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イカれた異世界で生きていくための絶体条件  作者: 夢見羊


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在り来りの質問

 皆は楽にしたまま、皇さんと定眼くんがペアナクェルさんとテニアィヌアさんに質問するのを待っている。


 二人は真剣の表情をして厳かで近寄り難さを醸し出している。自分達の知るいつもの二人とは違う雰囲気、いつもを知っているからこそトラブルやイベントに対して一番始めに対応するその姿を頼もしいと強く思いそして安心する。

 クラスの纏め役といえば皇さんであり、定眼くんは問題事解決のスペシャリストともいえる。

 まあ、クラス委員長は皇さんではないけれど。


 二人の質疑を見守る。それしか今はできない、それを任して二人の必要とするときに頑張るのは転移前では当たり前だった。


「まず一目、一番大事な質問から私達は元の世界に帰れるまたは帰れる方法はありますか?」


 射貫くような真剣な眼差しを質問を聞いた二人、いや一人である魔術師であるテニアィヌアさんに向ける。

 もっとも大事といえること元の世界に帰れるか帰れないか、それを知るだけで今後の未来が変わる。クラスメートの皆が固唾を呑むのを聞こえたきがするほど、テニアィヌアさんの返答に意識が向いたのを感じた。


 真剣の眼差しを真正面から受け止めるテニアィヌアは、少し慎重に答え始めた。


「皆様が元の世界に帰れるかついては、申し訳なく思っていますが分からないです…………それと帰還方法はあるかについても分かりません、大変申し訳なくここで殿下に変わりに謝罪をさせてもらいます。誠に勝手に誘拐などをして危険なことを申し上げていることに大変申し訳なくあります」


 深々と頭を下げて謝罪をするテニアィヌアさんを見る。

 帰れる方法は分からないと伝えた彼女に色んな感情が涌き出て渦巻くのを自分の中に感じる。


 皆が期待して失望したのは空気感からよく伝わり、近くにいる朝馴染みの遍と風音からも憂いと悲しさを感じる。それを感じ取れて、ただ分からないとだけを返すこの人に無責任さを不条理さを抱く。

 だけど深々と頭をさげ、罵声罵倒を受けることになってもさげ続けるとばかりの姿勢に感情のままに罵声罵倒を罵詈雑言を浴びせるのは難しかった。


 この国の王さまもテニアィヌアさんも最後の手段として生き残るためにしたことだ。この状況を招いた自分勝手な奴らにこそ一番にこの感情を向けるべきなのだろう。

 皆が押し黙り重苦しさが部屋に乗っている、ただ誰もテニアィヌアさんに心の中の思いをぶつけようとはしなかった。


 皇さんは真剣な表情でテニアィヌアさんを見て、声をかける。


「テニアィヌアさん頭を上げてください、貴方達がしたことは許されざることです、けれど貴方地の行いには慮るところもあります。ですから本当に元の世界に帰る可能性はゼロなんでしょうか、全くもって方法はないのですか?」


 頭を上げて、またその真剣な視線に真摯に答えるように丁寧に慎重に答えてくれた。


「いえ、可能性がないとは答えないですけど。ただ低すぎて実現不可能というのが現状です」


「可能性はあるけど、それはほぼ机上の空論ということですか?」


「そうですね、なぜそうなのかと簡単に説明しますと、この世界には転移魔術と呼ばれる魔術があります。これは特定の場所と場所を繋ぐまたは移動する魔術です、それの大本となった魔術がありましてそれが皆様を呼んだ魔術の召還魔術。それは別の所にあるものを此処に呼ぶ魔術であり、ただ一つに決まった場所に呼び出したいモノの情報をもとにこの世界から見つけ召還する魔術です。で今回の皆様を召還した魔術は、場所を此処に呼びたいのは勇者で探す範囲はこの世界含めた別世界で見つけて呼び出す。それが簡単にいえば皆様を召還した魔術のことです」


「つまり、探し物の探す範囲が普通の召還魔術とは違って広大であり、珍しい者であるからだから異世界から呼び出すことになったと。その範囲の広大さが元の世界に帰還するための方法のネックの部分ということでしょうか」


