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王の命令

シュワーゼの部屋に入り、紅茶を飲みながら今の話を反芻する。




戦力増強のため新たに造られる訓練施設。

企てを疑われて処分された側近。



平和に安堵し、復旧に勤しむべき時期に、王は何を恐れているのか。

経験したことのない流れだ。







「いらっしゃい。お待たせゲルハルト。ああ、よく働いた。頑張ったよ。今日は報告することがたくさんあるよ!」




扉を開けるなり意気揚々と口を開くシュワーゼ。

フォルグネにもブルデにも心配されているというのに、我が道を突き進んでいる。




「新しく兵士用の魔法訓練施設を作るのだろう」


「もう誰かから聞いた?そうなんだよ。あの謎だった仕掛けが知れるんだ。実際に使うんだよ。すごいよね。興奮しちゃった。無理くり仕事に混ぜてもらったよ」









兵士用の魔法訓練施設は突如として王から命令された。


数百年と新設することのなかった施設である。

命令された者たちは大慌てだ。







「数日前に側近に勅令したらしいよ。兵士にも魔法訓練をさせる。専用施設を新しく作れ。期限は1年以内だ、って」








側近の中には、この王の命令に反対意見を述べる者もいた。



すでに魔法使い用の訓練施設がある。

そこを合同で使ってもいいし、魔王のいない今なら結界外へ遠征して魔法訓練もできる。

防備のために金を使うよりも、未だ苦しい民の生活を支える方を優先すべきだ。



至極真っ当な意見に思えるが、反論した側近は処罰されてしまった。






「王とはいえ勝手が過ぎるよね。まあお陰様で欲しい情報を知れるわけだけど」






1人処罰されたことで、意見を述べても無駄だと他の者は悟る。


数百年と使われていなかった技術を復活させての新しい施設建造。

しかも期限は1年と短い。



即座に各所に命令を分散させ、施設建造に取り掛かることにした。


適した敷地はどこか。

必要な人員は。

手順に不明点はないか。

どれくらいの広さか。

資材は何を使うのか。



王城で管理されていた資料をあさり、立地を話し合い始めたのが今日だ。








「都合のいいことにあの書庫なんだよね。仕掛けについての資料がしまわれてたの。最高だよ。堂々と書庫に入れるし。期限が短いからみんな慌ててるし。関係ない書物に手をだしたところで気づかれないね」




にやりと、悪い笑みを浮かべるシュワーゼ。

聞く耳など持たない様子に溜息が出る。




「怪しまれないように気をつけろよ。何がわかったんだ」




無駄にしかならないだろう忠告。

もう、大丈夫なのだろうと信じるしかない。







「朗報だよゲルハルト。お師匠さんについての情報だ。結界張の調査資料を調べてきたよ」

「本当か」




ここで師匠についての話が出るとは思っていなかった。




「うん。よく記されてた。お師匠さんの半生をおおよそ知れるよ」

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