表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/4

2話 魔王グルネス対少年

  第一章 4つの大陸に選ばれた者

  2話 魔王グルネス対少年

 

  ※少年視点

「きゃあああぁぁ!!」


「立ち止まっていないで早く逃げろー!!」


「アルメラ様の宣言どうりになってしまった………」


 村は炎に飲み込まれていた。上空には、魔王グルネスが絶望する人間たちを眺めている。


「ふっ………忌まわしきエーテル民よ……チリも残さず滅びるがいい………」


 不気味な笑みを浮かべながら、怯える人間たちを観賞する。

 グルネスは余裕の表情で、配下であるドラゴン二匹の指揮をとっている。


 逃げ遅れた村人たちが次々にドラゴンの炎で焼き滅ぼされて行く。


 早く助けなくちゃ行けないのに、体が動かない。声も出せない。

 この村で一番強いのは俺なのに………

 目の前でどんどん村の人達が殺されていく。


 きっと戦えるのは俺しかいないだろう。

 そのために俺は急いで洞窟に行ってきたんだ。

 …………でも間に合わなかった。

 誰よりも早くアルおばー様の未来予知の内容を聞いたのに。

 沢山の人の命がかかっていたと言うのに。俺は精一杯頑張らなかったのかもしれない。

 何もかも無駄だったのかもしれない。


 …………いや、諦めちゃ駄目だ。まだ生き残っている人は沢山いる。一人でも多く助けたい、そして、アルおばー様の期待に応えたい。

 そう呟いて俺は転がっていた小瓶を拾って、それをローブの胸ポケットに入れた。

 それと同時に、刀を鞘からぬく。

 そして、地面から飛び上がろうとしたが、そこである考えが浮かんだ。


(このままグルネスと戦えば皆を巻き込んでしまうかもしれない。)


 そう考えた俺は一度刀をさやにしまい、両手を空にかかげた。

 自分の掌に魔力を込めながら、詠唱を唱える。


「俺を中心に半径40メートル以内にいる村人たちを近くの町に転移させよ!空間転移·参」


 すると、両手から魔力の魔方陣が現れ村人たち一人一人の足元にも魔方陣が現れた。


「何だ何だ?!敵の襲撃か?!!」


「私たちはどうなってしまうの?!」


 村人たちは焦り、混乱し始める。

 少年は集中しているからか、村人たちの声が聞こえなかった。

 すると、一人の男が何か思い出したようだ。


「そう言えばアルメラ様は、2番目に信頼している人に頼んだといっていたけれど、その人がまだきていないぞ?!!」


「まさかその人、怖くなって逃げ出したんじゃないわよね??!」


 一人の女性の顔が真っ青になった。


「きっとそうだ!!アルメラ様の期待を無視して一人だけ先に逃げ出したんだ!!」


 男が叫んだ瞬間に他の人たちも騒ぎ始めた。

 村人たちはグルネスから逃げるのに必死で少年とすれ違っていた。

 それにまさか村長の二番目に信頼している人が少年だとは思っていなかった。


 それはアルメラ様の最後の失敗でもあった。


 アルメラ様は、魔王を倒す人がまだ未成年の少年だと希望が持てないと思ったからわざと言わなかった。

 村人たちが騒いでいると、村人の一人の魔方陣が突然光だして一瞬で消えてしまった。


「なんだ何だ?!魔方陣で一人消えていったぞ?!」


 男が叫んだ瞬間、他の村人たちも次々に消えていった。

 それぞれ目をつぶって怖がったり声のでない悲鳴をあげたり泣いたりしながら皆消えていく。


 一番最後は、最初に叫んだ男だった。顔は血の気がひいていて真っ青だ。

 すると、男の魔方陣も光だし、男は目を(つむ)る。

 そして男も足元の魔方陣で、その場から消えてしまった。


 目をつむって数秒ほど経ったとき、何だか空が眩しくなった。

 すぐに目を開けて空を見上げると、何事もなかったかのように太陽がギラギラと輝いている。

 先程までの光景が嘘のように静かで空気が美味しかった。

 周りには混乱した村人たちがザワザワしていた。

 男も周囲がどうなっていか見回すと、レンガやコンクリートでできた建物があった。二階建ての建物が少なく、建物の高さがある教会は二階建てかと思ったら、天井の高い作りだった。


 そして、男は気づく。

 この転移の魔法は「アルメラ様が二番目に信頼している人」が自分達を助けるために使った魔法なのでは、と…………



 村人全員を転移させた少年は、ほんの少しだけ息が乱れた。

 これだけの巨大魔法を使えば普通は失敗するか、成功してから魔力切れで死ぬからしい。

 しかし、少年は魔法を成功させ、なおかつ倒れもせず生きているのだ。他の人から見てみれば、奇跡といっていいくらいだった。

 ……………誰も見ていなかったけれど。


「よし………とりあえず村人達は安全かな。」


 少年はそう言って、グルネスの方に目を向けた。


 グルネスは突然の状況に考えを巡らせ、場に追いつこうといている。一方、グルネスの配下であるドラゴンのアルレとギルレは、口をあんぐりさせて頭のなかで混乱していた。


「まずはかしらであるグルネスを最初に倒すべきか……それともグルネスを倒すために邪魔なドラゴンのたちを先に倒した方がいいか……………」


 少年はどちらから倒した方が戦いやすいか、考え始める。


「もし、グルネスを先に倒すなら一撃で仕留しとめないと、俺が不利になるな………かといってドラゴン達を先に倒すと、グルネスが不意を突こうとしてくるだろうし………この頭じゃまだ決められないかな………」


