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ETRAL  作者: E:自由なめこの輪
15/16

第15話 昔の私

エートラ(最初の崖だ。)

トパル(もう行き止まりみたいですが、サムとやらは道を間違えたんですかね。)

サム「着いたよー。」

マチミル「何もない。」

サム「…。」

すると突然サムが崖の端に立ち魔法の詠唱のようなものを始めました。

忽ち、辺りの霧がサムの方へと集まっていき、崖の下へと続く道のようになります。

サム「こっちだよー。」

マチミル「あっ!…う、浮いてる!」

エートラ「これホントに私たちも通れるの?」

トパル(危険そうなので、止めておきますか。)

メルセル「そうだな。」

エートラ「いや、みんなを探さないと。」

トパル(サムが本当のことを言っているとは限りません。)

メルセル「ここは違う手段を探そう。」

エートラ「えー?メルセルは賛成派だったじゃん。」

メルセル「そ、そうか?」

マチミル「あー、メルセルさん怖いんだー!」

メルセル「…。なら、マチミルが先頭で行ってみてくれ。」

マチミル「うーん…帰りましょうか。」

トパル(あとはエートラさんだけですよ。)

エートラ「もー、みんな怖がりだなぁ。私には、まだ、ナガルがいるもんね!」

ナガル「ガァ!」

エートラ「うわ、これ高っ…。あ~、思ったより怖い!これ!」

メルセル「おい、エートラ…本当に行くのか…!」

エートラ「行くしかないよ!もうサム見えないし!…。」

エートラが霧の道に足をかけ、宙に浮きました。

エートラ「歩けた…。皆!道あるよ!」

マチミル「凄い、エートラさん!」

メルセル「…次は私が行こう。…よっと。」

続いてメルセルが霧に乗りました。

エートラ「いらっしゃい!」

メルセル「いらっしゃったぞ。…この霧、体重で落ちたりはしないのだろうか。」

エートラ「メルセルが大丈夫だったんだから、あと心配なのはナガルくらいだね。」

ナガル「!?」

メルセル「そんなに心配するな。下は海だ。」

ナガル「ガ?」

トパル(ナガルって泳げたんですか?)

ナガル「フルフル」

トパル(まぁ落ちてもなんとかなるでしょう。私が一番後ろを歩くので、次はマチミルが行ってください。)

マチミル「わ、かりました。…うわっ!本当に霧に乗ってる!凄い凄い!」

トパル(はいはい。次ナガルですよ。)

ナガル「ガゥ!」

ナガルが勢い良く霧にジャンプしました。

ナガル「ガァ!」

エートラ「おぉ!ナガルも来れたね。」

トパル(さぁ全員揃ったのでさっさとサムを追いかけましょう。随分時間をとられてしまいました。)

マチミル「あれ、いつの間にかトパルさんも乗ってる。早いですね!」

トパル(乗れることがわかったので。)

エートラ「トパルがチームで一番軽いし、小さいからねー。」

トパル(頭突きされたいんですか?早く歩いてください。)

エートラ「はーい。」

エートラ達は霧を歩き海の上を進んで行きます。

エートラ「待って!」

トパル(どうしたんですか。)

エートラ「道がここから海の中に入ってる!」

マチミル「え!今から海の中に行くの!息できないよー!息止める練習しとけばよかった…。」

エートラ「確かに…。」

メルセル「練習でどうにかなるのか?」

マチミル「メルセルさんは水の中、大丈夫なんですか?」

メルセル「ああ、動きにくくはなるがな。」

エートラ「へー。トパルは?」

トパル(私は水の中の方が速いですよ。)

エートラ「そうなの!?どうやって移動するのか全然想像出来ない…。」

トパル(想像しなくて結構です。)

エートラ「ナガルは大丈夫?」

ナガル「ガァ!」

エートラ「まぁドラコンの孫だし大丈夫か。私は水の中で息できたかなぁ?」

メルセル「記憶が無いのも大変だな。」

トパル「サムも大丈夫そうですし、人間って水の中で息できるんじゃないですか?」

メルセル「人間は肺呼吸だと聞いたが…。」

エートラ「何でもいいや。多分大丈夫だと思うし、皆水の中は大丈夫ってことで!」

マチミル「え!私は!?」

トパル(息止めてなさい。)

