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2-26 祝勝会

「ギンジさんの勝利を祝して、乾杯!」


 セレンが音頭を取り、乾杯をして食事を頂く。俺は他の人よりも一回りでかい肉が用意されていた。どの世界でも肉が焼ける匂いというのは食欲をそそる。


 武闘祭から領主邸に戻った後、まずは風呂を頂いた。今日は朝から動いていた上に想定外の10連戦で普段よりも汗をかいていたし疲労もしていたようだ。風呂が格別で気持ちいい。

 一番風呂を頂いた後、シルフとセレンがいつものように二人で入っているのを待っていると領主夫婦も帰って来たのでどうせならみんなで食事にしようとなり、全員が風呂で汗を流した後、5人で食事をすることとなった。せっかくの祭りだからと酒を勧められたので一杯だけ頂いた。リアンクル名産の果実酒らしい。カーティラさんの機嫌がいいのか祭りなのかそれなりの値段がするいい物を用意してくれたらしい。酒を飲むのは初めてなので良し悪しは分からないがおいしかったのでいい物なんだろう。


 食事を頂いている間、今日の武闘祭での俺の戦いのことが話題になる。セレンが〇戦目のあの動きが凄かった、等と話していて驚く。良く見えてるし良く覚えてるな・・・そんな細かいこと俺も覚えてないぞ。

 シルフは最初は心配だったそうだが途中からは安心したのか逆にノイルに同情していたそうだ。


「そうだ、ギンジは明日からは一人で街を歩くなよ」


 急に思いだしたようにカーティラさんが言う。


「やっぱり絡まれたりしますか?でもそれなら一人の方が安全そうな気がするんですが」

「そっちは心配してない。それより女に気を付けろ」

「女ですか・・・?」

「ああ、何十人も嫁が欲しいなら止めないが」

「まさか。大丈夫でしょ」

「お前はまだこの街での武闘祭の価値をよく分かってないみたいだな。サリー、言ってやれ」


 カーティラさんは呆れたようにそう言うとサリーさんに話すように促した。


「ギンジさんたちが帰った後やれ『うちの娘はどうだ』とか『セレンと結婚するのか?』とか挙句に『第二第三夫人でも構わない』とまで言う人もいましたね。今日だけで12、3人でしょうか?それくらいは紹介を希望される方や縁談の申し込みがございました」

「本当ですか?」

「お前を騙してどうなる。とにかく獣人の女たちは強い男というだけで群がって来るやつも多いし、あのノイルを倒した只人となれば珍しさもあってさらに寄って来る女は多いだろう」

「そうなんですか」


 やはり目立つと面倒ごとが必ずあるな。いや、モテるのは嬉しいんだけど結婚となるとそう簡単な話でもないだろう。


「いくら勝ったとはいえぽっと出の俺よりノイルなんかの方がモテるんじゃないんですか?体も大きいし俺よりもちゃんと力強い感じじゃないですか」

「あいつもモテないわけじゃないんだがな」

「何か問題が?」

「ガキなんだよ。女の扱いを知らんというかそもそも女に興味が無いみたいな感じでな。お前も昨日見たろ?女より戦うことが好きなんだよ」

「でも武闘祭で強さを示すのって異性へのアピールの意味もあるんじゃないんですか?」

「そうなんだがな」

「この人だって昔は強さ一筋って感じだったんですけどねぇ」

「まぁその話はいいだろう。とにかく、家を出るときはセレンを連れていけ。シルフと二人で歩くなら腕を組むなり周りから見てそういう関係だと分かりやすくしろ」

「う、腕ですか!?」


 話を聞いていたシルフが声を上げる。


「シルフだってギンジに女が寄って来るよりはいいだろ?」

「そうですね・・・わかりました!ギンジさん、よろしくお願いします!」


 シルフ、気合入ってるね。


「まぁ祭りの熱が冷めるまでの間だ。それにセレンやシルフと街を歩いてたら声をかけようと思う奴も減るだろう」

「しばらくは気を付けます。と言っても日課の採集以外では出かける予定も無いですし、採集では俺は護衛ですから一人で行くことは無いですから大丈夫だと思います。あっ、明日って祭りの片づけとか清掃ありますよね?」

「ん?ギンジは別に商売してた訳じゃないから必要ないぞ?武闘祭の方は運営費から片付けと清掃をちゃんと雇ってるから参加者が後片付けすることはない」


 そうか。俺は住人ではなくて観光客みたいなものだもんな。そう言われると確かにそうだ。


「じゃあ明日からも普通に採集に行ってシルフとセレンの訓練ですね」

「ああ、セレンの魔法も進んでるようだしよろしく頼む」

「ギンジさん、明日からもよろしくお願いいたしますわ!!」


 そんな感じで夕食を終えて部屋に戻る。今日は長い一日だった。

 セレンに魔法を教えるのが終わればまた次の街へ向かおう。そうなるとまた色々調べないといけないな。カーティラさんに聞いてみるか。そうだ、ノイルとの再戦もあった。面倒だが約束したしちゃんと相手はしないと。

 色々と考えながら初めて飲んだアルコールのせいかいつもより深い眠りについた。

読んでいただきありがとうございます。


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