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1-25 旅立ち

 あれから何日か経った。

 いつも通りシルフの採集に同行して護衛をする。シルフは時々考え込むような表情をする時があったが、俺からは何も言わなかった。

 水の魔法も慣れてきたようなので温度を変えたり形を変えたりする練習をさせている。初めは魔力共有をしてお湯を出してみたり水の刃を出して木の枝を切ってみたりして今は練習前に魔力共有を1回したあと黙々と練習してもらっている。

 剣の訓練も素振りから今は俺との打ち合いに進展した(結局もう1本剣を購入したので今ではシルフも腰から剣を下げている)

 打ち込む方はそれなりに力強くできており素振りが活きているが逆に打ちこまれる方はまだバタバタしている。まぁこれも時間の問題だろう。もう少し攻守がスムーズにできるようになったら一人でゴブリン辺りの討伐をしてもらおうと思っている。

 もしシルフが俺の旅についてきてくれなかったとしてもゴブリンが一人で倒せるならこの森での採集はなんとかなるだろう。


 俺自身も剣を使う練習はそれなりにこなした。剣道はやったことがあったが刃が付いている得物を使った経験はほぼ0だったので思った通りに振って切る、というのは中々難しかった。剣は扱いやすい武器かと思ってたがそんなことは無かった。

 水魔法の方は上々でゴブリンなどであれば接近するまえに水の刃で切り飛ばしたり水の弾で打ち抜いたりできるようになった。近づかずに処理できるのはスマートで嬉しい限りだ。

 逆に火魔法は中々使えるようにならなかった。やはり魔力の流れを見ただけだと感覚が上手く掴めない。それでも魔力共有を頼める人もいないので試し続けるしかないな。


 街の清掃でシルフの採集が休みの時は資料室に行って調べものをしたり必要そうな物の買い物に行ったりした。野営はなさそうなのでテントとかの大きなものは必要なさそうだが着替えやタオルのような布類、もしかしたら靴も予備が必要か・・・靴は買ってあるのでダメになったら緊急時はもとから履いていた下駄でなんとかするか。鞄はリュックサックのような背負うタイプで丈夫そうなものを選んだ。あとは火の魔法が使えるようにならなかった場合は火おこしの魔道具を買うことも検討しよう。



「それで今日はどんなご用件でしょうか?」


 役場でメガネのお姉さんに「相談がある」と伝えると別室に案内してくれた。待遇がいいのは何か怖いけど周りに人がいないのは話しやすくて助かる。


「離れた場所にいる人に送金ってできますか?」

「国内なら可能ですよ。役場での手続きが必要ですが」

「その場合相手の指定ってどうするんですかね?」

「誰に送るつもりですか?」


 シルフがついて来てくれなかった場合、もしついて来てくれてもジャックとメグの二人の援助ができればと思っている。この街に来てから教会ではお世話になっている。自分にできることがあるならしてあげたいと思っているとお姉さんに伝えた。


「そういうことですか。それならこちらでそれがしやすいように手続きしておきます」


 お姉さん曰く、家族以外の個人に送金することはほぼ無いので送る相手を特定するのに困る事態は起こらないことらしい。俺からヘルムゲンのジャックとメグに送金したら教会の二人にちゃんと届くようにこちらで管理してくれるように図ってもらった。ただ二人が15歳になって教会を出てヘルムゲンからも出ていってしまうと管理が難しいことと、もし奴隷などになったら個人に送金するのは難しいと言われた。もちろんだ。奴隷になったりしないように援助するのだ。


「俺が死んだら預けてるお金ってどうなるんですか?」

「役場側が死亡を確認できれば遺族へお渡しします」

「家族がいなければ・・・」

「パーティなどを組まれている戦士の人は仲間の方にお渡しすることもありますが金額が大きいと揉めることもありますのでそう言う場合は国庫に入れらることもあります」

「遺言とかはできないんですか?」

「可能です。今すぐ残されますか?」

「わかりました。きちんと考えてからお願いすることにします。ありがとうございます」


 ジャックとメグが教会から出るまで5年以上ある。それまで全く戻ってこないつもりはないが何があるかわからないからな。

 とりあえず自分が街を発つ準備は大体整った。後は・・・


「失礼します」


 就寝前に呼んでいたシルフが部屋に来る。いつも通り椅子に掛けてもらう。


「街を出ていく話だけど、どうかな?」

「ギンジさんは私が一緒に行っても問題ないんですか?」

「もちろん。何度も言ってるけどシルフと一緒に行きたいと思ってる」

「ギンジさんの迷惑じゃなければついて行きたいと思ってます。よろしくお願いします」


 そう言ってシルフは頭を下げる。


「ありがとう。もし途中で帰りたくなったら帰ってもいいから」

「そんなことないと思いますが、ギンジさんも私が邪魔になったら言ってください」

「そんなことあるわけない!」

「でしたら私もあるわけないです」


 そんなことを言い合ってキリが無くなって二人で笑った。

 その後はシルフの準備に必要な物を買いに行く相談をして就寝した。



 買い物やシルフの訓練、色んな人への挨拶を済ませて1週間後、俺とシルフはヘルムゲンの街から旅立った。

読んでいただきありがとうございます。


今回の話で1章終わりとなります。

やっとタイトルの通り旅に出ることができました。

次の投稿まで何日か空くかも知れませんができるだけ早く2章を書けたらと思います。


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