マチミル「えぇ!」

エートラ「いくよ!」

そうしてエートラ達はずんずん海の底に泳いでいきました。しばらく泳いでいると、海の水ごと削れているクレーターのような場所がありました。

エートラ「あれ、ここから陸?どのくらい泳いだんだろう…。」

マチミル「はぁ~。そ、空も見えますねー。」

メルセル「中央に行くほどくぼんでいるな。何か爆発でもしたのだろうか。」

エートラ「あれ、サムが前で止まってる。おーい!」

サム「ここだよー。」

エートラ「ここ?」

マチミル「この辺りには、なにもないですけど…。」

トパル(やっぱり、意志疎通が出来てませんね。ただのヤバいやつです。)

エートラ「サム、ダルカールのみんながいる場所を知ってるんじゃなかったの?」

サム「そうー?ここも同じ。誰もいなくなっちゃったんだー。」

メルセル「ここにも昔、町があったのか…。」

サム「そう。小さいけど、賑やかな町。みんなが住んでた。」

マチミル「みんなって?」

サム「…みんなだよ。サム…いや、俺の家族と町の皆、そして、エートラも…。」

エートラ「え…?」

サム「エートラは町がなくなる前に逃げれたみたいでよかったよー。」

皆「?」

サム「空を見てて。もうすぐ夜になって月も出てくる。」

エートラ達は戸惑いながらもクレーターの地で夜を待ちました。

エートラ「月だ…あっ!」

メルセル「どうしたんだ?」

エートラ「今日は月が1つだ!前は2つあったのに!」

サム「前にエートラが見たであろう2つ目の月は月ではないよ。あれは隕石だ。半年前にこの星に向かっていることが明らかになった。」

マチミル「い、隕石!?」

サム「その隕石はこの星ここの場所に落ちてきたよ。隕石だとわかってから30分後に。」

エートラ「じゃあここで暮らしてた人達も町ごと…。」

サム「人ではないけどね。」

エートラ「えっ?」

サム「俺達の種族はこの星の動物や植物を管理するのが仕事なんだ。"ネウスル"と人間達からは言われている。俺はネウスル植物班のリーダー、サムサル・リフネだよー。」

エートラ「えっ!サムじゃなかったの!?」

サム「うん。正体が人間たちに気付かれると、面倒だからねー。名前だけで分かる人も少ないだろうけど。」

トパル(名前を知ってる人には気付かれそうな偽名ですけどね。)

エートラ「なんで、ここのことをもっと早く教えてくれなかったの?」

サム「それは…。」

マチミル「何か事情があったんですか?」

サム「俺達の種族は人間たちにはない、能力を持ってる。それは…」

エートラ「それって頭の中でも話せる?」

サム「?いや、違うよー。エートラは、そんなことができるのー?」

エートラ「まあ、それじゃ、私たちの能力って?」

サム「貰う能力だよー。」

メルセル「貰う能力…。」

サム「返すこともできるから、借りる能力と言ったほうがいいかなー?まあ、名前は何でもいいんだけど。」

マチミル「でも、貰ったり、借りたりすることなら、私にだって出来ますよ。」

サム「何でもー?」

マチミル「何でも…?」

トパル(なるほど、そういうことだったんですね。)

エートラ「私たちの種族は何でも貰えるってことなの?」

サム「そう。形のないものでも。相手が渡してくれないと無理だけどねー。」

エートラ「私も皆から何かもらってるのかな…?」

メルセル「ダルカールのお嬢様からもらったネックレスとかか?」

エートラ「確かに…。他には指輪とかね。」

トパル(魔法の袋も貰ってますね。)

ナガル「ガァー。」

マチミル「私からは元気をあげます!」

サム「それかなー。」

マチミル「え!」

サム「エートラは皆から力を貰っているよ。」

エートラ「そりゃ貰ってるけど…。」

サム「そういう力じゃなくて、皆の"出来ること"をエートラが貰ってるんだよ。」

エートラ「そういえば、飲んだり食べたりしなくても旅ができるようになったし、最初に比べて戦いも強くなった気がする!」

トパル(もはや魔物。)

エートラ(でも結局、私が皆と心で会話出来るのはなんなの?)

サム「エートラは隕石が隕石ってわかる前に、この町から出ていったんだよー。族から出たネウスルは名前を変えなければならない。エートラも本当はエートラじゃないよー。」

エートラ「えぇー!でも私記憶喪失なんだけど。」

トパル(サムがエートラさんの今の名前を言っているということは、自分の2番目の名前は覚えていたんですね。)

サム「エートラがちょうどこの町の近く、あの崖に居たとき、隕石ということと、町に落ちてくるということが分かったんだ。それを聞いたエートラは、酷く悲しんでいた。…だから、俺がエートラから記憶を貰った。」

トパル(!)

