★とある青年の回想
カン!キンっキンっ!カンカン!!!
僕は…今、夢を見ているのだろうか。
目の前で行われてる試合は、現実味がまるで無い。
薄ら笑いを見せながらこめかみに汗を流し戦うは、僕の兄のキースレッド。
幼い頃から彼の背中を追っていた。
彼はいつも僕の先を華麗に歩いて、家に縛られる事無く己の道を歩く事を示してくれた。
彼のようになりたかった。
彼のように強くなりたかった。
魔力ない身で騎士になり、副団長まで登りつめた彼は僕の自慢であり目指すべき指針であった。
その彼が…押されている。
僕にはわかる。
彼は楽しんでいるとの同じように
焦ってもいるのだと。
だって、見ていてわかるから。
打ち込んでいても、優位性を感じない。
いつもなら、圧倒的な優位性を元に、彼は相手を焦らせ、自滅させていった。
今まで狩る側であった彼は
今狩られるかもしれない恐怖を味わっている。
それがわかる。
彼の背を追っていた僕だから。
その恐怖を、あたえているのが
何故君なのか?
それが不思議でならない。
雪山で出会った不思議な少女。
白い髪を煌めかせ、崖の上に佇んでいた少女。
ボロボロの服に血塗れた靴、辺りは凍えるような寒さなのに、平然としていた。
そんな彼女が神々しくて、僕は思わず雪の精霊なのかと問うたくらい…それくらい美しかった。
そんな彼女が今、僕の兄と戦っている。
剣を握るような腕ではない。
剣を振るうような格好もしていない。
それなのに何故、彼女はあんなにも楽しそうに舞うのだろう。
そう、まるで演舞のようで。
苦しむ兄を前に、彼女はひたすら楽しそうだった。
最初は戸惑ってもいたのだが
今は間違いなくこの試合を楽しんでいる。
撃ち込むスピードは徐々に上がっている。
兄がついていけなくなるのではないか?――と思うほどに。
それなのにもっと見ていたい。
この綺麗な演舞を。
ヒラリと舞うスカート、煌めく髪、華奢な、身体。
どれもが彼女を引き立たせ、そして魅入らせる。
その剣戟に。
無邪気に笑いながら撃ち込む彼女に見とれながら、とうに3分なんて経過しているなと、
そんな事だけを理性的に考えた。
ウィルネイト様から見た試合でした。。また夜にアップ頑張ります。




