エルフの村へ(前編)
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その夜はいつもと違っていた。
ポイズンスパイダーの大量発生事件対策でギルドに泊り込んでいた私。
夜まで残無理処理に追われていた。
増殖するポイズンスパイダーに対し、冒険者によるポイズンスパイダーの討伐が数度に渡り行われたが、成果も無く、辛うじて王都への進行を防いでいる状況だった。
そんな折、同郷の少女の突然の来訪があった。
彼女は故郷の危機を私に告げ、故郷を襲撃しているポイズンスパイダーの討伐依頼を申し出てきた。
だが、彼女の望む依頼にギルドとしては応えてやることが出来なかった・・・
絶望する彼女をギルドの仮眠室に泊めることぐらいしか、私に出来ることは無かった・・・
深夜、異変が起こった。
立て続けに3回、森に光り輝く巨大な花が出現、その強大な花は淡い光を残しすぐに消えていった。
森で何が起こっているの!?
私は直ちに冒険者とギルド職員を緊急招集し、事態把握のための偵察パーティを送り出すことにした。
一気に慌しくなるギルド。
そんな中、ギルドを飛び出す者がいた。
「待ちなさいルティア!現状を把握してからにしなさい!」
「ここにいても何も出来ない!なら、私は森へ向かう!」
私の制止を無視し、彼女は森へと消えて行った・・・
ルティア、どうか無事でいて・・・
ネロです。
ただいまピンチです・・・
「お願いします!私たちの村を助けてください!もう、あなたたちに頼むしかないんです!!」
必死の形相で私の肩をガクガク揺するエルフがいました・・・
ちょっ・・・首が絞ま・・・苦し・・い・・・
時刻は少し巻き戻る。
ギルドを飛び出した私は、すぐに森へと向かった。
あの光る巨大な花の正体を確認するためである。
夜間に森に入るなど、普通の人間にとって自殺行為でしかない、しかし、誰かが森に入り、何かをしている!
冒険者ギルドの人間たちは誰も私たちの村を救ってはくれない、希望があるとしたら、森の中で何かをしている者たちだけ・・・
夜の森をひた走る私。
視界には夥しい数のポイズンスパイダーの屍。
その死因は様々、鋭利な何かで引き裂かれたもの、何かでペチャンコにされたもの、何かで焼き尽くされたもの・・・
「森で何が起こっているんだ・・・」
私は、ポイズンスパイダーの屍の先へ先へと進んで行った。
「この方角は・・・」
確か昔、私たちが遊び場所に使っていた何かを奉った祠があったはず・・・
そちらの方向から強い魔力を感じる・・・
私は確信を持ってその場所を目指した。
祠に到着した私が目にしたのは、瀕死のポイズンクイーンスパイダー、そして、火の鳥へと姿を変える謎の人物。
周辺には、巨大なハンマーを持ち、チョコマカと動く小さな者たち。
状況についていけない私が見つめる中、ポイズンクイーンスパイダーは呆気なく討伐された・・・
私がその事実を受け止め切れず、放心していると、撤収準備を開始する謎の集団。
慌てて謎の集団の1人に詰め寄り、現在に至る・・・
「苦し・・ぃ・・・離して・・・」
「あっ・・・」
首が絞まっていたみたい、慌てて手を離す私がいました・・・
「ハアハアッ、死ぬかと思ったわ・・・、で、あなたは誰?」
いきなり首を絞められるとは思わなかったわ・・・
ジト目で見つめると・・・
「私の名はルティア、エルフです。どうか私たちの村を救ってください!」
すっかり帰る気満々だったのに・・・
仕方ないわね、話だけでも聞いてみますか。
「それで、私たちに何から村を助けろと?」
「村を襲撃しているポイズンスパイダーの討伐をお願いできないでしょうか!」
折角全滅させたと思ったのにまだいるの・・・
「レーダーバット!」
確認は大事よね?
周囲にそれらしい反応が無いわね・・・
うん、索敵出来ないエリアがあるわ・・・
「ひょっとして、エルフの村は結界が張られている?」
「はい、私たちの村は精霊樹様の結界で守られています。」
結界が張られているのに襲撃されているってまさか・・・
私の脳裏に、猫の聖域での事件が浮かびます・・・
そっと念話でクローラに指示を出す私。
「クローラ、瘴気の計測を開始してちょうだい!嫌な予感がするわ・・・」
「かしこまりました!」
「結界の話は今はいいわ。それで、あなたは私たちに何を支払えるのかしら?私たちは勇者様じゃないのよ、報酬が無ければ動かないわ!」
「いくら必要なのでしょうか!?私たちで支払えるものならいかようにも・・・」
ちょっと脅かし過ぎたかしら?
