第3話
「柴田様の今後ですが、当家で保護させていただきたいと考えております。」
保護かぁ。
異世界転移の話でチートスキルを持った主人公が貴族に囲われるというのは理解できる展開だが、僕のスキルは不明だし。
特に有用な技能は持ち合わせていないのだけどなぁ。
しかし、こちらの世界では生活基盤がないから素直にお言葉に甘えておこう。
「恩恵をもたらせるかはわかりませんが、お言葉に甘えさせていただきます。」
「ありがとうございます。ですが、すでに私には恩恵がありましたよ。」
ん?
ここに来てまだ数時間だぞ。
この伯爵様は何を言っているんだ?
「えー、それはどういう恩恵ですか?」
「先ほど鑑定の魔法陣の模様の誤りを教えてくれましたよね?あれは私の息子です、あのまま鑑定ができなければ恥をかくところでした。」
あぁ、あの人かぁ。
確かに目元が似てる気がする、髪も銀髪で同じだし。
しかし、恥をかくとはどういうことなんだ?
貴族が魔法陣を失敗する姿を大勢の前で見られるのが恥なのか?
「恥をかくとはどういうことでしょう?」
「あの鑑定の魔法陣は先月息子が発表したものです。ある大規模な魔法陣の一部を抜き出してみたら出来たとかで…」
あぁ、制作者さんでしたか。
それは実行できなければ、赤っ恥ですな。
となると一つ聞いてみないといけないかな。
「戯言だと思って答えていただきたいのですが魔法陣の模様ってどう見えていますか?」
「魔法陣の模様?記号が並んでいたり線が右に左に引かれて描かれているように見えますが…」
んー、さっきの鑑定魔法陣プログラムを紙に書いてみるか。
スーツの中にメモ帳があったはず。
「あの…何をされているのですか…?」
「いえ、もしかしたら魔法陣についてお互い認識違いしているのではないかと思い、確かめようと思いまして…」
…よし、書けたので伯爵様に見せた。
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#include <stdmagic.h>
int main(void) {
appraisal_magic(1, 1);
return 0;
}
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修正バージョンだがどう見える?
「何やら文字、記号みたいなものが数行並んでいますがこちらは?」
やはり僕がみた魔法陣は変換されて見えていたのか…
スキルは魔法陣をプログラム言語に置き換えといったところか?
「魔法陣ですが僕はこのように見えました。この記述は僕の世界で使用されている言語になります。その為、記載ミスがすぐ分かりました。」
この人が信用できるかは未知数だが、現状どうしようもできないので嘘は言わないでおこう。
ん?
伯爵様が何かを書いている?
「そうなのですね、私たちはそのように見えておりません。簡単な魔法陣ですがこのように見えております。」
なるほど。
こちらがこの世界での本来の見え方か。
ふーむ、線や記号が交雑していて何を意味するか何一つわからん。
これはプログラムに見えないから実魔法陣限定のスキルかな?
「ちなみにですがその魔法陣危険でなければ是非実行しているところを見たいのですが…良いでしょうか?」
「えぇ、良いですよ。と言ってもこれは微弱な風を起こすものですが…」
そういうと伯爵様は言葉を発し空中に魔法陣を起動させた。
魔法陣が光っているこれが発動中ということか。
そして実魔法陣だとやはりプログラムコードに見える。
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#include <stdmagic.h>
int main(void) {
wind_magic(1);
return 0;
}
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単語をアンダースコアで繋げるコーディング規約か…
wind_magic関数に1が渡されている。
風魔法だから風の強弱を指定するのだろうが、検証をしていないから断定はできないな。
ひとまずは実験の結果を伯爵様に伝えるか。
「ありがとうございます。紙に書いた魔法陣はそのまま見えますが、実際に発動した魔法陣は先ほどお見せした通り僕のいた世界の言語に見えます。」




