のカーテンを少しだけ開けて外を眺めていると、農民たちがこちらの方へと集まって来る姿が目に入った。


 癒しの力を持つ聖女は慈悲を与える存在として多くの民に信奉されているわけよ。力ある聖女の移動をこうやって嗅ぎつけた輩が、大きな病とか怪我を治して欲しいとか言い出して、砂糖に群がる蟻のように集まるの。


 私の身を守るために三十人の聖騎士が護衛についているような形になるんだけど、人々の言葉を無視して走り抜けるまでに時間を要する事になるから非常に面倒なのよね。


「貧乏人が私に癒されようだなんて、生意気にも程があるのよ」


 私が治すのは王侯貴族のみ、平民だったとしたらよっぽど高額のお布施を払わない限り治す気はないの。司祭長もそれで良いって言っているし、ただでさえ無意味に続くループに辟易としているんだから、余計な事なんか一ミリだってやりたくない。


 馬車の窓枠に頬杖をついてため息を吐き出す私の姿を心配そうに眺める修道女。この女、ビスカヤの王の妾の子だったりするから、本物の王族って事だし、マリアネラ王女の異母姉という事だけど、私の前でヘコヘコするからお気に入りの下僕なのよ。


「民衆も集まっているみたいだし、私の代わりに癒しを行って来なさいよ」

「え?」

「修道女として長く聖女教会にいるんだから、貴女にだってそれくらいの事は出来るでしょう?」

「は?」

「癒しの力がないなら体を使って癒せばいいじゃない?ちょっと外に行って周りの人間を宥めてきてよ!」

「む・・無理です!」


 真っ青な顔になって震え出す女を眺めながら、こいつを一人だけここに置いてきぼりにしてやろうかと思案する。


 聖地生まれではないこの女には勿論、癒しの力なんかないけれど、癒しの力が無くたって、女だったら男を癒す方法はいくらでもあるでしょう。


 ガタガタと震え出すこの女を下ろすように聖騎士に命令をしようとしたところ、

「きゃああああああああっ!」

衝撃を受けた馬車が横倒しとなってしまった。


 体を打ちつけて転がるようにして床に這いつくばっていると、真上に移動した馬車の扉が大きく開き、汚らしい顔をした男たちが飛び降りるようにして中に入ってくる。

「聖女がいたぞ!」

「聖女だ!」

「聖女がここにいたぞ!」


 馬車に飛び込んできた男が乱暴に私を引き起こすと、上から手を伸ばす男の方まで押し上げるようにして持ち上げる。

 私の衣服を掴んだ男が馬車の外へと引き摺り出すようにして持ち上げた!


ここまでお読み頂きありがとうございます!

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