 そう呟き、とりあえずグルネスが攻撃して来ても、すぐにやり返せるようにするため、刀のつかに手をそえる。


 そして少年は目を閉じ、決断する。


「ドラゴンたちを、先に倒そう。」


 少年は地面を強く蹴った。まるで瞬間移動したかのような速さで、グルネスの配下であるアルレの後ろに飛び、不意打ちをくらわせた。


「ギャアアアァァ!!」


 一ミリもぶれていない斬撃がアルレの首に命中し、落下していく。


 いきなり隣で仲間の叫び声が聞こえたことにより、ギルレとグルネスがアルレの方を見た。

 少年はグルネス達がこちらに振り向くと同時にギルレの後ろに移動する。

 そしてギルレの首にも力強い一撃をくらわせた。


「グアアアァァ!!」

 ギルレも叫び落下していった。


 配下であるアルレとギルレ、どちらも強さは普通のモンスターよりも遥か上であった。………にもかかわらず、アルレ達はまばたき一つの間に首が斬られ瞬殺されていた。


 明らかに、一人だけ人間じゃないやつがいると判断したグルネスは空中ステップしてその場から離れた。

 すると上から、押し潰されそうなほどの殺気が感じられたため、鎌を上に振った。


「ギャイイィィン!」


 グルネスの目の前には、腕の部分が七分丈の茶色いローブを着た黒髪の少年がいた。少年は、グルネスの攻撃を刀で防いだ後、空中ステップで後ろに跳ぶ。

 グルネスは少年のことを睨み付け、ぼそっとつぶやいた。


「忌々しきエーテル民め………」


 グルネスは鎌を上空にかかげる。

 そしてこう、叫んだ。


「だがな!!たかが人間がこの私に勝てるわけがないんだよ!!貴様らは、運命に逆らえないのだ!!」


 グルネスは遥か上を見透かすかのように空を眺め、不気味に微笑んだ。


 すると、上から黒い球体が出てきたかと思ったらそれが4つに割れる。

 そして、黒い球体はその場でくるくる回った後ピタリと止まり、やがて人間が住む大陸………ティアドール大陸に散らばっていった。


 俺はこの黒い球体の正体を知っている。

 だからこそ、すぐに止めなければ……………

 俺は空気を蹴って黒い球体のに追いつき、それらを刀で切り裂いた。

 すると、黒い球体は霧のように薄い煙を出して消えていった。


「貴様…………………!?!」


 漆黒の刀が白く光っている。

 グルネスは、その刀を見て、白い顔がとんがった耳まで真っ青になった。

「き、貴様……その魔法をどこで手に入れた…………」


「魔法?何のことやら………」


「とぼけるな。そんな漆黒過ぎる刀が白く光だし、神の浄化魔法のかかった刀になるわけがないだろう」


 神のではないな。そんなすごい魔法は俺にはできない。


「この魔法は北の洞窟にある伝説の霊草、テラリスの花を錬金術で刀に付与させたんだ。」


「な!………あの花は私の配下達が消滅させたはずじゃ?!」


「あの洞窟はな……目眩まし付きの浄化魔法が掛かっているんだ。目眩ましで魔物から姿を消し、浄化魔法で万が一魔物が目眩ましにきずいた場合のために、近付けさせない。お前の配下達があの洞窟の中身を確認できなかったのは、その魔法のせいだ。」


 俺の説明を聞いて、グルネスは歯をギリギリしている。


 どうやらグルネスは、人間を甘く見すぎたようだ。

 これは、不幸中の幸いと言うべきか…………


 そんなことを考えていると、グルネスは鎌を高く空に放り投げた。

 そして、ニヤリと不気味な笑みを浮かべて猛スピードでこちらに向かってくる。


 グルネスの手には黒い球体がある。推測として考えると、さっきのも同じであれは触れると猛毒になる黒毒の球体。

 俺を殺すなら、一瞬で首を跳ねるような攻撃にして欲しかったよ………


「まぁ、当たればの話だけどな」


 俺はそう独り言を言い、つかに手をかけ、構えた。そして、グルネスが間合いに入った瞬間に俺は、さやから刀を抜き、特技の詠唱を早口のように叫んだ。


「《古炎舞斬こえんばいざん》!!」


 そう唱えると刀の刃先からブアッと、白く光る炎が現れた。

 古炎舞斬は4連撃の無双技である。

 一撃目は、グルネスの心臓と肺辺りにめがけて左下から右上に刀を振り上げた。が、最初の一撃目は必ず攻撃してくることが分かっているせいか、体を海老ぞりにして難なくかわされる。

 俺は、素早くグルネスの肩まで振り上げていた刀の刃の向きをくるっと変えて左にある首に向けて横斬する。

 海老ぞりになり、1秒後の攻撃が避けられないことにきずいたグルネスは、まるで床があるかのように空中で手をつき、逆立ちのような姿勢をとった。

 と、同時にグルネスの首を切るはずだった刀の刃はグルネスの膝下のすねを斬る。

 グルネスは、少し顔を歪めたがすぐに表情を戻した。………その瞬間、斬ったはずのグルネスの足が再生する。

(再生力もあるのか…………少し厄介だな、再生できない部位を狙おう。)


 思考を回転させながら、刀を構えなおす。


 そして、切れ味を上げる《斬擊強化》とグルネスの弱点である浄化魔法の進化版の《極浄化付与》を愛剣の夜の刀に付与した。

 そして、


「次の一撃で仕留める。」

 俺は、そう呟いた。


11.4から、半月ほど後に3話を投稿いたします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