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2-3話   

 ロイズ帝国は増え続ける国土を管理する為に、街の名前の他に番地を定めていた。

 首都がある第一区から始まり、今は第四十三区まで番地は増えている。

 

 第一区、首都【ガイロン】にある歓楽街の更に奥には、世間から弾かれた者達が自然と集まり造りあげられた。国には認められていない大きなスラム街があった。

 その場所の事を市民階級以上の者達はゴミ溜めと呼んだ。実際に足を踏み入れてみると不衛生で空気も悪くボロボロのほったて小屋が所狭しと並んでおり、多くの者がゴミ溜めと呼ぶ理由も理解できる。

 

 一連の騒動から数日後、スラム街に新顔の親子がひっそりと暮らし始めた。

 

 赤ん坊を大切に抱きかかえながら、母親は周囲の劣悪な環境を見つめ不安げな表情を浮かべる。

 その母親はノエルであり、抱きかかえている赤ん坊はルカであった。

 実はノエルが倒れた後、その弱り果てた姿をみかねたセバスがノエルの元を訪れ、全ての経緯を説明していたのだった。


 アルバートに殺せと命令されていたのだが、セバスはルカを殺していなかった。アルバート伯爵家の未来を憂い、密かに育てようと決意する。そしてアルバートには嘘の報告を伝え、ルカを知人に預けていたのだ。

 ルカの居場所を聞き出したノエルは屋敷を飛び出し、ルカと再会を果たしてこのスラム街にたどり着いたのである。


「ルカ…… こんな場所でごめんね。でもあの人が本気を出して私達を探したら、この国にいる限り普通の場所だと必ず見つかってしまうわ。かと言って、国を出ようとしても憲兵に見つかってしまう…… だからこの場所しかないの。セバスにもこの場所の事は伝えていないからここなら大丈夫。ルカ、もう二度とあなたと離れたりしない。私があなたを守り続けるわ」


 たった二人で辛い日々が続くのは覚悟した筈だったが、実際にスラム街に立ち入ってみると恐怖で、ノエルの心は押し潰されそうになる。

 しかしどんな不安が襲ってきてもルカの顔を眺めると体の奥から勇気が湧いてきた。強い想いで不安を吹き飛ばした母親は、密かに手を回して、何とか手に入れた。

 

 今日から住まいとなるボロボロの家屋の扉を力強く開いた。

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