 テニアィヌアさんの説明を噛み砕いて説明してくれた皇さんにより簡単に理解できた。

 確かに探し物を探す範囲を自分の部屋から家全体、家から近所、近所から町全体と広げていけばいくほどに探す時間は増えて難易度があがっていく。それはこの世界ではない異世界となれば、まさに想像も付かない。どれどけ異世界があるかも分からない、多いのか少ないかも分からない。


 簡単に理解できてしまったからこそ、どれだけ絶望的かも理解してしまうことに苦しみをおぼえる。

 ただ説明はテニアィヌアさんによりまだ続く。


「その通り、素晴らしい理解力ですね。先の説明した通りに召還魔術で決まっているのは場所と召還したいモノだけです、何処から持ってくるかは定まっていないですし何処から持ってきているかも分かっていないです。召還魔術とは一方通行で、持ってきた場所は関係ないです。それだと転移魔術が使えない、転移魔術は此処の場所と行きたい場所がはっきりとしていないと使えないです。そしてこの世界であれば、行きたい場所の情報は定めることができますがこの世界ではない異世界、それもどれだけあり広いかも分からない場所です。皆様の世界を探しだすのは砂漠の中で1本の針を探すようなものです。これが可能性はありますが現実的ではない説明です」


「……そう……ですか……はい、ほぼ不可能だとわかりました……それじゃあ、次のしつーー」


 少し考え込んでいるようで歯切れが悪く答えている皇さんは、納得したのか考えるのを後にしたのか、次の質問に移ろうとしたときに遮るように続けてテニアィヌアさんはいう。


「ただ普通に探せば、と言えますが」


 その言葉に皆が疑問を浮かべてそれを応えるように皇さんは、その言葉の真意を聞く苦虫を噛み潰したような苦しさ一瞬だけ見せながら。


「それはどういうことですか? 他にも方法があるですか?」


 その当然とばかりに質問に、真剣な眼差しを逆にテニアィヌアさんが自分達に向けて話し出す。


「はい、これも可能性は低いですが、先の皆様を召還した魔術も無限ともいえる異世界から皆様を召還したわけではないです。色々と難しくはありますが、勇者召還で大事なのは運命と縁と強い力です。これが最も重要で探しだす範囲を狭めるのではなく、強い反応を送って反応が帰ってきた場所と縁を結び運命を干渉させること。この運命や縁の繋がりを辿れたら、それを伝うことができたら転移魔術で元の世界に帰れる可能性はあります。どちらも難しいですが、無作為に探すよりかは現実的ではあると思います」


 説明された方法もよく分からないことが多いが、それでも先ほどまでの絶望感はない。

 希望が見える、薄くぼんやりとした光であるが黒天だと思った空に確かに光っているものを見つけた。

 帰ることできるかも知れないというのは今の自分達にとってはなにより支え立っていられる希望だ。


 クラスメートの皆も少しだけ希望が見えたのか、部屋に漂っていた物悲しさとも悲観ともいるのが和らいだ気がした。それを感じ取ったのかテニアィヌアさんは自分達に向けていう。


「こちらも呼び出した責任として、皆様が帰れるように方法を模索しております。それには皆様の協力が必要です、どうか身勝手なお願いであるのとを重々承知しておりますがお力を貸していだたけるとお願いします」


 そのお願いには皆も好意的であり、確かに勝手に呼び出して置いて帰る方法もない、でその方法を捜しているから協力してほしいとずいぶん身勝手なお願いであるが、帰るためならそれも受け入れるというもの。

 その返事をどうするのかと皆が皇さんに視線が集まる。


 自分も皇さんをみると、ひどく苦しい表情をしていた。見たこともないほどに、顔に感情が溢れ出ていると分かってしまう。なにがそうさせたのか、自分には分からなかった。


 なぜそんな表情をしているのか、確かに色々と懸念はあるがそこまでの表情をするほどか。

 皆の思いを代表する立場として責任が感情が重いし彼女はそれを抱え込んで一人で解決してしまうような性格だから、そうなってしまうのも必然だったのかも知れない。


 皆の視線が集まっていることに気づいたのか、ハッとした表情を浮かべてテニアィヌアさんの願いに応える。


「はい、それはもちろん。元の世界に帰れるなら協力させもらいます」


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