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転生なう ~守護霊なう in ボーナスステージ~  作者: 宇龍地
第三章 竜の背骨と帝国と魔王
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魔王

 「すまん・・・もう一度最初から説明してくれないか?」


 騒ぎのあった奴隷商人のアジトに向かわせた衛兵は地面に倒れ目を覚まさない

 その報告を受け、偵察に出していた兵士を全て連れアジトのある丘の中腹に行くと、そこには小石が山のように積まれ、奥に見える奴隷小屋には壁に大きな穴が開いていた


 小屋の中で意識のある人間に聞き取りをしていた者の話では、全く要領を得ず、言葉の端々に「魔王」と出るばかりだという


 アジトからはめぼしい金目の物は無くなり、衣服も消え、その場には奴隷服が散乱していたと言う

 また、奴隷商人は全身を痣だらけにしているものの目立った怪我は無く、何故死んだのかも判らなかった


 それだけに、廃人のようにぶつぶつと何事か呟いては恐怖に戦く護衛たちの口から出る「魔王」と言う言葉に信憑性が出てくる


 そしてあの表の小石の山だ・・・

 自分の記憶と直結して考えるなら、あれはあの時見えた黒い影の正体だ

 あれほどの量の小石が突如上空に現れ、一箇所に降り注ぐ・・・

 それを目の当たりにしたものからすれば、その様は正しく地獄

 魔王の所業に見えたことだろう


 もしそれを一人の人物が為したというのであれば・・・

 その人物はいまだ帝都の近くに居る可能性が高い

 城に戻って巡回をしたいと思うものの、自分はここで指揮を取らなくてはいけない

 断腸の思いで城に事の顛末を報告させ、帝都の指揮は城詰めの将軍たちの判断を仰ぐように言う


 一体何があったと言うのか・・・知る者は既にこの場には居ないのかもしれない











 帝都に入り、まず馬車の取引をする為に商業区を探す

 流石に土地勘も無いので身なりの良い、しかし貴族とも見えない人間が主にどちらに行くのかを見ているのだが、中々判断が難しい

 そこで、近くに居た身なりの良い人間に馬車を用意したいのだがどこに行けば良いのか聞き込みをしてみた


 「すいません、人を郊外まで送りたいのですが大きな馬車などはどこに行けば買えますかね?」

 「馬車かい?人足を乗せる為の馬車なら門の近くに行けばある程度大きなのを扱ってるよ」


 どう見ても子供の俺がそんなことを聞いて来る事に何か腑に落ちないようではあったが、一応馬車を売っている場所を教えてくれた

 とりあえず竜骨山脈の方角の門を目指すことにした


 「すいません、こちらで馬車を買えるかも知れないと聞いたのですが」

 「ああ、馬一頭小銀貨5枚、客車は一台銀貨1枚、貨車は一台小銀貨5枚だ」


 客車に種類があるかもと思ったが、どうやらどちらも同じ程度の大きさで客車には幌とベンチが、貨車にはそれらが無いだけのようだ

 王国と貨幣価値が同じだと考えれば、馬一頭150万円、車が客車で300万貨車で150万と言う所か


 どうやら大きさ的に1台御者抜きで10人程度の乗員を想定しているようだ・・・獣人は20人ちょっと居るのでとりあえず三台、馬は2頭ずつで6頭・・・小銀貨60枚分か


 手元の貨幣を数えてみる

 ・・・小銀貨40枚、銅板貨200枚

 銀貨1枚分足りない


 「すいません、手持ちの貨幣だけだと足りないようです・・・こちらも併せて客車3台、馬6頭何とかなりませんか?」


 そう言って奴隷商人から剥ぎ取った指輪を見せる

 これでどうにかなるとは思えないが、最悪1台は貨車と馬1頭でどうにかする


 「ダメだな、これで銀貨1枚は無理だ」

 「仕方ないですね、ではこれと併せて馬5頭、客車2台、貨車1台でお釣りはいくらになりますか?流石に貨幣が無いと困りますので」


 妥協案を告げると、小銀貨1枚の釣りが出た

 流石にこの指輪の量で小銀貨1枚は足元を見すぎだと思うが背に腹は変えられない


 二頭立ての客車に御者と合わせて11人ずつ乗せ、残った3人と俺が貨車に乗る

 俺が貨車の御者になる形だ


 しかし門を抜けようと思うと検問が始まった・・・恐らく漸く帝都全域に情報が渡ったのだろう

 止められて困るのはこっちだ・・ひとまず俺たちの番になったところで検問の衛兵全員を昏倒させ一気に抜ける


 無事門を抜けそろそろ帝都の壁が小さくなろうかというところで・・・俺たちを軍馬が追ってきた











 都の方から連絡が来た

 西門近くで馬車を大量買付けした怪しい一団が居たという情報と、西門の検問が破られたと言う情報だった


 北門から出た部隊と合流して、西門へ向かうよう要請があったため、部隊を纏める

 しかし相手はあの小石の山を作った者である可能性がある・・慎重に動かねば


 調査に使っていた20騎、北門から来た100騎を併せて120騎で西門へ向かう・・・

 街道を進み西門から続く街道と合流する地点に向かえば、うまい事挟み撃ちできるかもしれない


 北門から来た部隊は半数が二人乗りで、騎兵が弓兵を乗せていた

 相手の攻撃手段がわからない以上遠距離から攻撃する手段はあって損では無いだろう

 また、弓兵は多めに弓を持ってきていたので我々も弓を持つ

 これで牽制くらいは出来るだろう・・・まさか魔王など早々現れる訳も無い

 人間相手ならこれで十分なはずだ











 もうじき街道の交差点に差し掛かるというところで、帝都の北を通る街道側に騎兵の大群が見えた

 馬が3列で走っているとして軽く100騎は越えているだろう騎兵を見て、それが追っ手であると想像するのは難しいことではない

 西門からの追っ手が200騎超・・・帝都の守備とは言え、即座に動かせる騎兵が300を越えるとはさすが帝国だと舌を巻く


 しかし並の人間ならいざ知らず、俺が自重しなければ恐らくはどうにかなる

 いや、いつもならともかくこの状況で自重する必要などどこにも無い・・むしろ自重したら負けだ


 まずは挨拶代わりにと街道を破壊するとしよう


 俺は街道を中心に横1km、幅10m、深さ3mの溝をイメージする

 余った土は街道の合流点の手前に土手を作らせるイメージ


 発動!!











 もう少しで合流だと言う所で地響きが唸る

 西門からの街道に大きな溝が急激に生まれるやいなや、自分の行く先に巨大な土壁が現れる!!


 一体なんだと言うのだ・・・


 奇跡を眼前に示され、ビル・ランドはもはや、立ち尽くすより他無かった

仮に魔法の存在を認識していてもこれだけやったら魔王扱いかな?

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