「そうね、じゃあ報酬は、珍しいエルフ料理をお腹いっぱいでどう?」
「さんせい~」
「はらへり~」
「たべたい~」
「俺もそれでいいぞ!腹が減ったし!」
みんな賛成みたいね♪
「それでよろしいのですか!?」
ちょっと驚いた顔のルティア。
「「「それがいいの!!」」」
落とし所はこんなところでしょう。
「それじゃ、あなたは熊さんの背中に乗って道案内してちょうだい!各員、装備を点検!忘れ物は無い?」
「「「いつでも行けます!」」」
「おう、いけるぜ!」
「しゅっぱつ~」
「ごはん~」
「はやく~」
「「「にゃーっ!!」」」
それでは、エルフの村に向かって出発です!
「あの、私は歩いた方がいいんじゃ?」
熊さんの背中に抵抗があるのかしら?
流石にホバー相手に徒歩じゃ追いつけませんよ?
「エルフのお嬢ちゃん、黙って背中に乗りな!あんたの足じゃあのちびっ子たちにも勝てないぜ!」
しぶしぶ熊さんの背中に乗るルティア。
「このまま直進してください!」
若干、引きつった顔のルティアが先導します。
まあね、ちびっ子たちも含め、全員がホバーブーツで木々の間を移動する光景はかなり異常だと思うわ・・・
しばらく進むと、先程の索敵出来なかったエリアに到着。
「皆さん、全員手を繋いでください!結界を抜けます!」
彼女の指示で全員で手を繋ぐ私たち。
熊さんやチャンリンシャンと手を繋ぐ集団ってとってもシュールな絵面だわね・・・
ルティアが結界の前に立ち、エルフ語で語りかけます。
「我、森の子。我、森の血に連なる者。我が真名と精霊樹の名の下にその道を開き給え!」
その言葉に反応し、結界に通路が開く。
「さあ、お早く!」
促されるまま、全員で結界の中へ。
結界を通り抜けたその先、そこは戦場でした・・・
エルフの村に押し寄せるポイズンスパイダーの群れ、それを必死に追い払おうと戦うエルフたち・・・
まだこんなに残っていたの!?
「総員戦闘用意!!!直ちにポイズンスパイダーを殲滅せよ!!」
「「「了解!!!」」」
「「「にゃっ!!」」」
「おうっ!!」
「「「殲滅~」」」
ポイズンスパイダーの群れの中に一際大きな個体が・・・
まさか・・・
鑑定してみると・・・
種族:ポイズンキングスパイダー
ランク:A
レベル:43
特性:猛毒・麻痺毒・毒霧・索敵・気配察知・粘糸・噛みつき・統率・士気高揚
説明:体長20メートル~の巨大なクモ。黄色と黒の縞模様を持つ災害指定クラスの魔物。ポイズンキングスパイダーに統率されたポイズンスパイダーは、死を恐れず突き進むデスマーチを敢行する。速やかな殲滅が必要!
あのポイズンスパイダーの群れを突破し、素早くポイズンキングスパイダーを討伐しなきゃならないのね・・・
これは、こちらも出し惜しみは無しよ!
「黒猫騎士団、突貫せよ!目標、ポイズンキングスパイダー!!!各小隊は単横陣に展開!!ガトリングボウガン、放て!!!」
「「「にゃっ!!」」」
ポイズンスパイダーの群れの側面から強襲する形になった私たち。
ドンドンいきますよ!
私たちの多少の横槍では止まらないポイズンスパイダー、なら火力追加です!
「シャドーオウル!フレアファルコン!」
連続詠唱で対抗!
「薔薇の花弁展開、リフレクターモード、プリズムアークは氷を指定、各クリスタル連動、リフレクトフリーズランサー発射!!」
凍てつく氷の槍がポイズンスパイダーの群れに降り注ぎ、彼等の足場を凍結させていく、スリップ効果で進軍速度も鈍ったかしら?