エートラ「え!?」

マチミル「そうだったんですか!?」

メルセル「そんなことが…。」

エートラ「昔の私がサムに記憶を渡したってこと?」

サム「うん。そうだよー。」

マチミル「なら、返してもらうことも出来るんですか?」

サム「もちろん、出来るよー。でも、エートラがあのときみたいな悲しい気持ちになるのは嫌だなー。」

エートラ「そっか。」

トパル(エートラさん…?)

マチミル「どうしたんですか、ポカンとして。」

エートラ「いや、色々考えてたんだけど、サムがそういうなら記憶はいいや。一度、渡したものだし。」

メルセル「いいのか?」

エートラ「うん。その代わりさ、サムが、昔この町で起こった出来事とか教えてよ。」

サム「いいよー。」

トパル(連れて行く気ですか。)

エートラ「いいじゃん。」

トパル(止めといた方がいいと思いますけど、私は。)

メルセル「まあ、トパルの言うことも分かるけどな。」

マチミル「なんでですか?」

エートラ「うーん。」

トパル(第一印象ですかね。)

エートラ達はサムの話をゆっくりと聞いていました。

ここにあった町のこと、サムの家族のこと、エートラとサムの最初の出会いなどを。

サムは自分で話をしているうちに昔の事を思い出して、不思議な表情を浮かべました。

マチミル「え!エートラさんって動物班のリーダーだったの!?」

トパル(なのに調査のカルテを間違えて、この星の生物を一種類絶滅させてしまうとは。)

メルセル「そのせいでリーダーを辞めさせられて、ネウスルを追放になっていたとは。」

ナガル「ガゥ!」

エートラ「本当にビックリだね。」

皆「…。」

サム「エートラはおっちょこちょいだからねー。」

トパル(どうせ記憶喪失なら、おっちょこちょいなところは綺麗に忘れてほしいですけどね。)

エートラ「誰が今もおっちょこちょいだ。」

マチミル「おっちょこちょいってなんか言い方面白いですねー。」

サム「ははっ。あっ、他にもねー…」

突然ドーーン!と大きな音が響き渡りました。

皆「っ!?」

エートラ「何の音!?」

トパル(エートラさん、気を付けて下さい。)

エートラ「うん。でも、凄い音だったよね。何なんだろ。」

メルセル「こうも暗くては、分からないな。」

サム「月がちょうど隠れてるからねー。」

マチミル「やっぱり、野ざらしのまま会話してたら危ないですよね。」

トパル(対象が寝たところを奇襲とかはよくある話ですからね。)

エートラ「そうなの?私は結構野宿が多いけど、そこまで危ない目にあったことないなぁ。」

マチミル「エートラさんって私より魔物みたいな生活してますよね。」

トパル(魔物ですからね。)

エートラ「いや、違うけど。…ネウスルって魔物なの?」

トパル(ふざけたこと言ってないで、周りに注意しててくださいよ。)

エートラ「えー?今、ふざけてたの絶対トパルじゃん!」

そんなエートラたちが警戒を続けていると、雲から月が出て、辺りが少し明るくなりました。

皆「…!!!」

エートラ「あれは…。」

マチミル「ドラゴンさん!?」

メルセル「ナガルの親戚か?」

トパル(いや、また別のドラゴンのようです。)

サム「真っ黒だねー。あれはダルカールドラゴン、通称:天界ドラゴンってやつだよ。」

エートラ「え!天界ドラゴン!?」

トパル(思い出して嬉しくなってる場合ではないようですよ。)

エートラ(なんか懐かしくて。)

サム「あれがさっき話した、エートラが絶滅させてしまった種族だよ。もうオスの彼1人しかいないんだー。」

エートラ「えぇー。」

トパル(あーあ。ダルカールの伝説終わらせてしまいましたよ。)

エートラ「でもあのドラゴン天界に住んでるのに…私よく天界まで調査に行けたなー。」

サム「?彼らは天界には住んでいないよー?ここの近くの洞窟に住んでるんだ。」

エートラ(どっちにしろ伝説終わってるよ~。)

メルセル「おい、なんかドラゴンが…」

天界ドラ「人間たちよ。」

エートラ(人間はいないけど。)

天界ドラ「我ら同胞の恨み、とくと味わうがいい。」

エートラ「!?」

メルセル「エートラ、よけろ!」

エートラ「わぁ!?」

ナガル「ガア!」

天界ドラゴンの炎がエートラに向かってとんでいきます。

しかし、ナガルが間に入ったことで、ナガルに火球が直撃し、黒い煙とドーーンという大きな音がおきました。

エートラ「……はっ!ナガル!」

そこには背中から翼の生えたナガルがいました。

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