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田中 ― One-Cut-Story ―  作者: MMPP.K
5cp

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45cs 「角っこの店」

 角を曲がる。

 いつもの帰り道。


 ――見たことのない店がある。


 足が止まる。

 昨日まで、ここは別の店やったはずやのに。


 いや、そもそも何の店やったっけ。

 看板の色も、

 窓の形も、

 置いてあったはずの何かも。

 全部、思い出せない。


 目の前の店は、今日できたみたいな顔をして立っている。

 明かりがついて、中に人影まである。


 昨日、ここ通ったよな。


 そのとき、この店やったか?

 違うよな?

 でも、何が違ってたんや?


 考えるほど、昨日の景色が薄くなる。


 店の前を、いつものように人が歩いていく。

 誰も気にしていない。

 誰も驚いていない。


「――あれ?」

 ここ、こんな店やったっけ。


 声に出した瞬間、その疑問さえ、少し曖昧になる。


 新しい店のドアが、何もなかったみたいに開く。


 角を曲がる。


 昨日の景色が、またひとつ上書きされる。

 


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