3-1話 折れない心
二人きりの生活が始まり十年が過ぎた。ルカはスラム街で母親と二人きりの生活が続いている。
そこでルカは同じ境遇の仲間達と貧しいながらも逞しく成長していた。
「ルカ、洋服が破けているわ。コホッ、コホッ。気付かなくてごめんね。まってて今すぐに縫ってあげるから」
「母さんは最近体調が悪いんだから、今は寝ていないと。こんなのいつでもいいって。それに洋服が破れたのは俺が友達と遊んでいてころんだからだよ。母さんが謝る必要はないのに、いつも母さんが謝ってばかりで変だよ」
「そうだったのね。コホッ。それならいいの。風邪も大分良くなって来たから、もう大丈夫よ」
ノエルは貧しい生活をさせている事に負い目を感じていた。その為に何か事がある度に何故か謝ってしまう。
しかしノエルの想いとは反対に、ルカは今の生活を苦とは感じていない。
確かにゴミ溜めと呼ばれているスラム街の生活は辛い事の方が多いが、同じ境遇の友人達と手を取り合い笑顔を絶やさないで必死に生きる日々に満足していた。
また母から教育をしっかり受けており、スラム出身者だが読み書きや計算もできる様になっている。ノエルはルカがいつの日か伯爵家に戻る事となっても、困らないように自身の知識をルカに全て教えていた。
母の真っ直ぐな性格を受け継ぎ、ルカは賢くそして強く成長していた。
ゴミ溜めと呼ばれる地区に住み、底辺の生活を続けてルカの運命は、この日を境に大きく動き始める。




