第35話
僕達はその後、気持ちを切り替えて残っている検証作業を再開した。
僕は問題が起こらない限り出番はないが…
ウィルさんとバリーさんが検証を進めている間に、今回分かったことを整理しよう。
・魔法の関数を複数回使用し後続の関数でエラーなどが発生した時、先発で発動した魔法は消えてしまう
・エラー検知はerrnoが活用できそうだが、エラーメッセージまで拾えるかは不明(要確認)
となるとgod_apiの中身を確認したいと言うのが次の小目標だな。
stdmagic.hはタップ出来たがgod_apiはどうだろうか?
今は検証中だから終わったらバリーさんに魔法陣発動を頼もう。
昼の鐘が鳴り、2人は小休憩を取るようだ。
「お疲れ様です、お茶をどうぞ。」
「ありがとうございます、柴田さん。」
「柴田様、私の分までやっていただかなくても…」
「いえいえ、検証についてはお役に立てませんのでこれくらいは…それで検証の進み具合はいかがですか?」
ウィルさんは資料を手元に寄せ確認しているみたいだ。
「半分は検証しましたので晩の前には終わるかと。いや、バリーと協力してやっているのでもっと早くに終わると思います。こうしてバリーと何か作業をすると学院時代を思い出します。」
「あれはウィル殿が課題提出を忘れていただけです。」
「あの時は留年を覚悟したよ、落としたらいけない課題だったから。」
うーん。
ウィルさんは本当に主席だったのか疑わしくなるが、まともな仕様検討や不具合に対する発想なんか見ると…
まぁとにかく、学院時代に2人は協力して何かをやってきたのだな。
ブランク期間はあるが作業がしやすいのだろう。
「ではこのまま問題がなければ次は仕様書などの資料作成ですね。」
「そうですね、私は学会用の資料作成もありますがこちらを優先させます。」
あれ?
この『すぐやる課』は秘密裏にやっているから学会への発表は『待った』がかかるんじゃないか?
まぁ、その辺りはフリー王子がコントロールするか。
「しかし、まだ信じられません。自分がこのような魔法陣の歴史に関わることになるとは…」
そうだよなぁ。
バリーさんは1週間前まで伯爵様の護衛騎士だったものなぁ。
そう言う意味ではウィルさん、伯爵様も同じか。
僕が召喚されたことによって他にも生活が変わった人はいるのだろうか?
…僕のせいではないが僕も異世界に来て、帰れない身ということを考えるとキリがなくなる。
考えないようにしておこう。
「さて、そろそろ休憩を終わりにして検証を再開します。」
ウィルさんがお茶を啜ってから立ち上がる、バリーさんも後に続くように立ち上がって検証を進めていた場所へ戻って行った。
また時間が空いてしまったな、今のうちに覚えているC言語知識を記載しておくか。
スマホとタブレットも転移していればよかったのだが机に置いてたからか転移していなかったんだよなぁ。
基本的な文法は問題ないがどうしても細かいところはなぁ…
午後は特段問題も起こらず静かに時間が流れて行った。
C言語の知識を思い出しながら書いていると『終わったー』と声が聞こえた。
もうそんな時間がたったのかと窓を見ると確かに外は暗くなり始めている。
集中していたみたいだ。
それよりも検証の結果を聞かなければ。
「お疲れ様です、どうでしたか検証結果は?」
「はい!不具合については最初の案4のモノ以外はありませんでした。」
おぉ、良かった。
指定の仕方が思考なので2つ3つくらいは出るとは思ったが、想像していた誤判定は起きなかったのか。
明日は1日資料作成で2日後には予定通りフリー王子に見せられるな。
「ではキリもいいですし、明日は資料作成をして明後日フリー王子にお見せしましょう!」
「「はい!」」
士気も上がっているしいい流れだ。
そうだ今日の仕事終了の前にバリーさんに頼もう。
「バリーさん、本日最後に魔法陣だけ出してもらえますか?」
承知いたしましたと魔法陣を出してくれた。
僕は慣れた手つきでstdmagic.hをタップしウィンドウを表示させた。
さて、このgod_apiをタップすると定義が見れるかもしれない。
統合環境のような操作感だから案外いけるかもしれない。
タップするとウィンドウが出たが想像していなかった言葉が表示されていた。
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くそっ、管理者権限とかじゃないと見れないのか…




