3-13 棒と教会とあたし
魔道具屋から調合のレシピと調合用の器具を頂いた翌日、早速試してみようということになって朝から素材を取りに行く。朝食を摂った後、3人で森へ向かう。
今日は売るための採集ではないのでシルフが調合に必要な素材をメインに集める。ついでにいくつか自分が使わない素材も採集していたようだが昨日のように大量には集めない。
「頂いたレシピに載っていた素材は・・・うん、これくらいで大丈夫かな」
シルフがそう言って採集を終えたのでまだ時間は全然経っていないがそのまま帰る。
街に戻って宿に戻って昼食を摂る。昼からは早速シルフは調合に挑戦してみるとのことだ。俺とセレンも一緒にやろうかと思ったがシルフが1人でやってみたいと言うので俺とセレンはシルフの邪魔にならないように宿を出た。
「3人で一緒にやった方が楽しいと思ったのですが」
「まぁ貰った調合用の器具も1つしかないし、俺は素材の名前も分からないからシルフの邪魔になりそうだしね」
「フフッ、確かにギンジは植物の名前も覚えていませんものね」
とりあえず今のうちに3人揃ってなくてもいい用事を済ませよう。そう思ってセレンと2人で以前立ち寄った武器屋に向かう。
「そう言えばセレンは結局棒は使うの?」
「それなんですが相手のことを考える前に自分の身を守るのが大事ですので、無理に慣れない武器を使うのは止めようかと思っていまして」
「それがいいと思うよ」
手加減というのは余裕があってこそだ。それに俺が棒を使ってるのも余裕があるからじゃなくて自分の戦い方とリーチの長さの問題だし。もちろんあまり血を見たくないというのもあるが。
「節末祭ではおもしろいものは見つかったかい?」
武器屋に入ると店の主人が声をかけてくれた。俺たちのことを覚えていてくれたみたいだ。
「変わった形の剣やでっかい斧とか普段武器屋さんに並んでないものは色々見かけたんですが、俺たちが欲しいものは無かったですね」
この世界に棒術とかってないのかな?いや、あれも相手が再起不能になることを気にしないなら別に槍で構わないしな。魔物との戦いが主なこの世界ではやはり刃物がメインだろう。
「それで結局棒は必要なのか?」
「そうですね。実は今俺が使ってるのがこれなんですが」
そう言って店の主人に俺がヘルムゲンの教会から頂いてきた棒を渡す。
「長さと重さ同じようなものってありますか?一番重要なのは丈夫さというか剣と打ち合えることと折れないことなんですが」
「これは・・・しっかりしてるな。ちょっと待ってろ」
そう言って店の主人は店の奥に行って2本の棒を持って戻って来る。
「この辺のがいいかな。と言っても槍の柄に使う部分だしちょっと剣を受けたくらいで切れちゃうようじゃ使いものにならねぇからな。どれ選んだって兄ちゃんの要望には応えられると思うよ」
俺は店の主人が持ってきた2本の棒をそれぞれ実際に持って握りや重さを確かめる。
「そっちの銀色のやつが兄ちゃんが今使ってるのに近いかな。もう一つの黒いやつは今のに比べると少し重たいが振り回すのに問題ないなら丈夫だし重い分腕力に頼らなくても強く殴れると思うぜ」
「念のために予備をと思ったんですがこの黒い方は良さそうですね」
「買うなら端の部分は少し加工してもいいぞ。刃を付けないままだと少し不格好だからな」
「ありがとうございます。じゃあこの黒い方の棒をお願いしてもいいですか?」
「わかった。これくらいなら明日までに用意してやるよ」
明日取りに来る約束をして武器屋を出る。セレンにはただ俺の用事に付き合わせてしまっていて申し訳ないと謝ったが節末祭での買い物があったので構わないとのことだ。ブレスレット効果すごい。
武器屋を出た後、ケルソンバートに来てからまだ顔を出せていなかった教会を見に行く。
この街の教会はシスターとブラザーが1人ずついて子供たちも10人ほどいた。子供たちはみな10歳にもなってない小さな子ばかりだったがシスター達から読み書きや計算を教わってしっかり勉強をしているし、体つきがしっかりしている男の子は剣の稽古も行っている。ヘルムゲンの教会でお世話になったこと、他の教会で役に立てることがないかと旅をしていることをシスター達に伝えると
「ありがとうございます。ですがこの街は色んなところから商いをしてる方々がいらっしゃいますので働き口に困ることはあまりありません。読み書きと計算ができればなんとかなるものですよ」
色んな品物が集まる街だと思ったが人材面でも雇ったり雇われたりが行われているんだな。もちろん誰でもというわけではないだろうがここの教会では将来に困らないように教育を行っているようだ。そうなると商人達の間でも「ケルソンバートの教会の子なら」みたいな信頼感も生まれているんだろう。
「それでしたら安心ですね。出過ぎたことを言って申し訳ありません」
「いえ、どの街でも子供たちが問題なく働き口を見つけられるわけではありませんから。この先の旅路で困った子がいればぜひ助けてあげてください」
そうやりとりをして教会をでる。俺がシスターと話している間、セレンは子供たちとコミュニケーションを取っていた。
「ここの子達はみんな賢くて驚きましたわ。読み書きも計算もかなり勉強されてるんだと思います」
「セレンがそういうならかなり賢いんだろうな。それなら俺が手を貸さなくても問題はないんだろう」
「商人に拾われるとなると性格も重要そうですがみなさんまだ大人になるまで5年はありますからね。ギンジが急いで心配する必要もなさそうですわ」
そうして教会を出たがまだ陽が暮れるまでは時間がありそうなので役場の資料室に寄って次の街への道のりや宿場町の情報を調べておこう。
「あ、ハーレムのお兄さんじゃないですか~!!」
役場に入った俺を見ると声をかけて少女が駆け寄って来る。この子は節末祭で氷菓子を売っていた子だ。まだケルソンバートにいたのか。もしかしてこの街に住んでるのか?
「君は氷菓子を売っていた・・・」
「はいそうです!あたしのこと覚えていてくれたんですね!今日は赤い髪のお姉さんだけですか?銀髪のお姉さんはご一緒じゃないんですか?」
「彼女は宿にいるよ。それより何か用かな?」
「宿!!ということはやっぱりお兄さん達はこの街の人じゃないんですね!」
「そうだね。それが何か?」
「あたしもお兄さん達について行っていいですか!?」
目の前の少女は急によく分からないことを言いだした。
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