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転生なう ~守護霊なう in ボーナスステージ~  作者: 宇龍地
第三章 竜の背骨と帝国と魔王
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密猟者

 こんにちは、アウルロックマンです

 わたくしは現在帝国の首都・・帝都に来ております


 なんでこんな所にいるかというと・・・












 村の獣人たちが喜んで小躍りする中、村の置くから悲鳴が聞こえた

 溜池の近くに居た獣人たちの目がそちらに向いた直後・・・俺は意識を失っていた


 次に目が覚めた時は身包みを剥がされ、みすぼらしい奴隷服に着替えさせられた状態で寝転がっていた

 俺は何日眠っていたのか判らないが、少なくとも竜の背骨を越えるまで寝かされていたらしい


 言語把握の額冠は値の張るアクセサリーか何かと勘違いされたのか取られていた・・・が、関係ない

 俺は自分が作った魔法道具の能力はそのまま魔術で再現する事が出来る

 普段はめんどくさいからやらないけど


 言語把握の魔術を使用し周りで一緒に閉じ込められている獣人たちに事情を聞くと、どうやら俺は帝国からの密入国者による奴隷狩りに巻き込まれたらしい

 奴隷狩りくらい自国でやれと思うのだが、どうやら王国の獣人は保護されている分数が多く、生活も文化的で奴隷として優秀で高く売れるのだと言う


 これは裏を返すと、帝国は王国から獣人を連れてくることを黙認していると言う事になる


 それはともかく、俺は獣人たちと一緒に帝都に運ばれるまで、昏睡香に因って意識を奪われていたのだと言う

 どうやら俺を水神教の高位神官だと思った連中は、俺に奇跡()を使われ無いようにしたかったらしい

 しかし、だとすると詰めが甘い・・・ここで意識を取り戻させてしまったのは連中の運の尽きと言う事になる


 さてひと暴れしてやろうかと立ち上がるとなにやら違和感が


 大きな術を発動させようとするとマナが集まらないことに気付いた

 どうやらこの首と腕の環が原因のようだ


 環と大きな術が使えない事に気付いたその時、扉の向こうに気配を感じる

 そちらに注意を向けると、狡猾なイメージをそのまま絵に書いたような顔をした男がそこに居た


 「どうやら目を覚ましたようですねぇ」


 妙に甲高い声が癇に障る

 こいつは密猟者だろうか?

 それとも奴隷商人なんだろうか?


 「奇跡が起こせない事に驚きましたか?貴方もその若さで筆頭神官並の奇跡を起こせるようだと聞きましたが、その力が封じ込まれるなどとは思いもしませんでしたでしょう?」


 奴隷商人の言葉は正しくは無い

 俺は別に奇跡(魔術)が起こせないわけではなく、大きな力が使えないだけだ

 恐らくコップ一杯程度の水を作成するくらいなら出来るのだろう・・・それに意味が無いだけで


 「ふふふ、貴方は非常に強い力をお持ちだ。主人に逆らえないようにする仕掛けをするまでは力を封じさせていただきますよ」


 そう言うと、奴隷商人は扉から離れた












 なんなわけで、現在俺は帝都に来ている


 どうやら俺は寝ている間に力を封じ込める道具を持った奴隷商人に引き渡され、そのまま力を封じ込められたようだ

 とはいえ黙って待ってる俺では無い

 帝都に着くまでの間試行錯誤をし、とりあえずこの道具をぶち壊すだけの術を練り上げる


 いつでも脱出できる準備は整った物の、しかしタイミングが問題だ

 このままだと奴隷服以外何も無い・・・とりあえず服や現金を奪う算段をつけてからでなくては逃げるのも一苦労だ


 そんなこんなで俺は、帝都の外郭にある奴隷商人のアジトまでおとなしくしていた












 奴隷商人が油断しきったのを見計らって、俺は行動に出ることにした


 まずは水魔法と土魔法を併せてウォーターカッターを再現する

 俺の魔術を制限している拘束具は首と手首に付いた金属環に内蔵されているようなので、まずは金属環そのものを外すわけだ


 発生させる事の出来る魔術の規模は手の平サイズ、威力は関係ないことは確認済み

 水に砂を混ぜ、高速で振動させる・・それだけで良い

 金属環は少しずつ削れていく・・・火花は出ない、削りカスは全て水の中に入る


 静かに・・しかし確かに吸い込まれていく水の刃は、まず左手首の金属環を両断した

 この金属は若干柔らかいようで、切れ目さえ入れてしまえば後は力を入れるだけである程度曲がる

 左手首の金属環が外れたのを確認すると、左手だけで魔術を練ってみる・・・バスケットボール程の水の球を作ることに成功した


 予想通り、この魔道具は接触している部分のマナ変換を阻害する作用があるようで、ある程度大きくマナを変換させると魔道具の効果範囲に接触してしまう為、手の平サイズにしか出来なかったようだ

 この世界の神官程度の操作能力ならこれで問題ない、魔術操作に特化した異邦人を想定されていない道具だ


 さて、問題はこれから・・・左手は開放されたが、制限を受けていることに変わりは無い

 また、左手は道具を使うのと同じ様に細かい操作に向かない・・・万が一操作を誤れば大怪我をする可能性がある

 かと言ってこのまま右手で首の金属環を外すにはウォーターカッターの威力が低すぎる・・・そこで、今度は左手で右手の金属環を外す


 今度は力技だ

 まず金属環の隙間・・・継ぎ目に水を染み込ませる

 十分に染み込んだ所を見計らって水が凍り、膨張するイメージで魔力を寝る・・・


 ピキ・・


 広がった隙間が塞がらないように数箇所残して溶かし、更に水分を増やしてまた膨張させる


 ピキキ・・・


 同じ事を繰り返す・・そして


 ピキキ・・キ・・・ビキッ!!


 完全に繋ぎ目が破壊され、ぶらぶらとぶら下がった状態になる・・もう一息だ

 徐々に延びる氷の棒をイメージして数分・・・完全に金属環が千切れた


 残るは首に着けられた金属環・・・まずは安全策を取る為に既に外した金属環を魔法で潰して金属板を作る

 それを目で状況を確認しやすい胸元に当て、金属環の下を通す

 そして、その上を威力を上げつつ精度を上げたウォーターカッターで一気に削る


 見事はずれた金属環を探り、念の為に件の封印の魔道具を取り外す・・・これは後で研究させてもらう

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