私たちを脅威と判断したらしく、分隊を差し向けてくるポイズンキングスパイダー。
「各員、近接モードに移行、迎撃せよ!」
「おうよ!暴れるぜー!!」
「「「にゃっ!」」」
「退避なの~」
「避難~」
「後は任せたの~」
ちゃっかり上空に離脱するチャンリンシャン、上から攻撃してきなさい!
「邪魔よ!雑魚共!邪心を捌く断罪の炎よ!Flam of the condemnation!」
範囲殲滅呪文で一気になぎ払い、本隊に突撃です!
「え、援軍か!?」
「俺たち助かるのか!?」
「あの集団に合わせろ!反撃だ!」
防戦一方だったエルフたちに活気が戻ります。
流れがこちらに向いてきたかしら?
「グラビティハンマー、セーフティロック解除!畳み掛けなさい!!」
「「「にゃっ!!!」」」
各小隊3体掛りで足場になり、1体を上空へ跳ね上げます!
勢いをつけ、グラビティハンマーをポイズンスパイダーの群れに投擲!!
ズズズズンッ!!!
重低音が響き渡ります。
巻き込まれ、ミンチになるポイズンスパイダーたち。
まさに蹂躙ね、地面がクレーターだらけです・・・
痺れを切らしたポイズンキングスパイダーが私たちの方に移動してきます。
自分から殺されに来るなんてお馬鹿さんね・・・
「総員、ターゲット接近!歓迎の用意を!念入りにね!」
「「「了解!!」」」
「おうっ!」
土煙を上げながら私たちの方に向かって来るポイズンキングスパイダー。
あの勢いで突っ込まれたらたまらないわね・・・
「スパイダーウェブ!!」
クモをクモの巣で捕まえるなんて洒落がきいてるでしょ?
ジタバタもがくポイズンキングスパイダー。
足は止めたことだし、一気に倒しましょう!
「第1・第2小隊は、ポイズンキングスパイダーを包囲、拘束!第3・第4小隊はこちらにやって来るポイズンスパイダーの迎撃を!」
王であるポイズンキングスパイダーを助けようと私たちに殺到するポイズンスパイダーたち。
いいわ、まとめて相手しましょう!
「1匹たりとも逃すな!迎撃開始!ガトリングボウガン、放て!!」
矢の雨を降らせ迎撃開始、しかし、仲間の屍を踏み越えてさらに進行してくるポイズンスパイダーたち。
物量で押し切るつもりかしら?
こちらは火力で押し切ります!!
「全て燃やし尽くす!Flame of the condemnation!!!」
「続けて食らいなさい!薔薇の花弁集束、プリズムアークは光を指定、各クリスタル連動、フラッシュレイ!!!」
クローラが放ったのは、薔薇の花弁で一点集中させた光属性魔法フラッシュレイ、その光の光線はポイズンスパイダーたちの体をを貫き、絶命させいく。
「クローラ、そのままなぎ払いなさい!第3・第4小隊はグラビティフィールドを展開、敵を接近させるな!!」
「「にゃっ!!」」
「かしこまりました!!」
薔薇の花弁の角度を修正し、巨大な剣を振るうように光の魔法でポイズンスパイダーの群れをなぎ払うクローラ。
そんな私たちの後ろでは、8体のメイドゴーレムが展開するグラビティフィールドに拘束され、身動きがとれぬまま押しつぶされていくポイズンキングスパイダーの姿が・・・
「ギュグギャギャググギャッ」
超重力に潰されながらも必死にポイズンスパイダーに支持を出すポイズンキングスパイダー・・・
訳すと”早く俺を助けろ!”とかかしら?
命令を実行するため、私たちに向かって突撃してくるポイズンスパイダーたち。
あなたたちを逃がすつもりは無いし、このまま全滅してもらいます!
ポイズンスパイダーの群れが完全にこちらに来たので、エルフたちも部隊の建て直しが終わったみたい。
「もう一息だ、あの集団を援護しろ!」
「総員、放て!」
「「おおっ!!!」」
後方より矢の雨の支援が加わり、ポイズンスパイダーたちも一気に数を減らしていきました。
「グギャギャ・・ギャガギャ・・」
ポイズンキングスパイダーが断末魔の悲鳴を上げるころには夜が明けました・・・
やっと長かった私の1日が終わります・・・
あぁ・・・お腹空いたわ・・・
報酬のエルフ料理が待ち遠しいです・・・
基本、週末更新です。
ご意見、ご感想、誤字報告等お待ちしております。




