15番外編 ルカ サイド2
海辺デートに甘さが足りなかったかと思い番外編として書き足しました。お楽しみいただければ嬉しいです。
お嬢様が俺の腕にしがみついて砂浜を歩いている。海はお嬢様の心を癒しているようだ。
寄せては返す波の音、遠くから聞こえる海鳥の声。
「きゃあっ、波が近くに来たわ」
子どものような事をいうお嬢様が、たまらなく可愛らしい。
「大きな声を出すと波が大きくなるそうですよ。本当かどうか分からないですがそういう都市伝説があるらしいのです」
「まあ大変!それは怖いから普通の声で話さなくちゃ」
途端に真面目な顔になったお嬢様が愛おしすぎる。
「もしかしてからかったの?ルカが悪戯っ子のように見えたわ」
「とんでもありません。昔耳にしたことがあっただけです。本当に大きくなるかやってみますか?」
「ええ、いいわ。でももっと波打ち際から離れてからね」
その可愛らしさに俺は胸を撃ち抜かれた。
「何て言おうかしら。ルカ何かある?」
「エレン様、愛しています!」
俺は大声で叫んだ。
「えっ!ええー。いきなりすぎるわ。あっ本当に波が大きくなったわ!」
俺は大急ぎでお嬢様を抱き上げ、海から遠ざけた。
「ふふっ、ふふふ。ルカったらいきなりすぎるわ。本当に波って大きくなるのね」
「偶然かもしれません。もう一度叫びましょうか?」
お嬢様が真っ赤になって横を向いた。可愛すぎる。あーこの頬をつんつんしてもっと照れさせたい。頑張れ俺の理性。
「ううん、もういい。恥ずかしいもの。ホテルに帰りましょう」
俺はお嬢様の手を取り、待たせてある馬まで歩き出した。
選んだのは最高級ホテルだ。スイートルームの大きな窓からは昼間歩いた海が一望できる。
部屋の中に個室が3つもあり、それぞれに風呂とトイレが完備されている。お嬢様にはその中でもパウダールームがついている一番良い部屋を使っていただいいた。
潮風でべたべたしていた身体をシャワーで流すと一気にさっぱりした。
それにしてもさっきのお嬢様可愛かったな。
思い出すだけで顔が緩みっぱなしだ。「だめだ、凛々しくいないといけない」
俺はパンっと両頬を叩き、顔を引き締めた。
そんなに時間は経っていないと思ったのだが、シャワーを済ませてリビングに出るとお嬢様の方が早く白いワンピースに着替えていた。
涼しそうで爽やかさが一層際立っている。
「あっ、ルカまだ髪が乾ききっていないわよ」
お嬢様はそう言って俺の髪をタオルで優しく拭いてくれた。甘酸っぱい幸せが全身を駆け巡る。お嬢様からふわりと良い石鹸の香りがした。
せっかく引き締めた顔が、まただらしなく緩んでしまう。
「ちゃんと乾かさないと髪に良くないのよ」
天使の声が聞こえる。
俺はお嬢様の隣に立つ為に、身だしなみに気をつけようと心に決めた。
そして夕食後、お嬢様と二人っきりでソファーに座りながら軽いワインを楽しんでいる。
「海が綺麗ですね。ですがその何倍もお嬢様は綺麗です」
ルカはサラサラのエレンの髪を一掬いしてそっとキスを落とした。
「…ありがとう、嬉しいわ。ルカあなたもすごくもかっこいいわ」
真っ赤になったお嬢様の頬がたまらなく可愛い。
強く抱きしめたい。だが怖がらせてはいけない。頑張れ俺の理性。
「エレン様、これを受け取っていただけませんか?」
俺はソファーから降りて床に片跪を付き、サファイアの指輪を差し出した。胸の鼓動が煩いほどに激しく高鳴っている。
「私に…くれるの?」
思いがけないプレゼントに、エレンは息を呑んだ。
「エレン様しかいません。こんなことをするのは、あなたにだけです」
お嬢様のほっそりとした美しい指が目の前に差し出された。
「ありがとう。着けてくれる?」
細く白い指にまるで誂えたようにぴったりとはまった。
「ルカの瞳の色ね。綺麗」
エレン様の瞳から真珠のような一雫の涙が零れた。
俺はエレン様をそっと、だけどしっかりと抱きしめた。
読んでいただきありがとうございます。
子供の頃に大声を出すと波が大きくなると言って遊んだことがあったので描写してみました。本当かどうかは分かりません。多分都市伝説というやつです。次作でもお会い出来ますように。




